アニメには「王道」の宣伝と「尖った」宣伝がある 「SHIROBAKO」ワーナーエンターテイメントジャパン・前田有希さんインタビュー!
アニメ作りに情熱を燃やすスタッフたちの奮闘を、リアルに、熱く、爽やかに描いて話題沸騰中のテレビアニメ『SHIROBAKO』。そんな『SHIROBAKO』で主に描かれるのは、フィルムを作り上げる“制”作スタッフのみなさん。しかし、アニメーションが世に送り出される過程には、流通や宣伝といった業務を取り仕切る、いわゆる“製”作スタッフの尽力もかかせません。
というわけで、アキバ総研では、『SHIROBAKO』本編と目先を変えて、『SHIROBAKO』に関わっている、しかし、本編ではあまり大きく取り上げられないだろう関係者にスポットを当てて、インタビューを試みました。いわばテーマは「裏『SHIROBAKO』」。お話をうかがったのは、『SHIROBAKO』の宣伝に携わっている、ワーナーエンターテイメントジャパン株式会社の前田有希さん。
アニメの「宣伝」とはどういった仕事なのか。『SHIROBAKO』や、その他タイトルの具体的な事例とからめつつ、たっぷり聞いております。これを読むと、もっとアニメがディープに楽しめるかも!?
――本題に入る前に、まず「前田さんってどんな人なの?」というところから始めさせていただこうかと。ワーナーに入社して、アニメの宣伝に携わるようになってから、何年目ですか?
もうすぐでだいたい3年ですね。その前はオンラインゲームの会社に約8年ほどいました。
――異業種から転職をされたんですね。
そうなりますね。ただ、もともと、オンラインゲームの会社に勤める前、大学を出てから3年ほど、アニメのパッケージメーカーで部署のデスク的なことをやっていたんです。当時のその会社は新卒を採っていなかったので、立場はバイトだったんですけど。
――おお、そうだったんですか。
勤めていた3年のあいだに、親会社が変わり、社名だけじゃなく、社内の体制など、いろいろなことが変わって……、そこで、当時25歳くらいだったんですけど、周囲からのアドバイスもあって、一度正社員として働けるところに行こうかなと。それで当時にハマっていたオンラインゲームの会社に。
――そこからワーナーに入社された経緯はなんですか?
当時お世話になっていた人たちが、今、ワーナーにいまして。その人たちともう一度一緒に仕事がしたいなと。ゲームの会社で経験を積んだ今なら前よりは力になれるんじゃないかと思い、応募して~という流れです。
――なるほど。ワーナーでこれまで手がけられてきたタイトルは?
最初に関わったのは『アクセル・ワールド』と『カンピオーネ!』です。『アクセル・ワールド』では、前職の経験を生かして、Webバナーでいろいろとやらせてもらいました。これらのタイトルは手伝いのような形で、本格的に携わった最初のタイトルは『ロウきゅーぶ!SS』『ジョジョの奇妙な冒険』です。入社後に新たに放送されるものでちょうど宣伝が始まるタイミングだったんですよ。
あとは『ストライク・ザ・ブラッド』『劇場版 とある魔術の禁書目録』などに関わってきて、2014年は『selector infected WIXOSS』『白銀の意思 アルジェヴォルン』『SHIROBAKO』の、川瀬(浩平)がプロデューサーを務めるオリジナル作品3タイトルなどを担当しています。
――バリエーション豊かなタイトルを手がけられてますね。では、このあたりから本題に入らせていただこうかと思うのですが、ずばり、アニメの宣伝というのは、一体どういうお仕事をする役職なのでしょう?
概念的な話でいうと、宣伝とは「いかにして、作品を多くの人に知ってもらうか」ということを考えて、実行していく仕事だと思っています。いろいろなことをやりますが、大元の発想には、「作品の露出を増やして多くの人に興味を持ってもらう」というのがある、と考えていただくといいと思います。
作品の制作には関わりませんが、そのまわりにある、お客さんに作品を届ける、あるいは、お客さんと直接触れるような部分全般を、まとめて運用している仕事……といったところなのですが、うーん、やっぱり、ひとくちにいうのは難しいですね(笑)。
ようするに、「何でも屋」なんだと思います。たとえば、この作品は「王道型」の宣伝をすべきタイトルなのか、ちょっと「尖った」宣伝をやるべきタイトルなのか……みたいなプランを、制作のプロデューサーと話し合って、、決めたプランに沿って、具体的に実行するための方策も練りますし、実行するのも自分たちです。もちろん、自分たちだけでやっているわけではなく、アニメの製作委員会に参加している各社さんから色んな案もあがってきますので、それのお手伝いをしたりまとめをしたり~というのも含まれます。
――宣伝業務の上流から下流まですべて関わられるわけですね。
そうなりますね。ほかにも、雑誌やWEB媒体さんからご依頼されたスタッフやキャストのインタビューのスケジュール調整、原稿のチェックなどもしますし、媒体に広告を出すとなったら、掲載タイミングに合わせて適切な内容、適切な見せ方の広告やそれにあわせたキャッチなどを考えて、作って、入稿するところまでやります。イベントをやることになったら、イベントの内容も考えますし、グッズを出そうとなったら、そのアイデアも考える。本当に何でもやります……というか、何でもやらないといけない(笑)。
――「王道型」な宣伝、「尖った」宣伝という言葉が出ましたが、それぞれの代表例というと、何でしょう?
王道は『ジョジョの奇妙な冒険』ですかね。この作品は、原作が国民的ヒット作ですから、まずは原作を知っているファンの人たちにアニメ化の情報をきっちり届けるというのが、宣伝のポイントでした。だから、2012年の連載25周年を記念した各種の展開にあわせて、集英社さんと協力して、大型の交通広告であったり、雑誌広告を出して、マスなターゲットに向けた宣伝をしつつ、同時にアニメファンに向けた宣伝をしていくようにしました。
尖った作品だと……たとえば『ストライク・ザ・ブラッド』で、キャラクターの立て看板に本物のスカートを履かせて、全国の一部店舗に置いてもらったんです。もちろんスカートの中身にも仕掛けをしまして……。まず、自分がやりたかったからやったんですけど(笑)、作品のファンが反応してくれて、その反応を見た人たちが「なんだか変わったことをやっているな」みたいに反応してくれれば、それで成功かな、と考えてやった宣伝でした。
『ロウきゅーぶ!SS』で、工事中だったラジオ会館の囲いの壁に、ヒロインたちの等身大イラストを載せたのも同じような方向でしょうか。Twitterでの報告で、キャラを下から覗き込んでいた写真が上がっていたのを見て、満足をするというか(笑)。つまり、作品のコアなファンが喜んでくれるようなものや一風変わったことを実施して話題を創出して、そこからより広い層に広げていくようなものが、尖った宣伝なのかなと思います。
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