「原作のやわらかおっぱいをアニメで表現したい!」アニメ「捏造トラップ-NTR-」ひらさわひさよし総監督インタビュー
由真と蛍、お互いに彼氏を持つ女子高校生同士が織り成す、禁断の秘め事……。そんな過激なドラマと描写で今話題を呼んでいる夏アニメ「捏造トラップ-NTR-」。そんな本作を手がけるひらさわひさよし総監督に、本作の制作エピソードからアニメ制作スタジオ・クリエイターズインパックの成り立ちまで、たっぷりうかがってきた!
ショートアニメを精力的に制作しているスタジオ・クリエイターズインパック
──今回は、2017年夏クールアニメの話題作「捏造トラップ-NTR-」のひらさわひさよし総監督に、本作の魅力や制作エピソードを伺いたいと思うのですが、その前に少し監督のキャリアについてお聞きしたいと思います。
僕のキャリアってかなり特殊なんじゃないかなと思いますので、本作の制作スタジオであるクリエイターズインパックという会社の話も一緒にさせていただけたらと思います。まず、私はクリエイターズインパックの会長をしつつ、「パッショーネ」(※1)という制作会社の会長もさせていただいております。
(※1 パッショーネ……アニメ制作スタジオ。代表作は「ひなこのーと」「六花の勇者」など)
アニメは、大きな規模の作品になれば当然スタッフの名前や陣容というか、力やネームバリューが求められます。
その中でショートアニメというのは、言い方は悪いのですが、そんなにスタッフの名前が必要とされない場合があります。ですので、私が総監督という形で責任をとらせていただいて、スタッフは勢いのある、これからグングンくるよ、という社内のスタッフを抜擢したいと思って、クリエイターズインパックではショートアニメを中心にやらせていただいています。対してパッショーネは尺の長いタイトルを担当させていただいています。
私自身の話をすると、今までにゲームを作ったり、遊技機を作ったりと、クリエイティブをするための会社をいろいろやってきたり、人材育成をしてきたりというキャリアがあって、その結果、今に至るというところがあります。
──クリエイターズインパックは、新進クリエイターを起用するための育成機関という性格も。
そうですね。クリエイターズインパックでは、そういう意図でショートアニメをたくさん作っています。その中から一例をあげると、「OZMAFIA!!」という作品で橘さおりというスタッフに演出をしてもらいました。橘はその前は撮影をしていたんですが、クリエイターズインパック大阪の制作プロデューサー・はたなかたいちよりの推薦もありまして、演出に抜擢いたしました。もちろん、その時はチーフ演出が別にいたんですが、その後、彼女は「バーナード嬢曰く。」の時にシリーズディレクターを担当したところ好評を博しました。
その後、トリガー様の「リトルウィッチアカデミア」という作品で演出をさせていただきました。この秋に放送されます「お酒は夫婦になってから」の監督を任せる予定です。ここまでの期間が1年くらいですね。
「そんなキャリアでいいのか」と言われそうですが、もちろん、会社全体でサポートをいたします。ローテーションというわけではないのですが、新たにいいなと思った方には挑戦していただきます。その時は、たとえば橘も演出に回ってもらうつもりです。きっと彼女もサポートをしてくれると思います。このように、ほかのスタッフを同じように引き上げることでスタッフ全体の底上げを考えています。
ですので、キャリアの浅い制作進行の子も制作Pや制作アシスタントPになることもありますし、色彩設計や撮影監督、キャラクターデザインなども同様にキャリアを重ねていければと思っています。もちろん、スタッフ全員がそういったポジションを目指す必要もないと思いますが、その経路を確保して可能性を広く持っておきたいなと思っています。
──やる気があれば、どんどん上に上がっていけるわけですね。
変な話になるかもしれませんが、ショートアニメってアニメーション制作会社の登竜門としての価値があると思うんです。ショートアニメで実力をつんで、いずれ予算の大きな作品の制作をご依頼いただけるようになる。それもひとつだと僕は思うんですが、個人的にはショートアニメをやり続けたいですね。出版社さんやメーカーさんに対しても、せっかくショートアニメの元請という形で我々を引き上げていただいたのに、ある程度できるようになったから、これからは大きな作品しかやりませんよ、というのはちょっと申し訳ないなという気持ちもあって(笑)。
だから若手の登竜門ということも含めて、いただいた予算などに責任を持つという形で僕が総監督という立場に就いて、その現場でいい結果、評価を受けた人が、30分アニメやいろいろな現場に進んで監督になったり、演出チーフ、撮影監督、色彩設計やキャラクターデザイナー、総作監などになれればいいなと思っております。それが我々のひとつの取り組みです。
あと、僕が総監督を担当することで、「ひらさわさんは変わらずいるんだな」と出版社の方や出資者をはじめとする、皆さんに安心していただく担保になれればと思っています。
と、いっても僕自身大した実績も実力もまだまだありませんので、自分もご評価いただけるようにがんばってまいります。
──クリエイターズインパックのスタジオ自体は、東京以外にもあるのでしょうか?
はい。クリエイターズインパックには、その名の通り、「クリエイターの集団」みたいな意味があるんですが、地方にスタジオを作った経緯としては「(アニメを作れるのは)東京だけじゃないよね」という思いがあります。今はネット環境も整ってきているので、ますます東京と地方の距離の差がなくなっていますよね。
現在、うちには大阪スタジオや名古屋スタジオ、札幌スタジオがあります。そのほかにも沖縄や日本各所にスタッフがいて、自宅でも作業をしてもらっています。そういう形で、日本中どこでもアニメを作っていきたいという思いが僕にはあります。
先行している大阪スタジオは、TVアニメ「バーナード嬢曰く。」のポスプロ以外を全て大阪で制作するということを達成できました。この流れを次につなげていきたいですね。
──地方にスタッフがいるメリットは?
人材が広く募集できることですね。やはりダンサーを目指すのであればNYを目指せっ!(笑)、アニメーターだったら東京を目指せっ!、みたいな考え方が何となくあるじゃないですか。確かにかつては時間と距離の問題もあってそうだったのかもしれませんが、今はどこにいても、やろうと思えばできると思います。
あと、すごい才能を持っていても、東京まで出てくるのは家族の反対もあるし、自分としても東京に行ってまで……と、思っている方もいらっしゃるかもしれない。沖縄とか大阪で求人させていただくと、そういった非常に優秀な方も応募してくださります。
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