「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」キャストは全員犬派!? アフレコ取材レポート
2016年3月4日よりTVアニメ「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」の放送がスタートする。アニメーション監督の新海誠が自主制作時代に手がけた「彼女と彼女の猫」を新たな制作陣がアニメシリーズ化した話題作だ。
2月3日にはアフレコが行われ、「彼女」役の花澤香菜、黒猫役の浅沼晋太郎、友人役の矢作紗友里、母親役の平松晶子が合同取材に登壇した。アフレコに込めた思いから、猫派・犬派といった話題まで、さまざまなエピソードが飛び出した。
フィルムにやさしさがにじみ出ている
黒猫を演じる浅沼は2006年に「ゼーガペイン」で声優デビューして今年で10周年を迎える。「デビュー作では主人公とヒロインという役柄で香菜ちゃんと共演し、それから10年の節目にまた一緒にお芝居ができたことを光栄に思っています」と心境を語った。「ゼーガペイン」にも黒猫が出てきたことや「にゃんこい!」では猫と会話ができる主人公を演じたことなど自身のキャリアを振り返り、「そういった意味でも、今回のキャスティングにはとても縁を感じましたね」と胸の内を明かした。
新海誠監督の「彼女と彼女の猫」は猫のモノローグがメインで、「彼女」のセリフはほぼ存在しない。そのため今回の「彼女」役の花澤は「キャスティングがあるということはしゃべるのだろうか。一体どんな作品になるんだろう」と気になっていたとのこと。またキャスト4人の中では唯一、新海作品への出演経験があるため、監督との思い出話に花を咲かせた。2013年に「言の葉の庭」でヒロインを演じた際には、何度も打ち合わせを重ねてからアフレコに臨んだそうだ。「普通のアニメではあまりないことなので、時間と愛情をかけてじっくりと作品に向き合っていく方なんだなと印象に残っています」と懐かしんで、「新海さんは誰からも好かれるやさしい方なんです。フィルムにもやさしさがにじみ出ていますよね」と笑みを見せた。
矢作は原作には登場しない「彼女」のルームメイト役を担当。「私は最近イジワルな役柄が多いので、今度はどんな嫌がらせをするんだろうとドキドキしていましたが、やさしい女の子役でありがたかったです」と他のキャストを笑わせる。彼女の母親役を演じる平松は、新海監督が手がけたCMを見て「こんなキレイなフィルムができるなんてすごい!」と感激したと語った。
「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」は新海監督のショートフィルムをもとに、坂本一也監督が手がけたTVアニメシリーズである。原作との違いについては、猫と「彼女」だけではなく、「彼女」を取り巻く人々の姿も描かれていることなどが明かされた。平松は2つの作品について「どちらも行間を感じられるフィルムになってますよね。色でたとえると原作はセピアやモノトーンのような印象を受けました。『Everything Flows』では『彼女』にまつわる人も関わってきて、世界がカラフルになった気がします」とコメント。花澤も「黒猫との出会いをはじめ、さまざまなドラマが盛り込まれています。どういうところに共感してもらえるのか今から楽しみです」とオンエアが待ち遠しい様子だった。
キャストは全員犬派!?
今回が初監督となる坂本監督は、大の猫好きであることからオファーを快諾した。キャスト陣は「坂本監督は今日だけでアフレコが終わってしまうのがもったいないですと話していましたが、こちらも同じ気持ちでした」(矢作)、「言葉や佇まいなどのすべてから、作品に対して真摯に取り組んでいる方なんだなと伝わってきた」(平松)、「僕たちも襟を正さないとと思いながら演じました」(浅沼)と、その仕事ぶりを絶賛。1日だけのアフレコながら充実した現場になったようだ。
猫を演じる難しさを聞かれた浅沼は「動物を飼ったことがある人なら“この子がしゃべったらどんな言葉をしゃべるんだろう”と誰しも一度は考えますよね。でも同時に“こんな風にしゃべってほしい”といった希望のようなものも持っていると思うんです」と、聞く人の気持ちを裏切らないように悩みながら演じたと告白する。モノローグではなく「ニャー」と言った鳴き声を出すシーンがあるのかという質問には「いろいろな猫の鳴き声を頑張って練習してきたのですが、やらなくていいと言われました。ホッとした半面、ちょっと寂しかったかな」と照れた表情を浮かべていた。
日本国民を二分する「猫派・犬派のどちらか」の質問が出ると、キャストは「猫も好きですけど、どちらかと言うと犬派です」(浅沼)、「ポメラニアンが飼いたい」(矢作)、「猫アレルギーなんです」(平松)とまさかの犬派宣言。そして花澤も「犬猫アレルギーで猫を飼っていたことがないんです。でも、子供のころに祖父の家では犬を飼っていたので、犬との思い出を胸に今回のアフレコに挑みました」と打ち明ける事態に陥った。
だが花澤は「でも犬や猫に限らず、動物だけに見せる顔は絶対にありますよね。家族にも友達にも、恋人にも見せられない愛情や弱さが猫の視点から描かれているのは『Everything Flows』のグッとくるところだと思います」とすかさずフォロー。浅沼も「『Everything Flows』は猫が好きになれる作品です。猫派の人は“こういうところが猫のいいところなんだよなー”と思えますし、猫の気まぐれな性格が苦手な人も“本当はこう考えているのかも?”という視点が生まれて、猫に対してもう少し親しみを感じられるかもしれない」と、猫派・犬派を問わず、誰でも楽しめる作品であることを伝えた。
さらに矢作も「親元を離れて1人で住んでいる人は、お母さんに電話をして作品を教えてあげてほしい」とお願いし、母役の平松から感謝される一幕も見られた。ペットの趣味や年齢を超えて、幅広い人々から愛される作品に期待したい。最後は花澤が「アフレコは4本を1日で収録してしまったため、今は名残惜しい気持ちでいっぱいです。そんな気分になってしまうくらい心洗われる素敵な作品になっています」とファンにメッセージを送った。
(取材・文/高橋克則)
放送情報
「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」
・TOKYO MX:2016年3月4日より 毎週金曜日23:00~23:30
・BS11:2016年3月6日より 毎週日曜日25:00~25:30
ウルトラスーパーアニメタイム枠 「コミックス・ウェーブ・フィルム オムニバス」にて
(C) Makoto Shinkai/CWF・彼女と彼女の猫EF製作委員会
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