眼鏡男子に弟キャラ、擬人化にショタまで……実は男性キャラてんこ盛りの注目コミック「ULTRAMAN」

漫画の絵に色や効果音、セリフ、動きをつけるという動画表現「モーションコミック」。アニメともドラマCDとも異なる、漫画をより深く読み込めるメディアだ。漫画でありながら、アニメに近い表現ができる新ジャンルのコンテンツとして、ここ数年で一気に人気が高まっている。

「月刊ヒーローズ」の看板漫画である『ULTRAMAN』は、2014年からモーションコミックとしても公開されている。
『ULTRAMAN』はタイトル通り、昭和41年から放送が始まった特撮作品「ウルトラマン」がベースとなっている現代のウルトラマンだ。男性向けの作品に思えるが、実は女性読者の目も意識しながら作っているという。連載を立ち上げた月刊ヒーローズ編集部の川口あいさんにお話をうかがったところ、作品にこめたメッセージや女性読者への期待など、作品のさまざまな魅力が見えてきた。


――漫画『ULTRAMAN』は、特撮作品「ウルトラマン」をモチーフにしていながら、まったく別の世界観の物語です。どういった経緯で連載が決まったんでしょうか。

「月刊ヒーローズ」という雑誌なので常にいろんなヒーローの作品を作っているんですが、日本でヒーローといったらウルトラマンですよね。日本人なら誰でも知っているぐらい有名なヒーロー。そして弊社が円谷プロダクションとグループ会社でもあるということで、新しいウルトラマンを作ってみようということになったんです。児童向けの「ウルトラマン」とは違う、大人に向けて作るウルトラマン。初代ウルトラマンの早田進(ハヤタ・シン)に息子がいたら、今あるウルトラ兄弟とは別の歴史が生まれていたかもしれないという話が出て、そこからふくらませていきました。とはいえ元ネタが「ウルトラマン」ですし、最初は男性読者だけをターゲットにしていました。でも、そうやってストイックにやってきたからか、徐々に女性ファンも増えてきていますね。



――作者の清水栄一さんと下口智裕さんは『鉄のラインバレル』も描かれている名コンビですが、このお二人にお願いすることになったのはなぜですか。

もともと、お二人とは別の企画を考えていたんです。あるとき私が「ウルトラマンのリメイクがあるんですよ。どうしたらいいですかね」というふうに雑談的に相談したところ、「ウルトラマンをリメイクするなんて絶対に無理だと思います」って言われちゃって。お二人は子供の頃に「ウルトラマン」を再放送で見ていたとのことで、「ウルトラマンって物語の内容的にもデザイン的にもすべて完成されすぎている。あれをどう動かすんですか」ということだったんです。

――「ウルトラマン」の素晴らしさをわかっているから、漫画にするなんて無理だと。

ただ、お二人とも特撮だけでなくアメコミも大好きなんですね。「アメコミのヒーローって主人公が等身大のままスーツを着て戦いますよね」「アメコミみたいな等身大のヒーローって面白そうですね」と言ったところ、反応してくれて。

――アメコミがヒントだったとは。だから『ULTRAMAN』のウルトラマンたちは巨大化しないんですね。

そうなんです。「ウルトラマン」の巨大化が人気だったのって、あの時代だったからだと思うんですよね。高度経済成長期のヒーロー像がウルトラマンだった。でも今の人たちは超リアリストだし、自分の半径3メートル以内が一番大事。そんな時代に合う、まったく新しい解釈のヒーローができるならやりたいですと言っていただけて、人気も実力もあるお二人なので、それでもう安心できましたね。

――初代ウルトラマンとイメージの違う新たなヒーローを作るというアイデアは、円谷プロに受け入れられたのですか。

作家から、ウルトラマンがビルの上に立っている、世界観のイメージイラストがあがってきたんです。それを見て円谷プロさんもうちの編集部もみんな文句なし。これでいきましょうということになりました。それぐらい説得力のある絵だったんです。内容に関しても、実力のある作家さんということもあって、円谷プロさんからは「お任せします」と言っていただいています。



――すごく寛大なんですね。円谷プロからは、なにも要望はなかったんですか?

「ウルトラマン」に触れる際は、あまり俗っぽくしないでくださいとだけ言われています。初代ウルトラマンは「ウルトラマン」であって、人間ではないので。もし登場させるなら、あまり人間っぽいことを言わせないようにしてほしいということでした。でも『ULTRAMAN』の主人公の早田進次郎(ハヤタシンジロウ)が変身するウルトラマンは人間なので大丈夫なんです。だからかなり自由にやらせてもらっています。
話の内容やキャラクターの使い方から、ウルトラマン好きの作家たちだとわかってくださっているので自由にやらせてもらっているという感じですね。そもそもまったく違う舞台設定なので。




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