【アニメコラム】アニメライターが選ぶ、2014年アニメ振り返り!注目の10本をピックアップ!

2014年公開のアニメ映画は40本以上、オンエアされたテレビアニメは軽く100本を超え、昨年も数多くの作品で賑わいを見せた。今回はそんなバラエティに富んだ作品の中から、アニメライターが注目する10本をラインアップ! もし見逃しているアニメがあれば、これを機に要チェックだ。


「たまこラブストーリー」
2013年に放送されたテレビアニメ「たまこまーけっと」の劇場版続編。テレビシリーズのコミカルな要素は薄れ、幼なじみ2人の恋愛を描いた真っすぐな青春映画に仕上がった。舞台である商店街や学校から飛び出し、京都駅のホームで告白する場面は爽やかさにあふれている。松竹の富士山マークのパロディや、エンドロール後に余計なエピローグを挟まない点からは、1本の映画を作ろうとする意思が感じられた。テレビシリーズ未見の人にもおすすめの一作。

「映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」
かわいい嫁さんと子どもはいるわ、ローンながら一軒家に住んでるわと、「勝ち組」の呼び声も高い野原ひろし35歳。そんなひろしがロボとーちゃん化したことで、すべてが奪われる構成にグイグイと引き込まれていく。ロボとーちゃんの秘密や、ロボ同士のアクションなど、SFの醍醐味も詰め込まれ、これぞ「劇しん」と言った出来栄え。終盤の巨大ロボ戦ではゲスト声優のコロッケがモノマネを披露しながら戦うというハチャメチャな展開に爆笑必至。父親の意地を賭けたラストバトルにもホロリとさせられる。

「映画プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち」
歴代プリキュアが競演する「オールスターズ」シリーズ。その「NewStage」のフィナーレを飾った本作は、過保護な母親が敵として立ちはだかる衝撃のストーリー。愛する息子のため人間の子どもを夢の世界へ閉じ込める母と、その巨大なエプロンが恐ろしい。夢の中に監禁されたプリキュアたちの突破口を開くのが「Yes!プリキュア5」のキュアドリームこと、「夢原のぞみ」なのは、ファンとしてうれしいポイント。

「ジョバンニの島」
第二次大戦直後のソ連軍進駐を題材に、色丹島で暮らす兄弟たちの運命を描いた劇場作品。家が接収され、異国へ連行されるという過酷なストーリーだが、印象に残るのは童話のようなタッチで描かれたキャラクターと幻想的な世界観だ。日本とロシアの子どもたちが互いの歌を合唱するシーンや、おもちゃの汽車を走らせるシーンの美しさから目が離せなくなる。コメディリリーフを演じたユースケ・サンタマリアをはじめ、芸能人キャストの好演もシリアスな物語をやわらげている。

「LEGO(R) ムービー」
あらすじが「主人公はごく普通の……」から始まるアニメは基本全部ウソだが、本作の主人公・エメットは本当に普通すぎるレゴブロックのミニフィギュア。何の取りえもない彼が、普通であることを生かして世界を救っていくさまは爽快! 日本語吹替版は100人以上のキャラクターを極少数のキャストが担当。複数のキャラを巧みに演じ分ける声優陣は、組み替えることで世界が広がるレゴのテーマともマッチしている。

「ピンポン THE ANIMATION」
90年代に連載された松本大洋の卓球マンガをテレビアニメ化。原作のタッチを再現し、マンガでは描かれなかったエピソードも盛り込まれた。エリートコースを外れて日本に留学してきたチャイナ、試合に惨敗して放浪の旅に出る江上など、サブキャラクターにまで注がれる温かな視線が心地いい。チャイナのネイティブな中国語や、彼がクリスマスの夜に熱唱する“ハマショー”など、卓球以外の見どころも多い。

「グラスリップ」
福井県の港町を舞台に高校生たちのひと夏を描いたオリジナルテレビアニメ。親の仕事の都合で各地を転々としてきた少年・沖倉駆が常に感じている「唐突な当たり前の孤独」。彼に恋心を抱く主人公・深水透子がその感情を体験する第12話「花火(再び)」は、雪景色の中で開催される花火大会の風景と相まって、激しい切なさを喚起させるエピソードとなった。第1話「花火」と呼応したサブタイトルの使い方や、ハーモニー処理などの演出方法からも新鮮な驚きを感じることができる。

「シドニアの騎士」
米国で高い評価を得てきた老舗CGスタジオのポリゴン・ピクチュアズが、日本国内向けのテレビアニメ制作を開始したことで注目された本作。謎の生命体から逃れるため、宇宙船・シドニアの中で共同生活を送る人類の死闘が描かれている。接近戦を主体とした派手なメカアクションに加え、遺伝子操作によって光合成が可能になった人類などのSF要素がストーリーを盛り上げる。光合成のため肌を露わにする女性キャラのセクシー描写もまた一興。

「おにくだいすき! ゼウシくん」
JA全農のアニメCMながら、キュートなキャラクターとシュールなストーリーで人気を集めた異色作。お肉に関するワードでしりとりをするだけのエピソードがあったりと、カオス過ぎる展開はお茶の間の度肝を抜いた。オープニングテーマ「おにくじゃぽねすく!」は、主演の花澤香菜が「国産のお肉を食べたくなるように歌ってください」という難しいリクエストに応えた名曲。筋肉少女帯の「日本の米」に相並ぶ国産食料品ソングとして今後も語り継がれていくだろう。

「ナンダカベロニカ」
NHK Eテレの10分間帯番組としてオンエアされ、ハイクオリティなアニメーションで話題をさらった本作。宇宙からやってきた超合理主義者のワガママ娘・ベロニカが、歌や恋やペットなど、彼女にとってはムダにしか思えない地球の文化と触れあっていく。お笑い芸人「キンタロー。」の熱演は声優初主演とは思えないほどで、ツンデレという言葉では収まりきらないベロニカのかわいらしさを表現している。モノマネと演技力は比例することを再認識させられた一作。

(文/高橋克則)

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