1年9か月ぶりとなるニューアルバム「luminescence Q.E.D.」を、11月30日にリリースする分島花音。アニメタイアップ曲3曲を含む全10曲で、自らの音楽性をあますところなく「証明」した1枚になった。今回は、アルバム全体を俯瞰した「総論」と、各曲解説による「各論」で、「luminescence Q.E.D.」の魅力を、語り尽くしてもらった。
誰かの光になると同時に、自己証明をし尽くしたアルバムです
──ニューアルバム「luminescence Q.E.D.」が、いよいよリリースされます。まず、このタイトルの意味を教えていただけますか?
分島 ここで使っている「luminescence」は、「摩擦ルミネッセンス」という発光現象のことなんです。衝撃を加えられることで、もともと発光物ではないものに光が生まれる現象のことを言うんですけど、ステキな音楽と出会った時に受ける衝撃は、まさにそれなんじゃないかと思って。
「Q.E.D.」は、数学や哲学で使う「証明終わり」を意味する略号で、音楽が自分自身の証明になるという思いをこめて、つけました。この2つの言葉を合わせることで、今回のアルバムが誰かにとっての光になると同時に、自己証明でもあるということを意味しています。
──バイクに乗っているジャケット写真が今までの分島さんのイメージとは違って、びっくりしました。
分島 今回のアルバムはロックテイストの曲をリード曲としていれているので、ビジュアル面でもソリッドな印象を強調したいなと思って。背景をピンクにして、かわいい部分もあります。それから、床に散りばめられた封筒にも、意味があるんです。
──封筒の意味とは?
分島 「Q.E.D.」という言葉にも通じているんですけど、何かを証明した論文から、「書く」ということから連想して「手紙」というモチーフが出てきて。私(郵便配達員)が自分の音楽を、バイクでみなさんに届けるというイメージです。
──なるほど、ジャケットの1つひとつのアイテムに、こめられた意味があるんですね。
分島 イメージをつなげていく連想遊びや、言葉遊びが好きなんです。今までもそうですが、私のCDのジャケット写真には、いろいろな意味合いが含まれていることが多いですね。
──先ほど、ロックテイストの曲が多いとおっしゃっていましたが、今回はどのようなアルバムになったと思いますか?
分島 「world’s end, girl’s rondo」(2014年10月15日リリース)というシングルで、アレンジをお願いした江口亮さんに今回も2曲おねがいしていて、その印象が大きいですね。聴きやすいロックサウンドを作っていただきました。
私はもともとschool food punishmentが大好きだったんです。あのサウンド感を自分の曲にも取り入れたくて、江口さんにアレンジをお願いしたのが、「world’s end, girl’s rondo」でした。それからのお付き合いで、ロックをやるんだったら、江口さんということで、今回のアルバムにも参加していただきました。
──アルバム用の新曲に、アルバム「ツキナミ」以降にリリースした3枚のシングル曲なども加わって、多彩な1枚になっていると感じました。
分島 今回はさらに、昔からライブで歌っていて、ファンのみなさんからCD化を望まれていた曲も、初音源化しました。ですから、ライブを意識したアルバムという要素もあるんです。
──まさに分島さんの音楽のすべてが入った、自己証明の1枚だと。
分島 そうですね。クラシックという基盤があり、ジャズとロックがその両脇にあって、バランスよく保たれているというのが私の音楽で、たっぷりとそれを味わっていただけるアルバムになったと思います。
──具体的には、どんな楽曲が並んでいるのか。各曲解説をお願いいたします。