今、中国のアニメが熱い! 「銀の墓守り」第1期完結記念、アニメーションスタジオ絵梦 ・プロデューサーインタビュー

近年、その数を増やしつつある中国発アニメ。

とはいえ、一見すると日本のアニメと見分けがつかない作品も少なくはない。4月に放送をスタートし、ネットゲームの世界を舞台に主人公たちがバトルを繰り広げるというストーリーの「銀の墓守り(ガーディアン)」は、その最たるものだろう。

それもそのはず。監督に大倉雅彦さん、シリーズ構成にきむらひでふみさんといったメインスタッフのほか、脚本に川瀬敏文さん、絵コンテに山内重保さん、窪岡俊之さんなど数多くの人気クリエイターが参加。キャストも福山潤さん、小清水亜美さん、水樹奈々さん、平川大輔さん、浪川大輔さん、明坂聡美さん、後藤邑子さん、菅生隆之さんとビッグネームがズラリ!

そんな本作は、先日無事第1期の放送を終了。すでに第2期の放送も発表されている。

そこで、今回は本作を制作するスタジオ・絵梦 (エモン)の唐雲康(タン・ユンカン)プロデューサーに、「銀の墓守り」制作裏話から、中国と日本のアニメ事情の違いなどをうかがってきた。



「日本で制作し、放送すること」がアニメのブランド力になる


――中国テンセントさんのWebコミック 「銀の墓守り」を原作に、日本のスタッフがアニメを制作するという試みは斬新ですが、本企画が始まった経緯を教えていただけますか?

 最初は中国国内で制作する予定でしたが、もっと高いクオリティを目指して最初は韓国のスタッフに打診しました。その後、やはり日本はアニメ表現の技術が一番素晴らしい国だということで、日本での制作が決まったんです。以前から、チャンスがあればぜひ日本でアニメ制作をしたいという気持ちもありましたね。

――中国でもアニメ制作が最近盛んだそうですが、現在は3DCGが主流で、手描きの2Dアニメ技術の蓄積がまだまだだそうですね。そういう事情もあって、「銀の墓守り」は2Dアニメになったのでしょうか?

 そうですね。中国の2Dアニメは日本と比べるとまだこれからで、すでに何十年もの経験がある日本は素晴らしいと思います。

――「銀の墓守り」は日本と中国、ほぼ同時に放送されています。そこには、どのような戦略的意図があったのでしょう?

 弊社で扱うアニメの中でも、中国で先に展開してから日本に持っていく作品もあるし、日中同時に展開する作品もあります。日中で同時に展開する狙いは、番組を宣伝するうえで「日本でもこのアニメが放送されている」という事実が、中国国内のファンが観るモチベーションを上げることですね。ゆくゆくは日本を経由して、全世界の皆さんが同じタイミングで中国原作のアニメを見られるようになることを目指します。

――やはり「日本で放送されている」ことや「日本のスタッフが制作している」ことにブランド力がある、というご判断でしょうか?

 はい。中国からアニメを海外に販売するときには、やはり「日本で制作して放送した」という事実を経由したほうが、国際的に展開しやすいんです。

――テンセントのWebコミック原作としては「霊剣山」も日本のアニメスタジオ「スタジオディーン」が制作して、日中で同時展開していました。「銀の墓守り」も、そうした大きな流れの戦略の中の一環であると。

 そうですね。今回は制作は弊社が直接担当していますが、今後もアニメに対する投資を続けて、さらに大きな展開をしていくと思います。

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