TVアニメ「勇者王ガオガイガー」放送開始20周年記念! 米たにヨシトモ×竹田裕一郎 インタビュー
サンライズによるTVアニメ「勇者シリーズ」の第8作目として1997年に放送された「勇者王ガオガイガー」。主人公・天海護、獅子王凱を始めとする魅力的なキャラクターたちと、彼らがおりなす重厚なストーリー展開で人気となった作品で、TVアニメの放送終了後もOVA「勇者王ガオガイガーFINAL」や小説・コミックなど幅広く展開した。そして、現在もサンライズが運営するWebサイト・矢立文庫(#)にて、待望の続編「覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~」が連載中で、こちらもファンを中心に好評を博している。
今回、アキバ総研ではそんな「勇者王ガオガイガー」が20周年を迎えるのを機に、監督である米たにヨシトモさんと、脚本家で「覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~」の執筆を担当する竹田裕一郎さんにインタビュー取材を敢行。「勇者王ガオガイガー」について、さらに連載中の小説「覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~」について、お2人にじっくりとお話をうかがった。
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矢立文庫「覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~」作品紹介ページ
「ガオガイガー」20周年と「覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~」
──1997年2月1日より放送がスタートしたTVアニメ「勇者王ガオガイガー」。本日(2017年2月1日)ちょうど20周年となるわけですが、まずはこの20年を振り返った感想を教えてください。
米たにヨシトモ(以下、米たに) そんなに経ってしまうとは思わなかったというか(笑)。
竹田裕一郎(以下、竹田) そんなに昔っていうのが、ピンとこないですよね。
米たに まぁねえ。「覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~」(以下、覇界王)の企画を出したのも随分前ですしね……当時はこんな20周年に何かやろうとかまったく考えてなかったし……。
竹田 TVシリーズが放送していた当時は(劇中時間である)2005年は未来でしたからね。未来の話として「勇者王ガオガイガー」を作っていたのに、「覇界王」は同時代の話ですよ。
米たに もっと超未来の話にしておけば追いつかれることもなかったかもしれないけど。科学的・技術的な部分が、もっと変わっちゃうかもしれなかったし……。実際ポケベルもスマホまで進化しちゃいましたね。
──劇中の連絡手段がGGGポケベルでした。いまやポケベルはほぼ見かけなくなりましたが……。
米たに こんな時代が来てしまうとは(笑)。まぁそういう意味では劇中時間を2005年に設定したのはちょうどよかったのかも。
竹田 でも今、2016年の「ガオガイガー」の話を作るのも楽しいですよ。とりあえずGGGポケベルはGGGスマホにして(笑)。
米たに (笑)。ある意味タイムリーではあるよね。あっという間に2016年も過去になっちゃったけど。時間という事象がどんどん我々を追い抜いて行く……。
──矢立文庫で小説が連載中の「覇界王」ですが、この企画について教えてください。こちら、もともとはアニメ用の企画なんですよね?
竹田 去年、米たにさんがツイッター(@yonetanikantoku)で上げていた「覇界王」の企画書の日付は2003年3月で、ちょうど「勇者王ガオガイガーFINAL」(以下、FINAL)が完結したタイミングですよね。タイトルもまさに今のまま「覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~」でした。
米たに きちんと日付が残っているのはあの企画書が最初ですね。その前からノートとかにメモはしていたんですけど。
竹田 たしかに“ガオガイガー対ベターマン”というコンセプト自体はすでに「ベターマン」のころから聞いていました。
米たに そうですね。当時から“マジンガーZ対デビルマン”みたいことをやりたい、とは言っていました(笑)。でもそう考えていたのを、実際に「やらないといけない」と思うようになったのは、やはり「FINAL」の企画が膨大すぎて全8話に収まらないということがわかったときですね。OVAということで1話あたりの時間を長く構成したかったんですが、それも予算やスケジュール等、現実的に難しくて。なんとか最終話は長くしてもらったんですがそれでもやっぱり収まらない。元々TVシリーズからずっとパツパツで、入りきるような分量じゃなかったんですけど(笑)。その入り切らなかった分をアニメでやりたい、と思って正式に提出したのがあの企画書なんです。
──「FINAL」は護と戒道以外のGGGメンバーが三重連太陽系から帰ってこないまま終わってしまいましたよね。
