【アニメコラム】アニメライターが選ぶ、2015年冬アニメ総括レビュー! 「ガンダム Gのレコンギスタ」「SHIROBAKO」など、注目の5作品を紹介!!
怒濤の最終話ラッシュも春の季節の到来とともにようやく落ち着きを見せてきた2015年冬アニメ。みなさんのお気に入り作品はどのようなフィナーレを迎えただろうか。今回は2015年3月に完結した人気アニメ5タイトルをピックアップ。「ガンダム」シリーズ最新作から「トランスフォーマー」のショートアニメまで、バラエティ豊かな作品をふり返ろう!
謎のモビルスーツが地球へ落下する場面から始まった本作。このシンプルな幕開けに目を向ければ、「G-レコ」が常に重力を表現してきた作品であることに気付かされるだろう。ベルリがひと目惚れするシーンではアイーダの豊かな髪が空間いっぱいに広がり、ルインを想うマニィの涙は無重力のために上へ流れ、キャピタル・ガード伝統のウォークライには地面を踏み鳴らすアクションが盛り込まれていた。目には見えない重力を巧みに演出する富野由悠季監督の手腕は健在である。
第25話「死線を越えて」では、その重力をもっとも意識させる大気圏突入のシーンが描かれている。ここでも各陣営は三つ巴のバトルを繰り広げるが、地球へ落ちるにつれて戦闘どころではなくなり、それぞれのパイロットは突入への準備を余儀なくされる。地球の重力はやがてルインにマスクを外させ、彼とマニィの心を強く結びつけていく。重力が束の間の休戦を生み出し、キャラクターたちを引き寄せ合うこの場面を見れば、タイトルの「G」は重力(Gravity)だったのかと快哉を叫ばざるを得ない。
■「SHIROBAKO」
「たまにいるよね、何十年もずっと夢が醒めてない人」と、多くのアニメスタッフと関わってきた制作進行の矢野は口にする。この「夢が醒めていない」という言葉は比喩ではなく、そのままの意味として描かれているのが「SHIROBAKO」のユニークなところだ。アニメ制作に勤しむ宮森あおいは、落ち込んだときに人形のミムジー&ロロと会話し、アニメ同好会の仲間と会えば高校時代の自主制作アニメを幻視し、時間を超越してセル時代の制作現場まで追体験してしまう。ほとんどアニメに憑かれているかのようだ。
そして自身の状況と劇中アニメがシンクロすることで、物語は加速していく。スポットライトを浴びた宮森がスタッフの前でスピーチをするラストシーンは、「えくそだすっ!」の最終話でライブをする主人公とどこか似ていた。アニメに人生を動かされる登場人物の姿は「SHIROBAKO」を観ている私たちとも重なるはずだ。
■「四月は君の嘘」
天才ピアニストの有馬公生は母を亡くして以来「自分の弾くピアノの音が聴こえなくなる」トラウマを抱えている。というキャラクター紹介は、実のところ半分しか正しくない。なぜなら彼のトラウマは「死んだ母が見えてしまう」ことと対になっていたからだ。音が聴こえなくなる前触れとして、公生の視線の先には亡き母の姿が映っていた。トラウマが消えることは母との別れも意味し、演奏を無事に終えた彼は「さよなら」と口にしなければならなかった。
その言葉は最終話で、今度は別の人物に向けて発せられてしまう。だがその別れに悲壮感が漂っていないのは、ピアノを通じていつでも会うことができるからだろう。ピアノを弾く公生と、彼に話しかける彼女の姿が交互に映ることで、二人の繋がりが強調される。別れを重ねるごとにテクニックが磨かれ、「色っぽくなった」とさえ評されてしまう公生のピアノを彼女はどう聴くのだろうか。
■「純潔のマリア」
マリアの「みんなでこの世界を創っているんだ」というセリフが示しているように、「純潔のマリア」は「みんな」に焦点を当てた作品だ。大天使ミカエルと対峙する最終話では、原作でその場にいなかったビブやエドウィナに加え、端役だったほかの魔女たちも登場してマリアに加勢する。なにせこれまで召喚した魔物さえ集結するのだから笑わされてしまう。さらにマリアと関わってきたすべての人々まで現れ、彼女について胸の内を披露していく。その市井の人の声が、絶対的存在であるミカエルを動かすことになる。特別な力を持たない普通の人々が、物言わぬ弱者などではなく、生きた人間として描かれているのが実に小気味よい。回を重ねるごとに登場人物が増えていく予告編も印象的だ。
理不尽な難易度で全国の子供たちを絶望の淵へ追いやったゲーム「トランスフォーマー コンボイの謎」をテーマにしたショートアニメシリーズ。伝説の無理ゲーをチョロQサイズのトランスフォーマーたちがこきおろすさまは爽快で、カートリッジを泣きながら叩きつけたあの頃の自分は間違っていなかったと、やさしい気持ちにすらさせてくれる。メタ発言がもりだくさんの前半部だけでもお腹いっぱいだが、本番はキャストが自由なトークを繰り出すアドリブ大喜利コーナーだ。第1話から「ビーストウォーズはかわいくない」と言ったアブナイ話題が飛び交い、タカラトミーの懐の広さまで感じ取ることができる。オプティマスプライム役の細谷佳正さんは一発録りのCMにチャレンジするなど本編の枠を越えて大活躍。最終話で番組タイトルを変更してしまう暴走っぷりも見逃せない。
2015年冬アニメの一覧は、こちら。
(文/高橋克則)
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