【アニメコラム】アニメライターが選ぶ、2015年夏アニメ注目の5作品を紹介!

40本以上の作品が勢揃いした2015年夏アニメ。怒濤の新番組ラッシュを前にして、どのアニメを見ればいいのかとまどっている人も多いだろう。そこで今回は夏アニメの注目作品をセレクションした。

麻枝准のオリジナルアニメ第2弾「Charlotte(シャーロット)」、新人声優の成長を描く「それが声優!」、90年代の金字塔「うしおととら」、ショートアニメのオムニバス枠「ウルトラスーパーアニメタイム」、王道RPG世界が舞台の「ビキニ・ウォリアーズ」。いずれも見逃せない話題作だ。



■「Charlotte(シャーロット)

「AIR」「CLANNAD」など数々のヒット作を生みだしたゲームブランド・Keyの麻枝准さんによるオリジナルアニメ第2弾。脚本は麻枝さんみずから全13話を手がけ、音楽もANANT-GARDE EYESと共同で担当。アニメーション制作はP.A.WORKSが行うなど、2010年放送の第1弾「Angel Beats!」と同じ布陣で臨んでいる。

第1話では「Key史上最高にゲスい主人公!?」というキャッチコピーに恥じないストーリーが展開。主人公の乙坂有宇が他人の体を5秒間だけ乗っ取る特殊能力を駆使し、女子生徒の下着を覗いたり、カンニングでエリート校に進学したり、学園のマドンナを惚れさせたりと小悪党っぷりを披露していた。だがそんな悪事もあっさりバレて、ほかの能力者が通う星ノ海学園へ編入させられてしまう。不完全な能力を持つ少年少女たちの成長劇だと明かされている「Charlotte」。思春期を過ごす彼らがどのような物語を紡ぎ上げていくのだろうか。


■「それが声優!

声優のあさのますみ(浅野真澄)さんとマンガ家の畑健二郎さんによる人気同人誌をアニメ化。主人公の一ノ瀬双葉はアフレコ現場であいさつ回りに奔走したり、萌咲いちごは「もうちょっと巨乳の声で」とハードルの高い演技指導を受けたりと、新人声優の悪戦苦闘する様子がコミカルに描かれている。浅野さんの実体験に基づいたリアルな声優の日常を楽しむことができそうだ。

原作は有名声優が実名で登場することも話題となったが、アニメの第1話では超大御所の野沢雅子さんがまさかのゲスト出演。そのビジュアルまで完全再現し、主役を食うほどの存在感を醸しだしている。メインキャストによるユニット・イヤホンズが歌うエンディングテーマ「あなたのお耳にプラグイン!」はラジオ番組風の楽曲で、ラップのようなクロストークに加えてリクエストソングまで挿入されるというていねいな作り。第1話のリクエストは「残酷な天使のテーゼ」だったが、今後どんな曲が飛び出すのか期待したい。アニメ業界を描いた「SHIROBAKO」が大ヒットしただけに、声優の視点から語られる本作にも要注目だ。


■「うしおととら

獣の槍の伝承者になった少年・蒼月潮と500年間封印されていた大妖怪・とらが、襲い来る妖怪たちを次々と退治し、いつしか世界の存亡をかけた戦いに巻き込まれる……。1990年代に「週刊少年サンデー」(小学館)で連載され、累計発行部数3,000万部を突破した大ヒットコミックが完結から約20年の時を経てついに復活した。

シリーズ構成には原作者の藤田和日郎さんが名を連ね、エピソードのセレクトを担当。全400話に及ぶ壮大な物語を2クール+1クールの全39話に再構成し、最大の敵・白面の者との最終決戦に向けて一直線にストーリーが進んでいく。アクションシーンでは、鎗を持つと髪が伸びて超人的な力を発揮する潮と、雷を放ちながら鋭い爪で敵を切り裂くとらが圧巻の描写で表現された。筋肉少女帯のオープニングテーマ「混ぜるな危険」も最強コンビである2人を力強いシャウトで歌い上げ、連載当時の記憶がよみがえってくる仕上がりだ。


■「ウルトラスーパーアニメタイム

TOKYO MXとBS11でスタートしたオムニバスアニメ枠。ウルトラスーパーピクチャーズ(USP)が立ち上げに関わっており、サンジゲンやライデンフィルムなど、USP傘下の作品を中心に3本のショートアニメをオンエアする。2015年夏は、堀江由衣さんがキャラ原案と主演を務める「ミス・モノクローム-The Animation- 2」、荒ぶる黄獣が三度帰ってきた「うーさーのその日暮らし 夢幻編」、普通の女子高に通うお嬢様の日常コメディ「わかば*ガール」をラインアップ。秋以降もニュースアプリをアニメ化した異色作「ハッカドール THE あにめ~しょん」をはじめ、同枠ならではのユニークな作品が控えている。

USPのイメージキャラクター・スピカとスマ子は番組のナビゲーターを担当し、オープニングでは歌とダンスを熱演している。スピカ役は石原夏織さん、スマ子役は小倉唯さんと、声優ユニット・ゆいかおりの2 人が起用され、今後の企画も気になるところ。作品でコラボレーションなども行われるのか、予想の付かない展開でファンを盛り上げていく。


■「ビキニ・ウォリアーズ

ホビージャパンが送り出すセクシー路線のメディアミックス企画。RPGではおなじみの水着にしか見えない防具・ビキニアーマーを装備した女性キャラクターの冒険物語である。5分間の本編には意欲的なアングルがこれでもかと詰め込まれ、スライムにアーマーを溶かされてしまうなど、手に汗握る光景が繰り広げられている。この潔さから人類が学べることは多いだろう。

第1話「ビキニアーマーはビキニアーマーであってビキニではない」では、過激な装備を身につけた冒険者も恥じらいの乙女であることが表現された。水着に照れて身もだえする彼女たちもまた魅力的だ。ファイターやパラディンといった職業がそのままキャラクターの名前になっているのもポイント。キャラ名を覚えるわずらわしさまで排した親切仕様で、視聴者はただ画面に映る肌にだけ集中することができる。



(文/高橋克則)

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