音楽で物語を表現する――羽多野渉がアニメ「Dance with Devils」とニューシングル「覚醒のAir」に込めた思い
好評放送中のオリジナルミュージカルアニメ「Dance with Devils」(通称「ダンデビ」)のオープニングを飾るのは、羽多野渉さんの5枚目のシングル「覚醒のAir」。声優とアーティスト、2つの側面が互いに刺激を与え合い、進化し続ける羽多野さんの情熱に迫った。
※番組の詳細情報は「2015秋アニメ」にて。
歌でストーリーが進み、歌が感情を代弁する
──アニメ「Dance with Devils」には、立華リンド役でご出演もされています。
羽多野 ほとんどの作品のオーディションでは、受ける役のセリフを演じる審査があるのですが、この「ダンデビ」はキャラクターとしての歌唱審査もありました。それが非常に印象に残っていたので、出演が決まった時は本当に嬉しかったです。オリジナルミュージカルアニメということで、音楽も作品に密接に関わってくるんですよね。アニメのアフレコとほぼ同時進行でキャラクターが劇中で歌うミュージカルソングのレコーディングをしたので、集中力が切れることなく楽しく関わることができました。
──ミュージカルアニメというのは珍しいですが、難しさは感じましたか?
羽多野 挿入歌としてバックグラウンドにキャラクターソングが流れることはありますが、この作品はミュージカルなので、セリフやモノローグの代わりに歌が流れるんですよね。歌によってストーリーが進む感覚はとても面白くて、新鮮でした。ただ、通常のセリフと歌は分けて収録していたので、前後の感情を想像しながら演じていくのが難しかったです。
──演じる立華リンドは、主人公の兄でエクソシストという役どころですね。
羽多野 リンドはエクソシストとしての力を磨くためイギリスに留学をしていて、妹からの連絡を受け、リツカを守るために日本に帰ってきます。今後は戦うシーンなどもありますよ。
──とても妹思いなキャラクターで。
──「ダンデビ」の魅力はどんなところにあると思いますか?
羽多野 企画のRejetさん、吉村監督、音楽のElements Gardenさんなど、アニメ業界を引っ張っているヒットメーカーの方たちが集まり、時間をかけて丁寧に制作しているので、とにかく面白くて印象に残る作品だと思います。そこに声優として関われたことが光栄ですし、キャストも非常に音楽表現が上手な方ばかりで……。よい刺激をたくさん受けているので、今後の音楽活動においても、貴重なエネルギーになると感じています。ワルツ、ロック、ラップなど、キャラクターによって音楽のジャンルも違うので、音楽的な魅力にも注目していただきたいですね。
いっしょに拳を振り上げて、熱く叫んでほしい
羽多野 デモを聴いた瞬間、マネージャーに「これ難しいです」と言ってしまいました(笑)。羽多野渉名義での音楽活動に関しては、等身大の温かみのある音楽からスタートして、前作の「Hikari」で初めてロックに挑戦したんです。ロックは奥が深いなと思っていたら、「覚醒のAir」でさらに先に進むことになって。この曲は息継ぎもままならないぐらい速いので、ずっと走り続けている感じですね。(作/編曲を担当した)Elements Gardenの藤田さんには「ダンデビ」で初めてお世話になったのですが、こちらの意見やアイデアも柔軟に取り入れてくださったので、自分らしくまとめることができたと思います。
──作詞を担当されたRejetの岩崎さんとも初めてごいっしょされたとか。
羽多野 最初に思わず「難しい」と言ってしまったのには理由があるんですよ。Rejetの岩崎さんとElements Gardenさんのコラボが「ダンデビ」の注目ポイントのひとつでもあるのですが、何が難しいかと言うと、ひとつのメロディーに対して文字が多くて、歌詞がギュッと凝縮されていること。それが疾走感や情熱を生んでいるので、きっと聴いてくださる方にも伝わるのではないでしょうか。
──歌詞の中で特に印象に残ったフレーズはどのあたりでしたか?
羽多野 Bメロの「さあ、明日へとRise!!! 覚醒の時」です。この部分は少しリズムが重くなっていて、後ろで群衆が拳を振り上げて「Rise!!!」「覚醒の時」と叫んでいるイメージ。レコーディングの時に藤田さんとアイデアを出し合い、メインボーカルの後ろに群衆のガヤのようなものを入れたんですよ。完成した楽曲を聴いた時も印象的に響いてきたので、ぜひライブでもいっしょに拳を振り上げて歌ってほしいと思っています。
──今回は、羽多野さん名義の楽曲では初めてのリップ音も入っていますね。
羽多野 声優のお仕事では週1ぐらいでリップ音を使っているので、非常に僕向きなギミックかもしれません。ただ、個人名義の曲は今後ライブなどで歌う機会も多いと思うので、少し恥ずかしくて……ライブでしらけないように願うばかりです(笑)。CDを聴く際はイヤフォンやヘッドフォンで聴いていただけると、音が鮮明に聴こえるのではないかと思います。
──歌唱の際に意識されたことはありますか?
羽多野 レコーディングの資料として、プロの方がボーカルを入れた"仮歌"をいただくのですが、今回その方がV系ロックのような歌い方をされていたんです。僕は声質がまろやかだとよく言われるので、そのまま真似するとちぐはぐになってしまうと思い、自分なりの歌い方を考えました。ソリッドな歌いまわしはしているのですが、僕が歌うことでどこかドラマチックになるといいな、と。艶やかさと力強さを出したかったので、そのあたりは気をつけましたね。
──ファンの反応はいかがですか?
羽多野 「歌をきっかけにアニメに興味を持ちました」や「オンエア楽しみです」といった声が寄せられていて、オープニングを歌う醍醐味を感じています。
──逆に、アニメを観て羽多野さんに興味を持つ方もいると思います。
羽多野 それもありがたいことですよね。ストーリーを追いながら聴いていただくと、また違った角度から歌詞の解釈ができると思います。誰目線の歌詞なのか、何を意味しているのか、想像力が働いて楽しめると思うので、長く聴いていただけると嬉しいです。
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