豊崎愛生インタビュー! ただの美少女バトルじゃない。TVアニメ「アンジュ・ヴィエルジュ」に心を揺さぶられる理由

黒、赤、白、緑の4つの世界とつながった青の世界「地球」を舞台に、特殊な能力「エクシード」に目覚めた少女たち「プログレス」とその能力を引き出す存在「αドライバー」が、世界を救うために戦う姿を描いた「アンジュ・ヴィエルジュ」。多彩な美少女キャラクターが目を引く本作だが、TVアニメ版ではかわいいだけではなく、人間関係に迫ったストーリーも大きな魅力のひとつとなっている。
なかでも感動を呼んだのが、天真爛漫な天使・エルエルと片翼の親友・レミエルがぶつかりあった第6話~第7話。エルエルというキャラクターについて、悠木碧さん演じるレミエルとのエピソードについて、アニメのクライマックスを前にエルエル役・豊崎愛生さんが語ってくれた!


誰にでも愛されるエルエルは、まさに天使のような女の子


──TVアニメ版の「アンジュ・ヴィエルジュ」についてはどんな感想をお持ちですか?

豊崎 いろいろなタイプの女の子がたくさん出てきますし、見た目はとてもかわいらしい作品なのですが、実は人間の深いところを描いている、生々しい負の感情みたいなものとしっかり向き合っていると感じました。きれいな絵からは想像もつかない心の闇の部分なども扱われていて、見てくださった方の心に爪痕を残すような作品ではないかと思います。

──時おり、人間の弱いところに切り込むような展開が見られますね。

豊崎 演じていても心をえぐられるようなセリフを投げかけられることが結構あったので、説得力を持って伝えるように意識しました。楽しく明るいパートと負のパートの幅が広く、さまざまな引き出しを開くことができたという意味で、アフレコはとても楽しかったです。

──ご自身が演じているエルエルの第一印象は?

豊崎 子犬のような女の子。誰にでもなついて誰にでも愛されるし、裏表がなくて本当にまっすぐ。自己紹介で「赤の世界の天使!」と名乗るのですが、本当に天使みたいな子だと思いました。

──そういったイメージを出すために意識されたことはありますか?

豊崎
 女の子に好かれるように、ということですね。スマホ版のアプリゲームではほんのり恋愛要素が含まれるやりとりもあって、対男性を少し意識していたんです。でもアニメに登場するのはほぼ女の子なので、その中でいかに嫌味なく溶け込むかがエルエルにとっては一番大切な気がして。

──誰と接しているかでも違いが出てきそうですね。

豊崎 
エルエルはみんなに平等で、基本的に誰とでも仲良くできるのですが、相手が誰かによって自分のポジションを変えられる子なんですよね。相手にとって気持ちがいいところや居心地のいいところにすっと入り込める能力があると思うので、そのあたりが彼女の魅力であり友達が多い理由なのかなと考えながら演じていました。

──ストーリーが進む中で、その印象は変わりましたか?

豊崎 変わったというか、闇堕ちしたレミエルとのバトルを通じて、ひとつ大人の階段を登ったかもしれません。レミエルに「きれいごとばかりのエルエルちゃんは嘘つき」と責められて、エルエル自身も「私は友達だと思っていたけど、相手は友達とは思っていなかった」と初めてのショックを受けますよね。それまではみんなの空気をなごませてとにかく楽しくいられるように動いていましたが、友達とはなんなのか、相手を思いやるということがどういうことなのか考えるきっかけになったのがこのエピソードだと感じています。本当に相手を思うなら、嫌われることを怖がらずにはっきりと伝えなくてはいけない時がある……。きれいごとだけではすまない人間関係、一歩踏み込んだ人間関係を学んで、エルエルも少し強くなりました。


あおちゃんが上手に傷つけてくれると知っていたので、安心して演じました


──第6話で闇堕ちしたレミエルと対峙するシーンがありましたが、レミエル役の悠木碧さんとはどんなお話をされたのでしょうか?

豊崎 あのシーンは、演じていて本当に楽しかったです! あおちゃん(悠木碧さん)には別の作品で相棒をやってもらっていますし、共演させていただく機会が多くて。こういう闇堕ちするお芝居ではがっつり責めてくるということも、とても上手に傷つけてくれるということも知っていたので、安心してアフレコにのぞみました。6話のエルエルは言われたことに対して否定しかできなかったわけですが、エルエルがレミエルのどの言葉で一番傷ついたのか、逆にレミエルはどこで一番エルエルに気持ちをぶつけようとしているのか、あおちゃんとはいろいろ相談しましたね。力で戦うバトルと違って、エルエルとレミエルの場合はメンタル攻撃だったじゃないですか。レミエルの言葉を全部真に受けて、ひと言ひと言に傷つきながら演じたので、今見返してもきついです……。6話の最後はレミエルに「なんてうらやましい」と言われて、エルエルが号泣して7話へ続くという流れだったので、「これどうやって仲直りするんだろう」とみんなで心配していました。最終的には元通りになれてよかったです(笑)。

──周りにも「絶交された」と言われていましたしね。

豊崎 エルエルのエクシードは友達の力を借りて使うことができるというものなので、彼女にとってはエクシードを使えなかったことが一番説得力があったと思います。「レミエルちゃんが闇堕ちしていても、私がレミエルちゃんの力を使える以上、レミエルちゃんはまだ友達」と信じていた気持ちが打ち砕かれた。エルエルはみんなの力を使えますが、一歩間違えるとまったく戦闘力のない子になってしまうので、諸刃の剣なんです。

──6話の最後の涙にはどんな思いが込められていたんでしょうか?

豊崎
 レミエルの言葉に必死に「違う」と返していても、6話の段階では本当の友達が何かなんて深く考えたことはなくて、根拠もなくただ願望として「違う」と言っていたのだと思います。だから実際に「あなたが好きでも私は嫌い」と言われた時、痛いところを突かれたんじゃないかな。レミエルに対しての感情というよりも、自分の無力さを痛感させられて、やるせない気持ちで泣くしかなかった。もともと人に向かってネガティブな感情を抱かない子なので、自分のダメな部分を知ったからこその涙だと感じました。

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