「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章 純愛篇」劇場上映記念インタビュー! 森雪役・桑島法子×シリーズ構成・福井晴敏対談「久しぶりに小野(大輔)君の『雪~!』が聞けました(笑)」
劇場上映アニメ作品「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の第三章「純愛篇」が、2017年10月14日(土)より劇場上映されている。今回のエピソードは、そのタイトルどおり主人公・古代進とヒロイン・森雪の愛が描かれるという。
そこで、シリーズ構成の福井さんを交えつつ、第三章のキーパーソンである森雪を演じる声優・桑島法子さんに、収録エピソードや「ヤマト」という伝説的タイトルに対する思いをうかがった。
──桑島さんにとっての、「宇宙戦艦ヤマト」に対する思い出を教えてください。
桑島法子(以下、桑島) タイトルは知っていましたが、子供のころに観たことがあるかもしれない、くらいの印象ですね。「2202」に関しては、収録前に初めて「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」を観たのですが、後半の展開は悲しかったですね。これをやるのかと衝撃を受けましたが、福井さんは最初から、「希望はあるよ」とおっしゃっていたので、その言葉を自分に言い聞かせて収録に臨んでいます。
──森雪役に抜擢された時の心境を教えてください。また、今回の森雪は前作に比べて大人っぽいような印象を受けましたが、監督からの演技指導などはあったのでしょうか?
桑島 オーディションではいろんな役を受けたので、メインヒロインの森雪役に決まったと聞いたときはビックリしました。キャラクターに関する指示は特にありませんでしたね。「2199」の時の演技は、ユリーシャと2役を演じていたこともあり、2人を差別化した結果かもしれません。今回の雪は現代の女性として描かれているので、現代女性に共感してもらえるようなキャラクターを意識したつもりです。
──「ヤマト」への出演が決まったあと、周囲の反響はいかがでしたか?
桑島 先輩方には「俺はヤマトを観て声優になったんだ」というような方が多くいらっしゃるので、「出たい」「うらやましい」とは言われます(笑)。ほかの現場でお会いしたアニメーターさんにも「毎回劇場に観に行くから」と言われることもあり、期待されていると感じますね。
──そういった声はプレッシャーになりますか?
桑島 旧作から40年も経っているおかげか、プレッシャーはあまり感じていません。「ヤマト」を知らない世代のお客さんも多くいらっしゃいますし、スタッフの方々も「新しいヤマトを作る」とおっしゃってくれているので、私なりの森雪を演じられていると思います。今回の森雪役に関しては、台本をいただいてマイクの前に立つと、自然と雪になっていった気はします。声優ってそういう仕事なんだな、と改めて思いましたね。
──アフレコ現場の雰囲気はいかがですか?
桑島 若手からベテランまでいろんな方がいらっしゃいますし、話数によっても全然出演者が違うんです。毎回、「今回はこんな方がいらしてる」というように、新鮮さを感じています。
福井晴敏(以下、福井) アフレコブース中央には主に座長の小野(大輔)さんやベテランの方々がいて、格好は思い思いのものなんですが、それぞれアロハシャツとか色が薄く入ったメガネをかけていたりして見た目が怖いんですよ(笑)。ここはチャイナタウンの片隅かと。
桑島 福井さんは、よくかわいい動物のTシャツを着てますよね。
福井 俺はそういう担当だから(笑)。
──アフレコで苦労されていることなどはありますか?
桑島 戦闘シーンが結構難しいです。オペレーションのセリフで、「もっと緊迫してください」と言われると「これ以上に?」と思ったりもしますね(笑)。
福井 普通はそこまで激しいテンションにすることもないんですが、雪はレーダー担当なので、戦闘シーンのとっかかりになるんです。最初の勢いづけも兼ねているので、必要以上に強く言ってもらうなど、よくお願いしています。
──第三章を制作、演じてみての感想を教えてください。
福井 前回までは「2199」の続編か、「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」か「宇宙戦艦ヤマト2」か、と3つの岩礁を縫ってどう航海していくかを模索していたのですが、これからはそれを経たうえで本作がどこに向かうのか、目的地が初めて示されたエピソードだと思います。今後ストーリーがどこに向かうのか、楽しみにしてください。また、今回は旧作ファンへのくすぐりとして宇宙ホタルを登場させました。「宇宙戦艦ヤマト2」からの印象的なもののエントリー第1弾といったところです。名前だけ同じで中身は違いますが、第十一番惑星もそうですね。第2弾、第3弾もこの先に用意しています!
桑島 演じている時は、完成していない画面を見ながらの演技なので、できあがったものを見ると毎回驚きがあります。最初は「純愛篇」というタイトルにもビックリしました(笑)。そこで、改めて古代と雪の話が含まれている第三章なんだなと思いました。そして、こうやって取材を受けるのと同時に福井さんの話もうかがって、純愛は美しいだけじゃないと、胸に迫ってきています。
雪としてはついにお披露目ということで、私も待ち望んでいた第三章です。試行錯誤しながら録っているものができあがってくるのを見ると、映像や音楽などすごい作品に出ているなあと思いますね。同じ想いをお客さんと共有できたらいいですね。あと、久しぶりに小野くんの「雪~!」を聞けたのが、よかったです(笑)。
──最後に、第三章「純愛篇」の見どころをお願いします。
福井 「愛する人のためだけでいいのか?」という問いもあると思いますが、それはそれでいいと思います。男性と女性で見方が分かれると思いますが、古代の取った選択を非難はできません。女性のほうが冷静ですよ。古代の選択は、男から見ると選べない。
人によって愛というのは必要不可欠なものですが、別の人間にとっては暴力や凶器になることもありえます。神様への愛で自爆テロをしたりと、両面性というものがある。でも、それがなければ生き物は生きていけない。今回はそんな両面を描きたいと思っています。今回は結果的に丸く収まりましたが、収まらなかったらどうなるのか、ということも今後は描いていくことになると思います。その両面を描いたうえで、なおかつ愛を肯定できるや否やというところに肝が来ます。
今回の作品のテーマは、「愛とは何か」以外にありません。40年前の作品とはちょっと異なる結論になると思います。あれから40年を経て、決して幸福なだけの進化をしていない世の中でもう一度語り直すとしたら。そして、あの時感じたものをもう一度追体験するとしたらこうなるだろう、という自分にとって「生きていたもの」を問い直される企画になりました。
桑島 観客の皆さんも、愛について考えざるを得ないと思います。普段は当たり前すぎてあまり考えないとは思いますが、身近な愛が存在しており、それによって自分は成り立っているということを気づかせてくれるのがこの作品なんだと思います。
あと、雪役としては観ていて切なくなってしまうんですが、苦悩する古代君にも注目してほしいですね。古代君は次第に追いつめられて余裕がなくなっていくんですが、そんな状況で2人はある行動をとるんです。観る人によっていろいろなことを考えると思うんですが、観たあとにいろいろ語ってください。
──ありがとうございました!
(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト 2202 製作委員会
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