世界初の3DCG・コスプレ写真集「月刊ドロンジョ」発売! 御伽ねこむに聞くCGと実写の融合

近年、アニメーション表現においてますます存在感を高めている3DCG。その技術を使った新しいキャラクター写真集の情報が飛び込んできた。国民的な人気キャラクターである「ヤッターマン」のドロンジョを3DCG・実写・イラストを融合させて作り上げた1冊のコスプレ写真集「月刊ドロンジョ」がそれだ。このモデルを務めたプロ・コスプレイヤーの御伽(おとぎ)ねこむさんと、プロデューサーである宮本和英さんに、この写真集の制作の経緯と世界初の試みの様子についてうかがった。


人気写真集「月刊シリーズ」にアニメキャラクターが登場した理由とは?


──さまざまな女優やアイドルを起用して人気となった写真集「月刊」シリーズをプロデュースされてきた宮本さんが今、アニメキャラクターシリーズを手がけることになったのはどのような理由からだったのでしょうか?

宮本和英 「月刊」シリーズという写真集は1998年11月に発売した「月刊 永作博美」からスタートして、これまで150冊以上を制作してきました。ただ、そうして時代を経るにしたがって、アイドルとファンとの関係性が変わってきているとも感じていました。握手会やイベントなどを通じて両者がフラットに近づき、アイドルがより身近な存在になってきています。僕の考える写真集というものの魅力は、普段では見られないものがそこにあるとか、想像力を刺激されるという部分にこそある。そう考えて、写真集に憧れる感覚を持ち続けた方たちの目は今、一体どこに向いているのだろうかと探したところ、アニメキャラクターにあるのではないかと思いました。いっぽうで、アニメキャラを写真集のような形にしてほしいというお話は以前からいただいていましたが、それを実現するには技術的なハードルがありました。ここ数年でようやくそれが実現レベルになったので、今回の写真集に着手したというわけです。

──キャラクター自体のファンに対してはもちろんですが、写真集という表現形態が好きな方にも今回の写真集は向けられているんですね。

宮本 まさに、そういうことです。

──そのなかで今回、国民的なキャラクターである「ヤッターマン」のドロンジョを選ばれたのはなぜでしょうか?

宮本 いろいろなアニメキャラクターを検討していくなかで、タツノコプロさんに相談をしにうかがいました。そのときがちょうど、御伽ねこむちゃんがドロンジョの公式コスプレイヤーである「ミスドロンジョ」に就任して、その存在をいろいろと盛り上げていこうというタイミングでした。タツノコさんとしても、これを機会にドロンジョの3DCGモデルを作って稼働させたいという構想があり、僕らとしてもそれを写真集の新しい形として採り入れたいと考えた結果、ドロンジョに決定しました。3DCG、ねこむちゃんの実写、イラストと3つの表現形態でページを構成したのにはそんな理由があります。さらに、ドロンジョといえばセクシーで際どいビジュアルを期待される方も多いでしょう(笑)。ただそこで妙に生々しくなっても今回のコンセプトと違うので、イラストにして写真と合成することで実在感を出すという構造になっています。


──ねこむさんはドロンジョという大きなキャラクターを公式コスプレイヤーとして背負うことについて、最初はどのような印象を抱きましたか?

御伽ねこむ 国民的な人気キャラクターですから、お話をいただいた時はまずビックリしました。それに実写映画の「ヤッターマン」で深田恭子さんが演じられていて私にもそのイメージがあったので、最初は私に務まるのだろうかという心配もありました。ただ、私は美術系の高校に通ってマンガを描いたりデザインもしていたので、コスプレイヤーとしてだけではなく、私にしかできないドロンジョを今回表現しようと思いました。

──着て演じるだけではなく、みずから衣装を手がけるということでしょうか。

ねこむ はい。まず最初は今回のドロンジョの衣装をデザインに起こしました。実はドロンジョの衣装は過去にも多くのバリエーションがあり、いろいろと創造の余地があるんですね。そこで格好いいデザインの中にもファスナーとかスタッズ(鋲)などからフェティシズムを感じられるような要素を盛り込んでいきました。これまでも東方シリーズの博麗霊夢などでデザインを起こしています。一度デザインに起こしてから再度アレンジをきかせるというのが私の方法です。

──先ほど、宮本さんの方から“憧れ”という言葉がありました。コスプレイヤーとしてもキャラクターへの“憧れ”は重要な要素になってきますか?

ねこむ それはもちろんです。私にとってはじめてのコスプレは4歳の時に着た「おジャ魔女どれみ」のどれみちゃんでした。着ることでキャラクターに近づきたいという思いは、誰しも抱くと思います。持っているステッキで本当に魔法が使えるんじゃないかという、“憧れ”。今はコスプレイヤーとして、リアルがキャラクターに近づくための表現を考えています。衣装に落としこむ時にどんな生地なんだろうかとか、キャラクターはこの衣装でどう動いているのかとか考えてキャラクターに近づくのはすごく楽しいですし、憧れもさらに増していきます。

──ねこむさんから見たドロンジョの魅力はどんなところにありますか?

ねこむ 格好よさ、セクシーさ、そしてちょっとした“隙”ですね。ヤッターマンに負けて衣装がボロボロになって自転車に乗って帰るところとか(笑)。

宮本 強烈なキャラだよね(笑)。「ヤッターマン」の放送が始まった頃はボンデージに市民権がまだなかった時代。言ってみればアングラの世界から出てきたキャラクターのようで、ちょっとビックリする存在だよね。

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