やわらかい歌声とサウンドが詰まった、実力派アーティストmaoのニューアルバム

「ドラえもん」の主題歌「夢をかなえてドラえもん」でデビューしたmaoの、4枚目のアルバムが完成した。タイトルの「dialog」は、自分の人生と音楽を振り返って付けた言葉だという。収録曲には、人気ゲームブランド“オトメイト”の作品の主題歌がずらり。乙女ゲームの曲中心ということで、やわらかな聴きやすいアルバムになっている。そして、ラストの新曲「dialog」は、今の彼女自身の思いが──。


黒須克彦さんが作った曲の仮歌は、ほとんど私が歌っていました


──maoさんは、ソロ名義のアーティスト活動だけでなく、他の方の曲のコーラスに参加したり、仮歌を歌われたり、いろいろな形で音楽のお仕事をされていますね。そもそも、プロになったきっかけはなんだったのでしょうか?

mao もともとはアマチュアでユニットを組んでいたんです。その頃、アマチュアアーティストが番組から与えられたテーマに沿って作った曲を、有名人がジャッジするというTV番組があって、そこにデモテープを送ったら合格して、番組にも何度か出演させていただいたことがあって。その番組のディレクターさんに、今も所属している音楽事務所を紹介していただいたのが、この業界に入ったきっかけです。そこで、仮歌やコーラスの仕事を始めて、しばらくして「ドラえもん」の主題歌が決まったという流れですね。

──アーティストとしてのデビューは、2007年7月にリリースされた「夢をかなえてドラえもん」です。この曲は、黒須克彦さんの作詞作曲で、そもそもmaoさんは仮歌を歌っていたんですよね。

mao そうなんです。「ドラえもん」が決まる前から、その当時の黒須さんが作った曲の仮歌は、ほぼすべて私が歌わせていただいていまして。「ドラえもん」の時は、そのまま本番の歌い手に指名されました。

──仮歌を聴いたアニメスタッフ側が、この人しかいないと思ったということですね?

mao どうなんでしょう(笑)。とにかく夢のある話で、決まった時は本当にうれしかったですね。黒須さんも私も「ドラえもん」が大好きで、主題歌のコンペに曲を応募するだけで、楽しかったんです。

──maoさんのボーカルのよさについて、黒須さんは、普段から感想をおっしゃっていますか?

mao 面と向かって言われたことはないですね。お互いに恥ずかしいですし(笑)。でも、どこかの媒体に、私の声質が好きだし、ニュアンスの幅広さを評価しているというコメントを寄せていたのを読んだことがあります。「うれしい」とか「悲しい」とか、1つひとつの表現にたくさんのニュアンスを付けることができる、とおっしゃってくださっていたように思います。黒須さんは今でも、仮歌の時、まず最初に私に声をかけてくださるんです。

──その場合の仮歌というのは、楽曲のコンペに出すためのものですか?

mao 8割はコンペ用ですね。残りの2割が、本番で歌うアーティストさんや声優さんがガイドにするための仮歌です。

──同じ仮歌でも、コンペ用とガイド用では歌い方が違ってくるのではないでしょうか?

mao はい。コンペ用の仮歌はニュアンスを思いっきり出して私らしく歌うんですけど、ガイド用は自分のニュアンスを乗せないようにしています。そうしないと、私の歌い方のイメージがついて、その方の表現を狭めてしまうので。

──コンペ用は表情豊かに、ガイド用は無表情に、ということですね。

mao そうですね。コンペ用の時は楽曲の魅力を最大限伝えるために、お子様向けのかわいらしい曲はやわらかく、ロックは迫力たっぷりにシャウトして、というふうに、曲によって歌い方をがらりと変えています。逆にガイド用では、リズムやメロディライン、ブレスの位置みたいな、技術的なことだけを伝えるような歌い方を心がけています。

──いろいろな歌い方に対応できるプロフェッショナルというところが、黒須さんも評価されるところなのですね。

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