映画「BLAME!」公開記念インタビュー! 第1回「目指したのは、多くの人に見てもらう作品にすること」原作者・弐瓶勉が語る映画版の魅力とは

TVアニメにもなったマンガ「シドニアの騎士」や、現在「月刊シリウス」(講談社)連載中の「人形の国」など、硬質なSF作品を次々と世に送り出す鬼才のマンガ家・弐瓶勉のデビュー作「BLAME!」。今から20年前の1997年に発表されて以降、国内外を問わず、多くの読者やクリエイターらを魅了している本作が満を持して映画化され、2017年5月20日より2週間限定で上映される。制作を手がけるのはTVアニメ「シドニアの騎士」や「亜人」を手掛けた、3DCGアニメ業界の雄「ポリゴン・ピクチュアズ」だ。

そんな「BLAME!」公開を記念して、「アキバ総研」では原作者の弐瓶勉さん、音響監督の岩浪美和さん、そして映画「BLAME!」にて声優を務める櫻井孝宏さん、宮野真守さんにインタビューを実施! 第1回となる今回は、総監修も務めた原作者・弐瓶勉さんに映画「BLAME!」の魅力をうかがった。
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なぜ、今「BLAME!」なのか


――連載から20年がたった今、「BLAME!」の映画化について、率直なお気持ちを教えてください。


弐瓶勉(以下、弐瓶)
 読み返すのも辛いくらい昔の作品なので、映像化にあたって、色々直したいところがありました。というのも、原作は描いているときは特に「面白いものにしよう」とも思ってなかったんです……。本当に、あの頃の自分をぶん殴りたいくらいですけど(笑)。なので、劇場版企画のかなり初期の段階で「面白いものにしよう」というコンセプトに決まって、ほぼ新しい作品になっています。ストーリーや設定もかなり変わってます。

――「面白いものにしよう」と思っていなかったということですが、原作執筆時にはどのような考えで描いていたのですか?

弐瓶 厨二病っぽいのですが、“僕の考えた強い主人公”っていうのを描きたかったんですね(笑)。あとは、とにかく背景を描きたかった。一時期スタッフを雇っていた時期はありましたが、僕は基本的に漫画は全部1人で描くというスタンスなんです。、だから、どうせ(描くのに)同じ労力だったら、毎回違う背景をできれば資料を見ずに描きたいな、と。そうしたら、ああいうマンガになりましたね。

――「BLAME!」の舞台は、増殖を続ける巨大な「階層都市」となっていますが、原作を読んでいても、背景や構築物にフェティッシュさを感じます。

弐瓶 (フェティッシュさは)かなりあるかもしれませんね。パイプの部分とか、自分なりのルールにこだわって描いていて。それは、今回の映画でもちゃんと受け継がれている部分だと思います(笑)。

――ちなみに、原作は読み返されましたか?

弐瓶 正直に言うと、しっかりと読み返したとは言えない感じです。どうしてもできなかった(苦笑)。もちろんストーリーや場面の大部分は覚えていたし、監督の瀬下(寛之)さんやメインスタッフさんは、みんな原作を読み込んでくれていたので、そこは問題なかったです。

――これまで「BLAME!」は何度か短編アニメとして映像化され、長編アニメ化が期待されていました。今回、満を持して劇場映画となった理由をお教えください。

弐瓶 どういう経緯で「BLAME!」の映画化が実現したかというと、「シドニアの騎士」の作中劇として登場させるために「BLAME!」のアニメ(BLAME! 端末遺構都市)が作られたんです。原作の「シドニアの騎士」だと、その作中劇は僕の違うマンガだったんですけど、プロデューサーさんが「『BLAME!』にしたらどう?」って言ってくれて。実はその時から、漠然と将来的には1本の完成した作品としてやれたらなあ、とは思ってました。それが、「シドニアの騎士」を応援していただいたおかげで実現したって感じです。

――「シドニアの騎士」を通じて、弐瓶さんやポリゴン・ピクチュアズもかなり手応えを感じられた、と。

弐瓶 そうですね。それにも増して、ありがたいことにみんな「BLAME!」を作りたがってくれていたのが大きいですね。(「BLAME!」は)決して広く読まれるような、誰が見ても面白いといえる作品とは言いづらいのでやめたほうがいいっていう思いもいっぽうでは持っていたんですね。さっきと矛盾しているようですけど(笑)。だから不安はありましたが、その問題を真っ向から解決しようとみんなで話しあって、結果、良い作品になったと思います。

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