ホビー業界インサイド第10回:プロモデラーが出迎えるホビーショップの存在意義 「模型ファクトリー」マイスター、関田恵輔、インタビュー!

プラモデルばかりか、ドールハウスのキットや色彩の専門書まで並ぶ、明るく落ち着いた店内。充実した品ぞろえの工具や塗料、塗装ブースまで完備した作業スペース――。新宿マルイ アネックスの7階にある「模型ファクトリー」は、従来のプラモデル屋、ホビーショップとは一線を画するムードの店舗だ。

プロモデラーでもある店員(マイスター)たちは、豊富な経験と知識で、来店者をガッチリとサポート。同店のマイスターであり、店長でもある関田恵輔さんに、「模型ファクトリー」の経営理念をうかがった。


“モノづくり”の情報発信源としてのプラモ屋


──模型ファクトリーは、株式会社ライデンシャフトが経営しているんですね。ライデンシャフトとは、どのような会社なのですか?

関田 2009年に、「人々の知的好奇心を刺激しよう」という意図で、代表取締役社長の有馬律雄が始めた会社です。有馬が艦船模型を趣味にしていたこともありまして、日本人ならでのモノづくりを意識して、作業スペースのある模型店を設立しました。ライデンシャフトは大きく分けると、模型部門とサイエンス雑貨を取り扱う部門があります。サイエンス雑貨とは、ガリレオの模型、隕石や鉱物、恐竜グッズなどの雑貨です。われわれは模型部門として、“モノづくりに関して情報を伝えていくプラモデル屋”を目指しています


──模型づくりのイベントを、盛んに行っていますよね。

関田 まず、私のほうでエアブラシ基礎塗装講座、グラデーション塗装講座など、単独の技術に焦点をあてた講座を行っています。次に、ニッパーすら触ったことのない方が、仕上げや塗装まで体験できる、5~6回ぐらいの連続講座があります。もうひとつ、女性の入りやすい店舗ですので、プロモデラーのオオゴシ*トモエさんに講師をお願いして、女性だけを対象にしたワークショップも行っています。

──プラモデルだけではなく、ドールハウス関連の商品も多く売っていますね。

関田 そうですね、ドールハウスはある意味プラモデルよりも歴史の深い「模型」でもありますし、figmaやリボルテックなどの可動フィギュアと同じ、1/12スケールでドールハウスを展開しているメーカーさんもあります。完成品の可動フィギュアとプラモデル、両方を楽しんでらっしゃる方もいらっしゃいますので、ドールハウス関連は、そういったニーズの延長線上で、お客様に提案できる物としても考えています。

──女性客の取り込みに成功しているようにお見受けしますが?

関田 「潜在的にプラモデルを作りたい女性はいるんだけれど、なかなか作りづらい」雰囲気は、これまでのプラモデル文化が、醸成してきてしまった部分なのかもしれませんね。昔の模型店というと、あまりきれいではなくて、ガラガラッと引き戸を開けると、奥から店のおじさんが暗い声で「いらっしゃい」と、いうようなイメージでしたが、今では明るい量販店やインターネットがあり、誰でも買いやすい状況はありますよね。だけど、箱をあけてバラバラなパーツを見て「やっぱり、自分には無理だ」と、あきらめてしまう方も多いのかも知れない――それは何も、男女を問わないと思います。そういった方が当店に来ていただければ、お手伝いができるのではないか。そう思ったとき、予想よりも女性の方の反応が強かった、ということなんです。

もっとも強く反響を感じたのは、バンダイさんが「TIGER & BUNNY」のプラモデルを出したときです。「組めるところまで組みましょう」と、丸一日使った「タイバニ」の集中講座を何度か行ったところ、全回、すぐ満席になりました。ニッパーを持ったことのない方は、女性にかぎらず、説明書を読んでも迷われます。そんなとき、「こうすれば大丈夫ですよ」と直接にアドバイスできるだけでも、お役に立ててるのかな……と思います。結果的に、女性のお客様のお役に立てていますけど、特に女性だけを意識しているわけではありません。


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