アニメ業界ウォッチング第21回:広報担当から見た10年目の「ゼーガペイン」 廣岡祐次(バンダイビジュアル)&渋谷誠(サンライズ)インタビュー!

2006年にテレビ放送されたサンライズのロボットアニメ「ゼーガペイン」が、今年10周年を迎える。7月に声優やミュージシャンを集めたイベント、8月には前回発売されたBOXより特典を大幅に増したBD-BOXの一般販売、そして、10月にTVシリーズを再編集&新規カットを加えた新解釈の新作「ゼーガペイン ADP」のイベント上映が控えている。

至れり尽くせりの10周年だが、本放送当初はDVDの売り上げが伸び悩み、苦戦を強いられたのが「ゼーガペイン」という作品だ。みずからも「ゼーガ」の大ファンだというバンダイビジュアルの宣伝担当・廣岡祐次さん、制作会社から作品を支えるサンライズ・ライツ営業部の渋谷誠さんに、「ゼーガ」に対する10年目の思いをうかがった。


自社作品で一番好きなのは「ゼーガペイン」!


──まず、廣岡さんが「ゼーガペイン」と関わるまでの経緯を、ざっと聞かせてください。

廣岡 僕は新卒で㈱ナムコに入社しまして、熊本に4年間いました。そのうち、ナムコと㈱バンダイが経営統合し、バンダイナムコグループが生まれました。社会人6年目のときに、グループ会社であるバンダイビジュアルに自ら希望して移ったのですが、「ゼーガ」は熊本にいるときに家で見ていました。だけど、僕がバンダイビジュアルに入った時点で、担当者も別会社に移ってしまっていたんです。入社時の書類に「当社の作品で好きなアニメは?」という質問に『ゼーガペイン』と書いたら、経理の女の子に「変わってますね」と言われたりもしましたけど(笑)、社内では「ゼーガ」好きであることをアピールしていました。

そうこうしている時、ファン投票によりBD化してほしい作品を決めるという企画「あなたの力でBD化プロジェクト」の2回目で、ゼーガがトップに選ばれたんです! ところが、先ほども話しましたように、社内に「ゼーガ」の担当者がいない。「それなら、僕がやります」と手をあげたわけです。


──BD化が2010年で、その年の「東京国際アニメフェア」で、「ゼーガ」のステージイベントの司会を、廣岡さんがなさっていましたね。

廣岡 そうです。まず、ちゃんと人が集まるのかどうか不安でした(笑)。だけど、見渡すかぎり、大勢のファンの方が集まってくださいました。冒頭で「この中で『ゼーガペイン』、見たことある人?」と聞いたら、ほとんどの方が手をあげてくださったので、強い手ごたえを感じましたね。

渋谷 しかも、メインステージではなく、バンダイナムコグループの出展ブース内のステージだったんですよね。新作ではなくて昔の作品だったら、自社ブースのほうがいいだろうし、入場してしまえば誰でも見られますからね。

──2010年当時、渋谷さんはどういう形で「ゼーガペイン」に関わっていたのですか?

渋谷 私はサンライズのライツ営業部という、過去作品を扱う部署に所属していて、商品化を担当しています。ソフト販売や配信など、カテゴリーごとに担当者がいるのですが、2010年時点での「ゼーガペイン」は、BD-BOXだけではなくROBOT魂やムックなど、複数の商品化が同時に動いていたので、私がメイン担当となりました。


──10年前の本放送時、宣伝という立場で「ゼーガ」に関わっていた人は、現在は誰も残っていないわけですよね? そこに不安はありませんでした?

廣岡 いえ、そこは気になりませんでした。なぜなら、社内でいちばん「ゼーガ」に愛があるのは、自分だという自信があったからです(笑)。

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