【PR企画】ウワサの音楽フォーマット「MQA」でアニソンを聴いてみた! 第2回:「MQA」を楽しむためには何が必要?(機材編)

アニソンを中心に大きな盛り上がりを見せつつあるハイレゾ音源の世界。音楽CDの音質をはるかに超える高解像度で、アーティストの息吹きから、ライブ空間の奥行きまでをグッと身近に感じられるため、現在、アニソンファンを中心に中毒者が続出している。


そんなハイレゾ音源の世界で、最近よく耳にする「MQA」という新しいハイレゾ音源。一体、これまでのハイレゾ音源と何が違うのか。そして、アニソンの世界にどんな影響を与えるのか。


本企画では、アニソン・ハイレゾ音源ブームの仕掛け人とも言える、AVライターの野村ケンジ氏をナビゲーターに、さまざまなゲストとの対談を通して、ウワサの「MQA」の魅力を解き明かしていく。今回も、第1回に引き続き、アキバ総研編集長・鎌田 剛が、MQAを楽しむための機材について、野村ケンジ氏に詳しくうかがった。

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ナビゲーター:野村ケンジ

ナビゲーター:野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。


聞き手:鎌田 剛

聞き手:鎌田 剛

「アキバ総研」編集長。姉妹サイト「価格.com」でも記事統括編集長として活躍中。パソコンや家電、AVデバイスなどに造詣が深いが、なぜかアニメにも詳しく、現在も年間100本以上のアニメを視聴中のアニメファン。



再生機器&配信、それぞれ広がりつつある「MQA」を取り巻く状況

対談風景

鎌田 前回は「MQA」というコーデックについていろいろとおうかがいしました。その中で、「しっかりハイレゾなのにファイルサイズが小さくて済む」という「MQA」のメリットについては理解できました。今回は、そのMQAを楽しむのにどんな機材が必要になるかというお話をうかがえればと思います。

野村 前回も言ったように、MQAをハイレゾ音源として聴くためには、対応する機材をそろえなければいけませんが、実はそのままでも音楽CD相当の音源として聴けちゃいます。そこがMQAの面白いところなんです。現在e-onkyo musicで販売されているMQAコーデックのファイルは、再生するプレーヤーのソフトウェア的には、48kHz/24bitの「FLAC」形式として認識されるので、実はFLACが再生できる環境であれば、そのまま再生できるというわけなんです。ただもちろん、この場合、音質はあくまでも音楽CDクラス。よりいい音のハイレゾ音源としてMQAファイルを聴く場合には、対応する再生ソフトウェアなり、ハードウェアを用意する必要があるというわけです。

鎌田 なるほど。一般のハイレゾ対応プレーヤーなどでも、CD音源レベルのFLACとしては再生可能ということですね。では、ハイレゾ音源としてのMQA対応プレーヤーの状況は、今どんな感じなんでしょうか?

野村 まだまだ対応するハードウェアは少なくて、パソコン向けのUSB-DAC製品では、今現在(2017年9月時点)では、MQAを開発した英国のMERIDIANやMYTEKが販売している製品がメインですね。ただ、MQAというコーデックは、それほど特殊なものではないし、プレーヤー側がMQAに対応するかどうかは純粋にライセンシーだけの問題なので、ソフトウェアアップデートなどでも対応できるはずです。なので、今後、対応製品は増えていくと思います。
いっぽうで、現在のハイレゾ再生はどちらかといえば、パソコンよりも携帯用のデジタルオーディオプレーヤー(DAP)が中心になってきています。DAPという観点で、MQAの再生環境を見てみると、日本でMQAを推進している「e-onkyo music」を運営しているのがオンキヨー&パイオニアイノベーションズということもあり、「ONKYO」ブランドと「パイオニア」ブランドで発売されているすべてのポータブルプレーヤーおよびスマートフォンが、現在MQA再生に対応しています。具体的には、ONKYO「DP-X1」と「DP-S1」、パイオニアの「XDP-100R」「XDP-300R」と「XDP-30R」、これにONYKOハイレゾスマホの「GRANBEAT DP-CMX1」の計6モデルが、MQA対応のDAP製品ということになります。

