安彦良和の希望で実現させた主題歌を島津亜矢が熱唱!「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦」舞台挨拶

2017年9月7日(木)、アニメ映画「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」、第5話「激突 ルウム会戦」の大ヒットを記念した舞台挨拶が、東京都・新宿ピカデリーにて行われた。総監督の安彦良和さんと第5話の主題歌「I CAN‘T DO ANYTHING-宇宙(そら)よ―」を歌うAYAこと島津亜矢さんが登壇。トークはもちろん島津さんによる生歌唱も行われ、大きく盛り上がったイベントの模様をお届けしよう。



本作は、1979年に放送された初代「機動戦士ガンダム」でキャラクターデザインとアニメーションディレクターを務めた安彦良和さんが、自身の手で前日譚となる物語を描いた漫画作品を原作とするOVAだ。2015年より劇場でのイベント上映がスタートし、第5話となる「激突 ルウム会戦」は9月2日から公開中。全国35館という上映規模にも関らず、公開2日でその週の興行収入ランキングベスト10に入るなど、大ヒットとなっている。

アニメ映画上映スケジュール

司会を務めるラジオDJ・ナレーターの森雄一さんの呼び込みでゲストの安彦さんと島津さんが登場、大きな拍手で迎えられた。挨拶のあと、トークではまず島津さん起用の経緯が話題に。演歌で紅白出場経験もある実力派だが、これまでアニメとはまったく関係ないところで活動してきた島津さんが今回初めてアニメ主題歌を歌うことになったのは、安彦さんのたっての希望によるものだったという。「(作品の)引きが強いので、引きの強い歌が欲しかったんですよ。強い歌ってなんだろうとかなり悩んだんですけれども、島津さんの強い歌声が耳から離れなくて……いろいろ抵抗もありましたが、1回くらい権力を振りかざしてもいいだろうと、総監督の大権を使って希望を通させていただきました」と話す安彦さん。対する島津さんはオファー当時を振り返り、「あのガンダムのですか!とビックリしました。もう本当に幸せなことだと思います」と語った。

「レコーディングの際にリクエストしたことは?」と問われた安彦さん。「“戦場の女神さんの歌です”と言ったら、一発で了解いただきました」とのこと。難しい歌なので不安もあったが、最初のテストで島津さんの歌をひと声聞いて、「ああ、これは違うな(すごくいい)」と思ったという。作曲の服部隆之さんも「いきなりメジャー級のパワーでやられちゃったね」と言っていたことを明かした。島津さんは「緊張していたのでレコーディングのことはほとんどおぼえていないのですが、そんなふうに言っていていただけていたなんて、本当に光栄です」と感激。実際に映画を見ての感想として「最後のあの場面で、あのガンダムのここに私の歌が流れていると思うと、あらためて感動しました」と語った。

ここで、島津さんの歌が披露されるライブパートに。この日は主題歌のほかに1曲、合わせて2曲が歌われることになっていたが、1曲目は“みゆきスト”(中島みゆきファン)だという安彦さんのリクエストで、名曲「命の別名」がカバーで歌われた。これは安彦さんの、「島津さんほどの歌手でも多分ガンダムの客層とピッタリ合わない。いろんな歌を歌っていることを知ってほしい」という心意気だったようだ。安彦さんが惚れ込んだパワフルな歌唱に、会場は一気に引き込まれた。

そして、いよいよ本作の主題歌「I CAN‘T DO ANYTHING-宇宙(そら)よ―」が初の生披露に。力強いだけでなく、しっとりと包み込むような艶のある歌声は、まさに戦場の女神の歌にふさしいもので、歌い終わると満場の拍手が鳴り響いた。聴き終わった安彦さんは、島津さんにあらためて感謝を述べ、服部さんに「ホイットニー・ヒューストンに(曲を)書くつもりで書いてください。ホイットニーが歌える曲なら島津さんも歌えますから」と発注したという、とびきりの裏話で賛辞を贈った。

最後に、島津さんは「子供のころテレビで見ていた、大好きだったガンダムの主題歌を歌わせていただけるということは、こんなにすごいことなんだと感じています。ガンダムが大好きな皆様のこの空気の中で歌わせていただけて、本当に幸せでした」と挨拶。安彦さんは「おかげさまで、興行成績が初週ベスト10にランクインさせていただきました。まだ3週間あります、お暇のある方は何度でもいらっしゃってください。島津さんのCDもどうぞお買い上げください」とはにかみつつ「柄にもない宣伝(笑)、よろしくお願いいたします」と締めくくり、イベントは幕を下ろした。

(取材・文/サイトウカズアキ@TRAP)

おすすめ記事