野良犬らしく、ワイルドに── GRANRODEOが、「文豪ストレイドッグス」OP主題歌「TRASH CANDY」をリリース

11年目に突入したGRANRODEOが、今年1発目のシングル「TRASH CANDY」をリリース。TVアニメ「文豪ストレイドッグス」のオープニング主題歌であるこの曲は、ひと筋縄ではいかない骨太のロックだ。そして、今回のアーティスト写真で、なぜか赤い丸を背負っているKISHOW(谷山紀章/ボーカル)とe-ZUKA(飯塚昌明/ギター)。そこにはGRANRODEOの、ユニットとしての方向性が暗示されていた?


「そう来たか!?」と思われる曲にしたかったんです


──ニューシングル「TRASH CANDY」は、「文豪ストレイドッグス」のOP主題歌です。制作にあたって、まずはどんなことを考えましたか?

e-ZUKA GRANRODEO、2016年の1発目、そして結成11年目の1発目のシングルとして、「そう来たか!?」と思わせたいというのが、ありましたね。ずっと「黒子のバスケ」の主題歌をやらせていただいてきて、爽やかな曲が多かったですし、去年リリースしたベストアルバム「DECADE OF GR」に入っていた新曲2曲も聴きやすい曲だったので、その反動じゃないですけど、激しめの曲でいこうと。

──リズム的にも引っかかりがあって、ゴツゴツしている印象でした。

e-ZUKA フックだらけですよね。意図的に不自然にしたというか、テクニカルな曲になっています。イントロをシンセにするのも最初から決めて、全体的には、「ストレイドッグス」(=野良犬)らしく、やさぐれた曲調にしようと。

──荒々しさがあって、バトルアクションである「文豪ストレイドッグス」にぴったりのサウンドだと感じました。

e-ZUKA アニメの第2弾PVで、初めて映像に「TRASH CANDY」が付けられたのを見て、作品の世界観に合った曲になったなと。GRANRODEOのニューシングルとしても、「文豪ストレイドッグス」の主題歌としても、いいものができたと思います。

KISHOW 僕の印象は、音数が少なくてシンプルな曲だなと。それだけに、歌い方次第で印象がかなり変わると思いましたね。疾走感があって切れ味鋭い曲調だったので、何を言ってるかわからないような、歌詞カードを見なきゃ聴き取れないくらいの感じで歌ってみました。僕はわりと好んでやる歌唱法なんですけど。

──KISHOWさんが書かれた歌詞も抽象的で、歌詞が聴き取れないとなると、なおさら歌詞カードと一緒に聴きたくなります。

KISHOW そこが狙いですね。アニメを見て、何を歌っているのか気になった人には、ぜひCDを手に取ってもらおうと(笑)。

──なるほど(笑)。作詞の際に、原作やアニメの資料に触れられたと思いますが、「文豪ストレイドッグス」という作品の印象はいかがでしたか?

KISHOW 発想がおもしろいですよね。それに、すごくコンセプチュアルな、狙いどころの多い作品だと思いました。文豪の名前を持つキャラクターたちが出てきて、それぞれがキャラ立ちしているのは乙女心をくすぐりますし、異能力バトルや秘密の探偵社という設定は少年心をそそります。これは売れるなと(笑)。

──原作からして人気作ですからね。

KISHOW だから歌詞も、最初は、登場する文豪たちの作品から引用した言葉を散りばめると、みんなに喜んでもらえるのかなと考えたりしたんですけど、それはちょっとあざといから、ヤメにしました(笑)。結局はいつものGRANRODEOらしい歌詞になりましたね。



文豪だって、中二病が多かったんじゃないかと


──KISHOWさんは、劇中で中原中也を演じられるんですよね。中也にどんなイメージを持っていますか?

KISHOW 漫画家さんとかミュージシャンに、熱烈なファンが多いというイメージですね。実は、僕も中也ファンだと思われている節があるんですよ。GRANRODEOの9枚目のシングルに「SUGAR」という曲が入っているんですが、その中に「前略 中原中也様 僕の悲しみなんて汚れちまったみたいです」という歌詞があって。

──「文豪ストレイドッグス」の中原中也の異能力も「汚れつちまつた悲しみに」なんですよね。

KISHOW 一番有名なところですからね。歌詞にしてるし、中也と僕は同じ山口県出身ということもあって、「中也が演じられてよかったですね。大好きな詩人ですよね」って言ってくれるファンの子もいるんですけど、いやいや、本当のところは、そこまで好きじゃないしって(笑)。でも、いろいろ深読みしていただけるのはありがたいので、「そうなんだよ、よく覚えててくれたね」って言っておきたいですね。

──深読みは、ファンの醍醐味ですから(笑)。歌詞で興味深かったのは、フルサイズでしか聴けないところなんですけど、「野良猫」というワードが入っていたことです。「野良犬」じゃないんですね。

KISHOW そこは実は迷ったんです。ストレイドッグかストレイキャットか、どっちにしようと。作品にあくまで寄り添うか、あえてズラしてケレン味を出すか。結局、両方ともレコーディングしてみて、前後の歌詞のつながりや、音感で、「野良猫」にしました。今思ったんですけど、100枚に1枚くらいの確率で、「野良犬」バージョンを入れてみてもよかったかも(笑)。レアキャラ当たったみたいな感じで。

──はははは(笑)。ライブで使い分けしてみるとか、どうですか?

KISHOW それも面白いかも。「今日は『野良犬』で来たか!?」とか(笑)。

──歌詞ではもう一ヵ所、「中二病」というワードが耳に残りました。こんな言葉を入れてくるのかと。

KISHOW 遊び心で入れた言葉ですね。文豪だって、中二病が多かったんじゃないかと思うんです。

──当時はそういう言葉がなかっただけで、中二病って、青春の悩みとか恥ずかしさのことですからね。

KISHOW そうそう。いわゆる中二病的な感覚がなくなっちゃったら、人生、面白くないよなって。知ったふうな顔して、シニカルに生きてみても、つまらないじゃない? という僕からの投げかけですね。

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