メロキュア10年振りの新作「メロディック・スーパー・ハード・キュア」。ここには、たくさんの愛が詰まっている!

岡崎律子と日向めぐみ(meg rock)によるボーカルユニット、メロキュアが、10年ぶりに新作CDをリリースした。今までにリリースした全楽曲をリマスタリングして収録、さらに新曲を含む新録音8曲で構成された2枚組。制作にはクラムボンのミトをはじめ、kz(livetune)、末光篤、西脇辰弥などそうそうたるクリエーターが参加と、どこを取っても“メロキュ愛”に満ちあふれた、ファン感涙の作品になった。さらに9月には、リリースを受けてのワンマンライブも開催されることに。すべての中心にいる日向めぐみに、今のメロキュアを語ってもらった。オーディオ&ビジュアルライター・野村ケンジ氏とのFitEar談義も合わせてご紹介する。


メロキュアのメンバーとしての責任を取らなければ


──「メロディック・スーパー・ハード・キュア」は2枚組で、disc 1は基本的には、2004年にリリースされたメロキュアの1stアルバム「メロディック・ハード・キュア」のリマスター版ですね。ボーナストラックの「Agapē [水の惑星version]」がdisc 2に収録されて、その代わりにアルバムの翌年にリリースされたシングル曲「ホーム&アウェイ」が入っています。

日向 そうですね。disc 1は全曲オリジナルでまとめました。自分たちの作品をリマスタリングする機会なんてなかなかないので、とにかくこんなに音が変わるんだと感じたのと、今回から初めてメロキュアの制作に携わるスタッフのみなさんの感想が新鮮で。「メロディック・ハード・キュア」と同じ流れで聴きながら、「なぜ、この曲順に?」みたいな(笑)。

──11年という時を超えた、新鮮な疑問ですね(笑)。

日向 改めてそう言われてみると、曲順すらもメロキュアはやり散らかしているんだなって(笑)。今回のCDで初めてメロキュアを聴いてくださるリスナーのみなさんも、もしかしてそんなふうに感じたりするのかなと、想像したりしました。13年もやっていると、スタッフもリスナーのみなさんも、メロキュアに入ってきた時期が千差万別で、だからこそみんなにとっての正解はひとつじゃない。たとえば「ホーム&アウェイ」という曲のとらえ方も、人によって違うんだなと思わされた瞬間が、今回の制作の中であったんです。

──「ホーム&アウェイ」は、曲の制作時期とCDのリリースが2年近く離れているんですよね。

日向 リリースのタイミングで言うと、「メロディック・ハード・キュア」までの流れからひとつだけ離れている存在じゃないですか。アルバムに入っていない曲だから、ご存知ないままのリスナーの方もいるかも、くらいのテンションでとらえていたんですけど、今回のアルバムのキャンペーンでオルゴールを作ることになって曲を決めている時に、「Agapē」、「1st Priority」に次ぐ候補曲として「ホーム&アウェイ」をあげてくださったスタッフの方がいて。その方は、中学生の頃とか、それこそ多感な頃からメロキュアを聴いてくださっていた、“メロキュア育ち”の方だったんですが、その時に、ふと、アルバムから1年後にリリースしたシングルの、リスナーのみなさんにとっての意味の大きさを、私はわかっていたつもりでわかっていなかったのかもしれないなと。

──「ホーム&アウェイ」のリリースは、メロキュアファンにとってはおおごとだったと思いますよ。

日向 当時の自分は、とにかくリリースすることに精一杯で、今回、「ホーム&アウェイ」をみなさんがどれほど大事に聴いてくださっていたか、改めて感じて。その時に、メロキュアのメンバーとして、私は責任取らなければいけないなって思ったんです。やり散らかすのがメロキュアなら、今後もやり散らかし続けなければと。「一生メロキュア」と言ってきた通り、やっぱり私はメロキュアの曲を歌い続けたいなと思いました。


大好きだけを詰め込んだdisc 2


──「やり散らかす」というのは、今回の「メロディック・スーパー・ハード・キュア」のキーワードですよね。インストアライブでもそうおっしゃっていましたし、すごく自由な発想のもと、制作がおこなわれた作品という印象があります。

日向 楽しかったですね。「disc 1はハッピーだけを詰め込んで、disc 2は大好きだけを詰め込みました」とよく言っているんですが、関わってくださったみなさまの“メロキュ愛”に溢れた作品になりました。私にとってのフェイバリット、参加してくださった方々にとってのフェイバリットを詰め込んだCDが、リスナーのみなさんにとってのフェイバリットにもなれたりしたらいいなと。

──いろいろな方が手がけたリアレンジは、バラエティに富んでいて、しかも2015年のサウンドになっていると感じました。ミトさんとkzさんの「Agapē」だけはリミックスですが、これはなぜですか?

日向 ミトさんにも、最初はリアレンジでお願いしていたんですが、途中でリミックスに変わっていたという事件があって(笑)。まずはリアレンジする方向で話し合っていた時にミトさんが、kzくんにリズムとかキラキラ成分をお願いしてもいいかもとおっしゃって。kzくんは、私も提供曲でご一緒していたり、プライベートでも仲良くさせていただいているのもあって。

──それでkzさんが加わって、リアレンジがリミックスになっていくわけですね。

日向 制作のためにお渡ししたセッションデータがきっかけだったんじゃないかと思います。「リアレンジの際に、このボーカルデータを使っていただければ」とお渡ししたつもりだったんですが、セッションデータでお渡しした意味をミトさんが深読みしすぎちゃったみたいで。

──「Agapē」のボーカルトラックは60もあるそうですね。

日向 メインとコーラスが逆パターンの[switched edition]のデータもお渡ししたので、その倍です。ミトさんとkzくんのリミックスではりっちゃんと私のユニゾン率が高めなんです。メインボーカルもコーラスも。

──多重性があって、透明感がさらに増した「Agapē」でした。

おすすめ記事