制作会社ルースター・ティースのメインスタッフに聞く、3DCGアニメ「RWBY」の国際的ブレイクの秘密

昨年秋、第2弾と第3弾がたてつづけにイベント上映された、アメリカ発の3DCGアニメ「RWBY(ルビー)」。主人公である“チームRWBY”の4人がバラバラになって敗走する第3弾「RWBY VOLUME 3」は衝撃の展開で、日本でも一気に「RWBY」ファンが増えた印象だ。
だが、制作会社ルースター・ティースは、「RWBY」の原作・監督を担当し、アクションアニメーターも務めていた中心人物、モンティ・オウム氏を2015年に失っていた。「RWBY VOLUME 3」は、モンティ氏の遺志をついで、ルースター・ティース内の監督チームがつくり上げた執念の1本だったのだ。
日本アニメ風のルックスをまといながらも、全世界から熱く支持される「RWBY」の人気の秘密とは? 昨年12月、「RWBY VOLUME 3」のイベント上映に合わせて来日していたルースター・ティースの監督チーム(監督・脚本のケリー・ショウクロス氏、共同監督・スーパーバイジングプロデューサーのグレイ・G・ハドック氏、共同監督・脚本のマイルズ・ルナ氏)に、インタビューを試みた。


スポンサーなし、ファンだけがパートナー!


──皆さん、監督というだけではなく声優でもありますね。ケリーさんがVOLUME 2から登場したイケメン、ネプチューンの声ですね?

ケリー (日本語で)はい。


──グレイさんが、第1話から登場している悪役のトーチウィック。

グレイ そうです。

──マイルズさんが、三枚目のヒーロー、ジョーン役ですね。

マイルズ (日本語で)はい。

──スタッフみんなが声優を兼ねていることは、日本ではあまり例のないことなのですが?

マイルズ その理由の第1は、何よりも安上がりだからです(笑)。


グレイ 第2に、ルースター・ティースにはスタッフに声優をさせる伝統があるんです。また、ファンの立場からは、自分たちの知っているスタッフが声優として参加していることを面白がってもらえます。もちろん、もっと予算があれば、プロの声優を雇うこともできます。今後、そういったケースも出てくるかも知れません。

──おそらく、ルースター・ティースは日本のアニメスタジオといろいろな点で違っていると思います。どのようにして成り立った会社なのでしょう?

グレイ もともと、アニメやビデオゲームの好きな友だちが集まって、設立した会社なんです。ちょうどYouTubeが出てきた頃だったので、ネットで作品を無料公開することで、多くのファンを獲得できました。会社が急成長していく様子を見るのが、またファンにとっては楽しみだったようです。ルースター・ティースの公式ウェブサイトにファンコミュニティがあって、そこでファンとスタッフが親しく交流できるのも、弊社の大きな特徴でしょうね。

──「RWBY」に、スポンサーはいないのですか?

グレイ いません。自分たちで資金を集めて、最初から最後まで自分たちでつくっている作品です。

──すると、キャラクターグッズなどで制作費を回収しているのでしょうか?

グレイ 私たちの公式サイトでは、多数のキャラクターグッズを販売しています。オンラインの有料会員がいますので、その方たちが重要なパートナーと言えるのかも知れません。


マイルズ YouTubeの広告から収入を得ている部分もありますが、決して広告収入に頼ってはいません。自分たちでビジネスを開拓して、有料会員を増やして、より大きな収入を得て、次の作品に生かしています。

グレイ 有料会員の中にもいくつかランクがあって、ファーストメンバーと呼ばれる、優先的に利益を得られる会員たちからの収入もあります。今はYouTubeだけでなく、Netflix、Xboxやプレイステーションなど、さまざまな媒体から作品を配信できます。どの媒体から「RWBY」を見たとしても、最終的にはルースター・ティースの公式サイトに行き着くことになります。ひとつ成功するたびに、またひとつ事業を拡大できて、今は「RWBY」以外にも、トークショー、ビデオゲーム、コンベンション、実写作品と活動の幅を広げることができました。

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