アーティストに直撃取材! 楽曲作りに活用しているオーディオ製品、教えてください! 第1回 yuxuki waga (fhána)

アーティストといえば、楽器にはとことんこだわっているイメージはあるけれど、再生環境であるオーディオ機器に関しては、それほど深い追求をしていないのでは?と思っている人も少なからずいることだろう。しかしながら、もともと音楽が好きで好きでたまらない、好きが高じてプロになってしまった人たちゆえに、実際のところは、オーディオ機器についてもかなりのこだわりを持っていたりするはず。そんな、アーティストだからこそのオーディオ製品チョイスと活用方法について、くわしく語っていただこうと思う。


今回のゲスト、yuxuki waga(以下、yuxuki)さんは、ソロでVOCALOIDを使用したオリジナル楽曲を発表する等の活動を経て、いまや数多くのアニソンを手がけている「fhána」のメンバーとして活躍中。そんな彼が、オーディオの再生環境の中核として今、フォステクスのヘッドホンアンプ内蔵USB DAC「HP-A8」とヘッドホン「TH500RP」の組み合わせを利用しているのだという。

──なぜ、「HP-A8」と「TH500RP」という組み合わせをチョイスしたのですか?

yuxuki 実は、fhánaのリーダーである佐藤さんが“最新のUSB DACが欲しい”と言い出しまして、メンバーで数台のデスクトップ向けUSB DACを聴き比べてみたことがあるんです。結果として、佐藤さんは別のメーカーの製品を選んだのですが、僕は「HP-A8」が気に入りまして。本当は、購入する予定はなかったのですが、ついつい、手に入れることに(笑)。とはいえ、僕が使っているモニターヘッドホンとの相性もよく、いまでは、制作した楽曲の最終チェックにも使っています。ということで、実際には先に「HP-A8」を手に入れ、それに組み合わせるヘッドホンとして、「TH500RP」をチョイスしました。


──「TH500RP」を選び出したポイントはどういった部分なのでしょうか。

yuxuki 実は僕、基本的には密閉型のヘッドホンが好きで、「TH500RP」のようなオープンエアー型はほとんど持っていないんです。エネルギッシュな、パワー感のある音が好きなので。まあ、AKG「K702」のような名機は別ですけどね(笑)。いっぽうで、シビランス(サ行などの発音で生じる歯擦音)がやたら強かったり、高域の鋭すぎる、聴きづらい音も嫌い。さらに言えば、低域の輪郭が甘い、単にボリューミーな音も嫌い。すいません、ワガママで(笑)。そういった僕の好みに、「TH500RP」がピッタリだったんです。


──歌声がいいんですか?


yuxuki そうなんですよ。特に、「HP-A8」と組み合わせて使うことで、高域が鋭くないのにボーカルがしっかりと聴こえてくるようになる。細やかな表情まで、ちゃんと見えてくるんです。いっぽう、低域もフォーカス感が高くて、ボワついた感じが皆無。試しに50HzあたりをEQで上げてみたのですが、とっても明瞭な、ソリッドな響きの低域を聴くことができました。さすがフォステクス同士というべきでしょうか、バッチリの相性です。

──スピーカーもヘッドホンも、プロ用機器を数多くリリースしているフォステクスだからこその扱いやすさもあるのでしょうね。

yuxuki そういったこともアドバンテージのひとつとしてあるのでしょう。とはいえ、モニター用、リスニング用、関係なく、音質にこだわっているメーカーであることがいちばんのポイントだと思いますよ。


──8月5日には、TVアニメ「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ ヘルツ!」オープニングテーマである、ニューシングル「ワンダーステラ」が発売されますが、こちらの楽曲制作にも、「HP-A8」と「TH500RP」は活用されていたりするのでしょうか。

yuxuki
 思いっきり活用しています(笑)。今回僕はギターにくわえて、シンセの打ち込みやリズムセクションのアレンジも担当しましたので、それらのパートの音チェックに使いました。特にギターにおいては、ヘッドホンの中域の表現力・解像度が素晴らしく、ちょっとした音色の変化もつかみやすかったので、大いに役立ってくれました。また、「ワンダーステラ」については、fhána担当のサウンドプロデューサーであるアイウィルの佐藤純之介さんの力添えもあって、CDに加えてハイレゾも同時リリースされることになりました。こちらの音源だと、そういった微妙なニュアンスまでとことんこだわった様子がつかみやすいと思いますので、ぜひハイレゾ版も聴いていただけたら、と思います。


──実は今日、フォステクスからこの秋に発売予定となっている新製品をお持ちしました。「T50RPmkIIIn」(9月上旬発売)という半開放型ヘッドホンで、プロ用モニターヘッドホンとして海外でも人気の高い製品のリニューアルモデルです。こちら、同じRP振動板(Regular Phaseの略で一般的なドーム型とは異なり平面の振動板形状を持つ)を採用する「TH500RP」で培った最新の技術が投入されています。

yuxuki おお、早速聴かせてください。

──どうぞ。

yuxuki いいですね、これ。「TH500RP」が好きですが、こちらもなかなか。明らかに、モニターヘッドホンとしてのバランスは、「TH500RP」とはキャラクターが違いますが、逆に言えば、モニターヘッドホンとして、大いに役立ってくれそう。実際、音を録ったりするのに使えそうです。レコーディングに「T50RPmkIIIn」を使い、ダビングやリスニングに「TH500RP」を使うのがよさそうです。ますます、フォステクス率が高まってしまいそうです(笑)。


(取材・文/野村ケンジ)



<fhánaプロフィール>

サウンド・プロデューサーの佐藤純一、yuxuki waga、kevin mitsunagaと、ボーカリストのtowanaによる4人組ユニット。 2013年にランティスよりメジャーデビュー、今年2月には1stアルバム『Outside of Melancholy』をリリースし、オリコン週間ランキングで8位を獲得した。 8月5日には、6thシングルとなる「ワンダーステラ」(TVアニメ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ ヘルツ!』OP主題歌)のリリースが決定。


■6thシングル「ワンダーステラ」
レーベル:ランティス/2015年8月5日発売 1,300 円(税抜)

【収録曲】

01. ワンダーステラ

  作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána

02. cymbals will ring

  作詞:林 英樹 作曲:kevin mitsunaga 編曲:fhána

03. ワンダーステラ(Oii ” Patchwork” Remix)

  作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:Oii

04. ワンダーステラ(Instrumental)

05. cymbals will ring(Instrumental)



(C) 2015 ひろやまひろし・TYPE-MOON / KADOKAWA /「 プリズマ☆イリヤ ツヴァイ ヘルツ!」製作委員会

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