創作者として「承認力」を背負う覚悟 「Re:CREATORS」あおきえい監督インタビュー
異世界からやってきたさまざまな劇中劇キャラクターが現実世界を救う物語「Re:CREATORS(レクリエイターズ)」。最終回を送り出したあおきえい監督に話を聞くと、自身のクリエイターとしての姿勢や、作り手と受け取り手の関係を描くうえでの覚悟など、本作のテーマならではの創作者としての思いを包み隠さず語ってくれた。本文を読んでから改めて作品をご覧になると、キャラクターそれぞれに重ねた思いがより伝わってくることだろう。
メタフィクションではなく、シミュレーションとして描く
──最初に「Re:CREATORS」の企画があおき監督の元に届いて広江先生の原案をお読みになった際に、非常に興味を持たれたそうですが、具体的にどんなところが興味を誘いましたか?
あおき 作品全体の構造がモノづくりのメタファーになっているところですね。それがすごく面白くてこれは作ってみたいなと思いました。僕が最初に読ませていただいたのは、現在Webで公開されている「Re:CREATORS NAKED」(#)と、ほぼ同じものです。当時まだ広江さんのなかでも試行錯誤をしていた部分があり、アニメとしてシリーズ構成を切るうえで、多少順番を入れ替える必要があったり、追加と削除を行なう必要がある部分を提案させていただき、それを基にシナリオの打ち合わせをしていったという形です。
──あおき監督からキャラクター設定に対して、さらに深めるような提案をされたものはありましたか?
あおき キャラクターに関しては、広江さんの原案をいただいた段階でほぼ完成されているという印象でしたので、僕のほうから提案をさせていただくことはそれほど多くはありませんでした。エピソードの順番を入れ換えたり、追加したり……。あとは文芸のライトワークスさんに原案をベースとしてカッチリとした裏設定を作っていただきました。たとえば「無限神機モノマギア」ですと劇中内原作からふくらませて各話タイトルを考えたり、スタッフ編成を考えたりしていただきました。
──リアル中乃鐘がいたわけですね。本作はそうしたメタフィクショナルな要素を含んでいますが、監督をするにあたって特に意識したことは何でしたか?
あおき 確かにメタフィクショナルな構造を持ってはいるのですが、僕としてはあまりメタフィクションの物語だと思って作ってはいませんでした。どちらかというと、シミュレーションに近いかなと思います。描かれたキャラクターたちが実際にこの世界にやってきたとして、彼らはこの世界をどのように感じ、どんな行動に出るのか。特に前半はそこがテーマになっていると感じました。総集編の第13話はメタフィクションをネタにしていますが、それ以外では純粋にキャラクターの物語として楽しんでもらえればよいと思って作業を進めました。
──この作品に限らず、キャラクターがその世界でどういう風に考えて動いていくかを描くことで物語を紡いでいくのが、あおき監督のスタイルという理解でよろしいでしょうか。
あおき そうですね。最近はアクション作品の仕事を依頼されることが多いのですが、物語の基本はキャラクターだと思っています。そうした作品でもアクションを通じてキャラクターを描きたいという思いがあります。「Re:CREATORS」もメタフィクショナルな構造はありますが、僕の興味はキャラクター物語のほうにありました。物語世界からキャラクターがやってくる作品はこれまでにもありましたが、そのほとんどの場合、主人公は現実世界サイドの人間で、出てきたキャラクターはあくまで客体でした。ですが、この作品は視点が逆で、主人公というのは彼らから見た客体であって、主体性をもって行動するのはむしろキャラクターたちなんです。この世界にやってきた彼らの驚きといったものを重点的に描いて、いま僕たちが生きている世界をキャラクターの目線で再発見していくというのは面白いなと思いました。
──「Re:CREATORS」の物語において、セツナという人物と彼女を取り巻く状況は、ネットを通じたキャラクターの二次創作という、現実にも起こっていることを採り入れていますが、これらを通じてプロへの道が拓けるという環境の広がりをあおき監督はどのようにご覧になっていますか?
あおき そうしたメディアが紙の同人誌しかなかった時代もそうでしたが、投稿や二次創作が必ずしもプロになるための登竜門ではなかったんです。最近は「pixiv(ピクシブ)」や「ニコニコ動画」、「YouTube」などさまざまなメディアがありますが、そこで有名になってプロの機関と契約するのが彼らにとってのゴールなのかというと、そうではないんですよね。ユーチューバーとして有名になったから、それをきっかけにテレビタレントに転向したいというわけではないのが、純粋に面白いなと思います。それはそれで表現の幅が広がりますし、いろいろな価値観があるなと思いながら見ていますね。
──この作品でそうした部分を描くにあたって実際にご覧になったりされましたか?
あおき そこまで詳しくはありませんが、pixivは普通に見ていますし、何人かのユーチューバーも普段から見ていますので、そういう気持ちもすごくわかります。僕も昔は同人誌を描いていた人間だったので、二次創作の楽しさは実体験として持っています。
──そこでの颯太の悔しい気持ちとかセツナが急にスターダムに上っていく様子も皮膚感覚としておわかりになるわけですね。
あおき そうですね。広江さんがすごいなと思うのが、モノづくりということに対してプラスの部分だけではなく、そこに嫉妬というマイナスの要素をきちんと描写し、ドラマの中に持ち込んだところです。そしてそれを総括して物語にするという楽しさは最初に読んだ時からずっと感じていました。
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