20人で意見を出しあう脚本会議。間口の広い新たな「モンスト」を作る――「モンストアニメ」浜名孝行監督インタビュー

2017年4月1日より、いよいよ配信が開始された「モンストアニメ」。セカンドシーズンとなる本作では YouTubeでの1話あたりの配信時間を約7分から約10分に拡大し、新キャラクターも投入。2D・3DCGが混同するアニメーションで、ダイナミックなモンスターバトルを表現している。視聴者の心をつかむケレン味と、ゲームの要素を連動させるアニメ作りについて、今作の舵を取る浜名孝行監督に直接お話をうかがった。YouTubeの特性を生かせる、「モンスト」独自の制作現場の様子が垣間見えるインタビューとなった。


TVアニメでは実現できない「モンスト」特有の“遊びの幅”


──「モンストアニメ」の監督を務めることになった経緯を教えてください。

浜名 きっかけは本作を共同制作する横浜アニメーションラボのプロデューサーの大上裕真さんからのお誘いです。彼は以前Production I.Gに勤めていて、一緒に仕事をしたことがありました。その際に「また何か一緒にやりましょう」と話していたので、今回お声がけしてくれたんだと思います。仕事をしたのはもう10年くらい前でしたが、彼の人柄はとても信頼していたのでお引き受けしました。

──「モンスターストライク」というコンテンツにはどんな印象をお持ちでしたか?

浜名 名前は知っていましたが、制作に参加するまでゲームをプレイしたことがなかったですし、アニメも先行してファーストシーズンや映画があったので、最初は「どう関わっていこうかな」と思いました。でもお誘いいただいたということは、大上さんも僕に合うだろうと考えてのことでしょうから、僕らしく期待に応えようと考えながら作品に臨んでいます。


──本作における浜名監督らしい作品作りとは?

浜名 僕自身コメディタッチや熱血バトルものなど、家族みんなで見られるようなアニメが好きなので、今回のセカンドシーズンは、1話完結とまでは言いませんが、入りやすさを重視した間口の広いアニメにしたいと考えています。視聴者の皆さんにわかりやすく定着するような作品にしていきたいな、と。とは言え、フォーマットが固まらないようにはしたいんです。楽しめる要素であればどんどん追加できる、“遊びの幅”があるのがこの作品の面白いところだと思うので。

──この作品ならではの“遊びの幅”とはどういうことでしょうか?

浜名 「モンスト」の企画自体がそうなのかもしれませんが、ものすごくフットワークが軽いんですよ。普通のTVアニメは、監督やシリーズ構成が中心になって話を決めて、その道筋に沿ってスタッフが動いてくれます。しかし「モンスト」の場合はいろいろな道が用意されている感覚で、舵取りの可能性が幅広いんです。多少、脱線してもOKだよね、という空気がありますね。だから視聴者のリアルな反応を見て、通常ではありえないようなことをポンと変えることもできるんです。そういう意味ではYouTubeとの相性もすごくいいと思います。

──視聴者の声が作品に反映できるというのは、最近のアニメで珍しいことですね。

浜名 たとえば今週、世間で急に話題になったギャグがあったとします。それを次の週に配信するアニメに、絵作りのレベルで組み込むこともできちゃうんです。もちろん、制作する僕たちは大変ですよ(笑)。でもそれで作品を楽しんでもらえるなら苦労する甲斐がありますし、ライブ感を視聴者と共有できるのが「モンスト」なんだと思います。

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