米たに ファンの方の中にはアレをバッドエンドのように思われている方もいるようなんですけど、我々もあそこで終わらせるつもりは全然なくて。すぐに「覇界王」が始まってそれで物語が完結するというつもりだったんです。
竹田 みんなそういうつもりでしたよね。もし「覇界王」がアニメで作れないとわかっていたらあのラストには反対したんじゃないかなぁ……。ファンの皆さんをほったらかしにしてしまったことが僕らにとってもずっとトゲになって残っていて。でも企画が決まらないうちに「実は……」とも言えないわけですし。僕らも心の中でずっと「違うんだ!」って思いつつ、言える日をずっと待っていたんです。
米たに そういう意味では「勇者王ガオガイガーFINAL -GRAND GLORIOUS GATHERING-」のDVD-BOXに付属したピクチャードラマ「プロジェクトZ」は一矢報いたかったというか、実はこういう続編をちゃんと考えているんだよ、というのを皆さんに伝えたくて作ったものなんです。あれも本当はもっと長い話なんですけど、DVD-BOXにつけられるオマケとしてはあれが限界でした。
──ファンもあれで「あ、まだ続きがあるんだ!」と思えるようになりましたよね。とはいえ、その後も「FINAL」続編が映像化されることはなく、時間が経過してしまいました。
米たに ほかにもいろんな作品のパイロットフィルムも作ったりしていたんですが、やはり時代の変化もあってうまく回らなかったんですね。サンライズでもオリジナルやロボットものの企画がなかなか通り難い時代になっていたというのはあると思います。
──矢立文庫の河口編集長も以前のインタビュー(# )で同様のことをおっしゃっていましたね。さて、そんな矢立文庫での小説連載となった「覇界王」ですが、小説という形になった理由を教えてください。
米たに ほかにも何かしら描き方はあったと思うんですけど、とりあえず竹田さんと自分の2人だけでもできることといったら小説しかなかったというところはあります。幸い、竹田さんのスケジュールが空いていて、非常に乗り気になってもらえましたし(笑)。
竹田 (笑)。まぁ、「覇界王」も2016年を舞台としていますし、だったら2016年には世に出したいという気持ちが大きかったんですね。あと、僕らとしてはまだまだアニメ化をあきらめたわけではないので、この「覇界王」の小説がすごく売れたら……その可能性も出てくるんじゃないかと思ってます。何もしないまま、ただタイミングを待つよりは、こうやって世に形として出してチャンスを探っていきたいんです。
米たに アニメ業界に限った話ではないですけど、企業は長年仕事をしていると、だんだん成功した経験と失敗した経験が積み重なって、「これならイイ、でもあれはダメこれもダメ」と確率論で新しい芽を潰してしまうことがあると思うんです。正直、こういう形でやっていくこともお金にはならないんですけど、でも2人だけでも連載できるということを、成熟しきってしまった企業や自分たちの後に続く若い人たちにも見せていきたいな、と思うんです。それは「覇界王」という作品に限った話ではなくて、人がもがきあがいて生きていく仕事のあり方として、忘れてはいけない大切な基本姿勢じゃないかな、と思いますね。
竹田 もし「覇界王」がアニメ化したらすごく希望が持てますよね。お蔵入りしていったコンテンツを呼び戻して、形にして、新しく展開していく可能性があるんだ、と。
米たに 先の展開はまったくの白紙ですけどね(笑)。小説の連載は毎回、挿絵画像なんかも自力で加工していますけど……。こうやってコツコツやっていると、サンライズにコピー機が1台しかなかった時代を思い出しますよ。スタジオとは別のビルの5Fで、エレベーターもないから階段を登って足しげくかよった、手作りで黙々とやっていた頃(笑)。
竹田 カラーコピーを取るために前日までに申請書を書いてハンコを3つもらわないといけない(笑)。
米たに そうそう。その時代を知っているんで、今やっていることがすごく懐かしい。そういう意味だと矢立文庫はコンセプト自体がすごくあの頃のサンライズらしい。クリエイター寄りというか、”面白いことやっていこうぜ!”という魂が残っているというか……。会社としてしっかりした体制ももちろん大事だけど、不安定なれど熱いモノづくりの魂を若い人たちに引き継いでいけるといいなと思っています。
──矢立文庫で「覇界王」の連載を開始したあと、ファンの反応はいかがでしたか?
米たに 私はあんまり気にしないので……、竹田さんのほうがわかるかもしれない。
竹田 反応というか……、連載が始まってしばらく経ってからすごく熱心なファンっぽい人の「今、こういうのやっているんだ。知らなかった」という声を結構見たりするんですよね。どうしたら当時好きでいてくれた人全員に届けられるんだろうか、ということは考えています。
米たに Webで、それも小説として連載している作品を宣伝するのは難しいよね。でも、放送形態と違って、いつでも読めるのは強みだと思いますよ。長くゆっくり浸透していけるポジションにはいるんじゃないかな。
竹田 新規のファンを獲得するというのはなかなか難しいコンテンツだとは思うんですけど、せめて当時好きでいてくれた人全員には届けたい……。でも、知らずにいる人が結構いそうで。もうちょっと頑張りたいですね。
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