【アニメコラム】アニメライターが選ぶ、2016年冬アニメ注目の5作品を紹介!

2016年の幕開けを飾る冬の新作アニメは総勢40本以上。どの作品を見ようかと目移りしてしまう豪華なラインナップだ。そこで今回は2016年冬アニメの注目作品を一挙にご紹介!

オーバーラップ文庫の異世界ライトノベル「灰と幻想のグリムガル」、吹奏楽部が奏でる学園ミステリー「ハルチカ~ハルタとチカは青春する~」、警察の特殊部隊を描くオリジナルアニメ「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-」、実写映画化も決定済みの人気コミック「僕だけがいない街」、累計400万部突破のSFアクション「亜人」をセレクトした。よりどりみどりの最新作を楽しんで、最終回まで駆け抜けていこう!


灰と幻想のグリムガル

ゲームのような異世界・グリムガルに迷い込んだハルヒロ。名前以外の記憶を失っていた彼は、同じ境遇の仲間とパーティーを組んで生きるための戦いに身を投じていく……。異世界転生ものの主人公は現実の憂さを異世界で晴らすのが一般的だが、「灰と幻想のグリムガル」はそんなお約束を許さないシビアな展開が持ち味。特別なスキルのないハルヒロは、最弱モンスターのゴブリンにさえ苦戦する過酷な冒険を余儀なくされる。「生きるって、簡単じゃない。」というキャッチコピーも、常に死が隣り合わせのバトルを象徴している。

監督は中村亮介、キャラクターデザインは細居美恵子が担当。2人が手がけた「ねらわれた学園」や「あいうら」は、キャラクターの息吹まで感じられるていねいな作画でアニメファンを驚かせた。「灰と幻想のグリムガル」では戦闘の恐怖が伝わってくるリアルな描写を見られそうだ。元プロ野球選手・落合博満の息子“フクシくん”こと落合福嗣が初レギュラーを射止めたことも話題に。



ハルチカ~ハルタとチカは青春する~

フルート奏者の穂村千夏(チカ)とホルン奏者の上条春太(ハルタ)が学園内外の謎を解き明かす青春ミステリー。原作の推理小説「ハルチカ」シリーズは、単なる謎解きだけに留まらない多彩なモチーフが魅力でミステリーファン以外からも評価が高い。たった5人の吹奏楽部が仲間を増やして全国コンクール・普門館を目指すストーリー、顧問の草壁先生を巡るちょっと不思議な三角関係、変人だらけの生徒たちが巻き起こす大騒動など、ミステリー観が一新される驚きに満ちている。

監督はオリジナルアニメ「TARI TARI」で合唱部の青春群像劇を描き上げた橋本昌和。音楽に深いこだわりを持ち、ときには自ら作詞もこなす橋本監督が吹奏楽をどう表現するのだろうか。小説ではカットされていた大会の演奏シーンも描くと明言しており、音楽アニメとしても見逃せない一作である。



アクティヴレイド -機動強襲室第八係-

流砂現象の復興作業用に作られた強化外骨格・ウィルウェアを使った犯罪が増加の一途をたどる近未来。警察庁警備局はウィルウェア犯罪に対抗すべく、第五特別公安課第三機動強襲室第八係を実験的に創設した。通称・ダイハチのメンバーは法的制約に縛られながらも警察官として凶悪事件に立ち向かっていく。

総監督の谷口悟朗と監督の秋田谷典昭は「コードギアス 反逆のルルーシュ」や「ガン×ソード」でタッグを組んだ経験があり、メカアクションはお手の物。「プラネテス」では宇宙企業のお荷物部署・デブリ課の活躍を描いていたため、警察をテーマにしたお仕事ものの側面にも注目したい。PVにはウィルウェアが水戸黄門の印籠のように警察手帳をかざす場面が登場。世界観を含めて、どこか懐かしい雰囲気を楽しめそうだ。



僕だけがいない街

マンガ家の藤沼悟は事件や事故に遭うと、原因を解決するまで同じ時間を繰り返してしまう特殊能力「再上映(リバイバル)」の持ち主。不思議な力に導かれるように日常のアクシデントを防いでいた悟はある出来事を契機に、クラスメイトが殺された小学生連続誘拐殺人事件と再び対峙することになる。

現代と過去が交錯する時間逆行サスペンスに挑むのは「ソードアート・オンライン」の伊藤智彦。監督デビュー作「世紀末オカルト学院」も1999年と過去が舞台で、タイム・トラベルやミステリーの要素が盛り込まれていた。「僕だけがいない街」では作品をよりリアルにしたいという意向から、主演にはアニメ声優初挑戦の土屋太鳳と満島真之介を抜擢。2人1役で10歳と29歳の悟に息を吹き込んでいく。



亜人

どんな状況下でも決して死なない新人類・亜人と、それを追う日本国政府の戦いを描くSFサスペンス。男子高校生・永井圭はトラックに轢かれて事故死した直後に息を吹き返し、国内3例目の亜人と判明。政府から身を守るために逃避行を続けていく。懸賞金目当ての人々に狙われ、人体実験で何度も殺されるなど容赦のないストーリーが見どころだ。叫べないように声帯を切除されたり、指を1本1本切り落とされたりと、痛すぎるシーンには思わず目を背けてしまうほど。

セリフを先に収録するプレスコ方式を採用し、キャストの表情や感情の動きを参考に映像を作り上げた。圭役の宮野真守ら声優陣の熱演もダイレクトに感じることができる。制作は「シドニアの騎士」のポリゴン・ピクチュアズが担当。劇場アニメ3部作も制作中だが、テレビシリーズは総集編ではなく同じ素材を別監督が構成している。テレビ向けにチューンナップされた仕上がりに期待がかかる。




(文/高橋克則)

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