Kalafinaの高い表現力が実現させた、2つの世界観を持つニューシングル

NHK総合テレビ「歴史秘話ヒストリア」のエンディングテーマ「into the world」と、OVA「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」のエンディングテーマ「メルヒェン」の両A面シングルをリリースするKalafina。世界観がまるで違う2曲だが、3人の高い表現力によって、どちらもKalafinaらしいナンバーとなった。来年はいよいよ、結成10周年。ますます勢いを増す彼女たちに、話を聞いた。


「into the world」は、新しい世界に船出する曲です


──今回は、両A面シングルですね。

Keiko Hikaruが加入した2ndシングルが「sprinter/ARIA」という「空の境界」のエンディング2曲の両A面シングルだったので、それ以来ですね。別の作品のための2曲ということでは、今回が初めてです。

──「into the world」は、NHK総合テレビの歴史情報番組「歴史秘話ヒストリア」のエンディングテーマです。

Wakana 2016年4月から番組で使っていただいている曲です。

Keiko レコーディングしたのは、かなり前ですね。

──この曲の第一印象はいかがでしたか?

Wakana 「歴史秘話ヒストリア」のエンディングテーマは、今まで3曲歌ってきたんですけど、どれも、それまでの自分には見えなかったものに気づかせてくれる曲でした。「into the world」も、タイトルからして広い世界を見せてくれる曲なんだろうなと思って。歌詞には、3人で大海原に漕ぎ出していくイメージと、自分の心の中の世界に降りていくイメージの両方がありました。壮大な曲であると同時に、1人ひとりの心に訴える、がんばっている方にエールを贈る曲だと感じました。

──たしかに、旅立つ人を応援する曲でもありますね。

Wakana 番組のスタッフの方が、梶浦さん(梶浦由記:Kalafinaプロデューサー)に「この曲は自分たちのことを歌ってくれていると思いました」とおっしゃっていたそうです。スタッフのみなさんは、他に類を見ない番組を作っているという誇りを持っていて、新しい世界に飛び出すには勇気がいるということを、実感している方々だと思うんです。

Keiko 「歴史秘話ヒストリア」は、「into the world」が使われるようになったタイミングで、放送時間枠が移動して、内容も大きく変わったんです。そこには、スタッフの方々の勇気があって。梶浦さんがレコーディングの際に「Kalafinaも、そうだよね。この曲の様に今は旅のスタート地点でなく、ある程度旅をしてきた人たちになったね」って。とてもうれしかったですね…ここまで活動してきて、色んな場所に行き色んな方と出逢って今の私たちが歌う「into to the world」をたくさんの方に届けたいって思いました。

──今までの活動があったからこそ、歌える曲になったと?

Keiko そうですね。「symphonia」も「夢の大地」も「far on the water」も、歴代のエンディングテーマは大地や空や風を感じさせて、心を穏やかにしてくれる曲たちだったんですけど、今回も同じ雰囲気を持ちつつ、新たな世界を感じさせてくれる曲でした。心が躍る、美しいメロディラインで、初めて聴いた時から、早くこのメロディに声を乗せたいと思いました。

Hikaru 歌詞を初めて読んだ時、自分がゼロから出発して、Kalafinaに加わった時の心情って、どんなだったろう? と思い返しました。不安もあったんですけど、やるしかないという強い気持ちがあったなと。「into the world」はやさしく包み込まれるメロディなんですけど、ボーカルは意志の強さを表現したくて。私は冒頭のソロを任せていただいていたので、特にその部分に関しては、そう思いました。

──レコーディングはいかがでしたか?

Hikaru 当日、スタジオで梶浦さんから、「今の、等身大のHikaruで歌ってほしい」という言葉をいただいて、それを胸に歌いました。力強いだけのボーカルではダメで、どこかに葛藤や不安が滲み出ているような歌にしたいなと思いながら歌いました。

Wakana 私は梶浦さんから、「大きな空を見上げながら、丘の上で気持ちよく歌ってほしい」と言われました。その光景を想像しながら歌ったら、切ない歌詞の部分でも笑顔になれたんですね。明るく、伸び伸びと歌うことができました。壮大なメロディなので、歌っているとどんどん気持ちが高ぶっていって、逆にそれを落ち着けるのに苦労した記憶があります。

Keiko レコーディングの際、出来上がったメロディーラインに合わせて下ハモを歌ったんですが、梶浦さんが「これこれ、このグルーヴ感待ってた!」とおっしゃってくれました。

──低音を支える人が、やっと加わったと。

Keiko 3人が揃って、ハーモニーの倍音があってのKalafinaなので、私たち自身も誰かが欠けると、すごく物足りない気持ちになるんです。梶浦さんがそうおっしゃってくださると、私たちも、もっと自分の役割を自覚して、多くの方が、「ここの倍音の響きが気持ちいい」とか「ハーモニーのロングトーン、来た!」とか、ワクワクしてくださる曲を作りたいなと。レコーディングは、気持ちが入りました。

──Keikoさんは2番でソロがあって、あの部分はまさにワクワクしました。

Keiko 私も歌っていて楽しかったです。新しい世界に飛び出す時の不安が、あの"毎朝君の旅は始まる"の部分で前向きなエネルギーに変わってほしくて体全身に声を響かせるようなイメージで歌いました。

おすすめ記事