Netflixで配信開始!「サイボーグ009」シリーズ最新作「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」柿本広大監督が語る制作秘話

昨年末から今年初頭にかけて、劇場公開されたアニメ映画「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」3部作が、全12話のシリーズに再編集されて帰ってきた! 2017年2月10日よりスタートした、Netflixでの再編集版一挙配信を記念して、今回、本作の柿本広大監督に本作の見どころや制作裏話を聞いてみた!

すでに劇場版を見た人も、初めて本作に触れる人も、インタビューを読んで早速Netflixにアクセスしてみよう!


原作、旧作アニメへのリスペクトとCG技術への探求が生んだ表現

──映像を拝見しましたが、原作マンガへの並々ならぬリスペクトを感じました。柿本監督ご本人も「サイボーグ009」シリーズへの思い入れは深かったのでしょうか?

柿本 ええ、高校の時に原作漫画を全巻買って、ドップリはまりました。自分の父親が好きな作品でもありましたので、その意味では子供の頃から親しんでいました。

──原作の「ブラックゴースト編」を再現したカットがあって感動しました。

柿本 今回の作品を作るにあたって、原作全巻を読み直すところから始めました。それに神山健治総監督も原作が大好きなんです。「サイボーグ009」シリーズを新たにスタートするうえで、「原作の一番最初から始める」という点はスタッフ全員の総意でした。

──原作マンガと世界観は繋がっているんですか?

柿本 前作「009 RE:CYBORG」も原作とは地続きの世界観で、「60年代、70年代にいた009達が2010年代に生きていたら、どんな活躍をしているんだろう」と作品でした。今作も「現実の歴史の中で生きてきたゼロゼロナンバーサイボーグ達の、現代における活躍を描く」という点では共通してます。

──冒頭のシーンは、モノクロ時代のアニメを彷彿させました。

柿本 あれは神山総監督のアイデアでもあったんです。回想シーンはセピア風など、いろんな表現がありますが、「サイボーグ009」は白黒アニメ時代からあった作品なので、そのアドバンテージを存分に生かさせていただきました。


──本作はフル3DCGアニメですが、昔のアニメタッチの絵を3Dで描くのは、逆に難しくなかったでしょうか?

柿本 制作しているOLM Digitalさんはフォトリアル(写実的な表現)が得意なスタジオさんだったので、最初は試行錯誤を重ねましたね。ただ、同じビルの中にOLM(「妖怪ウォッチ」など2Dアニメを手がけるスタジオ)さんも入っていたので、その作画チームからご助力をいただいてなんとか作れました。本当に「原作の漫画をそのまま再現」というところから出発しているので、最初、あの部分だけは原作に忠実なキャラクターデザインにして手描きで全部作ったんですが、ものすごく違和感があったんです。そこで一度ボツにして、3Dで再構築しました。

──監督は「蒼き鋼のアルペジオ –アルス・ノヴァ」(2013年放送のTVアニメ。2015年には総集編と新作の劇場版2作が公開された)にも参加されて、サンジゲンさん(3DCG表現に定評のあるアニメーション制作スタジオ)とお仕事をされていましたね。そこでのノウハウは今回の作品でも生かされましたか?

柿本 最初は生かそうとしたんですが、OLM Digitalさんも数々の作品の中で素晴らしいノウハウを培われていましたし、「リミテッドアニメ(動きを簡略化し、従来の2Dアニメに近づける手法)がアリかナシか」という点でも方向性の違いがあったんです。OLM Digitalさんはフルアニメーション(動きが豊富で写実的なアニメ)にこだわりを持たれていたので、リミテッドのような「コマを抜いてケレン味を出す」というやり方ではなく、フルアニメーションの中でツメ・タメ(動きの緩急)をハッキリ出して、メリハリを出す方法をゼロから作っていきました。ですので、リミテッドとフルアニメ、互いに歩み寄った感じです。

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