鎌田 これらに加えて、先日発表されたソニーの「ウォークマン」もMQA対応をうたいました。これはMQAにとっては大きなニュースでしたね。

野村 そうですね。10月7日から発売されたハイレゾ対応ウォークマンの新モデル「NW-ZX300」および「A40」シリーズの4モデル(NW-A47、NW-A46HN、NW-A45HN、NW-A45)が、正式にMQAに対応しました。現行モデルの「WM1」シリーズも、ソフトウェアアップデートでMQAに対応する予定ということなので、現行のハイレゾ対応ウォークマンの全モデルが、この秋、MQAに対応したことになります。このようにMQAの再生環境はどんどん裾野が広がってきています。

MQA対応デバイス
この日用意したMQA対応デバイス。上はMERIDIAN AUDIOの「プライム・ヘッドホン・プリアンプ」(左上)と、「Explorer2」(中央上)。下段は左から、ウォークマン「NW-A40」、「NW-ZX300」(ソニー)、「GRANBEAT」(ONKYO)、「XDP-30R」(パイオニア)、「DP-S1」(ONKYO)

鎌田 やはり、ソニー「ウォークマン」というメジャーシリーズがMQAに対応したのは大きいですね。大手のソニーが動いたことで、他メーカーにもこの動きは波及していきそうですよね。

野村 はい。今はまだ対応していない、中国メーカー、韓国メーカー製のDAP製品も、今後徐々にMQAに対応していくんじゃないかと思います。こういう動きは、ちょっと方向性は違いますが、同じハイレゾ音源である「DSD」の対応状況と似ている部分もあるかもしれません。DSDが出てきた当初は、ハイレゾ音源の主流である「FLAC」とか「WAV」などのリニアPCM音源に対して、DSDはやや特殊なフォーマットという印象があったように思います。でも、各メーカーがやっぱり対応したほうがいいだろうと考え出した結果、今やDSD再生に対応するプレーヤーはかなり一般的になりました。MQAも同様に、そろそろ対応しておいたほうがいいだろうと考えるメーカーが増えてきていますので、今後、対応状況は広がっていくと思います。あと、レーベル側でも、ワーナーミュージックが毎週300タイトルもMQA形式の配信をスタートするなど、新たな動きが出てきていますので、今後MQAが一気に広がる可能性が出てきました。。

鎌田 再生プレーヤーを製造するメーカー側、音楽配信を行うレーベル側ともに、新たな動きが出てきているのは頼もしいですね。


「MQA」を楽しむための、最新デバイス紹介

AVライター・野村ケンジ氏

鎌田 ところで、ここにいくつかのMQA対応プレーヤーがありますが、野村さんから見て、これからMQAを楽しみたいと思っている方に、おすすめの製品はどのあたりでしょうか?

野村 とっかかりやすいのは、ONKYO「DP-S1」とか、ソニー「A40」シリーズあたりの小型プレーヤーでしょうね。価格も手ごろだし、MQAを含むハイレゾ入門にはピッタリかと思います。で、ここでも、MQAのファイルサイズの小ささというのはメリットになると思うんです。このクラスのエントリー製品の場合、内蔵メモリーの容量は16GBのものが多いので、ハイレゾ音源のファイルを入れていくと、それなりにメモリー容量が気になってくると思います。その点、FLACなどに比べて約1/3のファイルサイズで済むMQAは、より多くのファイルを保存できるというのがメリットになってきます。

鎌田 メモリー容量の小さなエントリー向けのプレーヤーを購入することが多いライトユーザーのほうが、ファイルサイズが小さなMQAのメリットを享受しやすいというわけですね。いっぽうで、こうしたエントリー機の音質的な面はどうでしょう?

野村 たとえば、ONKYOの「DP-X1A」とか、その姉妹機のパイオニア「XDP-100R」「XDP-300R」あたりの上級機の場合、組み合わせるイヤホンなどによっては、ここでは「フルハイレゾ」と呼ばせていただきましょう、FLACやWAVなどと、MQAとの音質的な違いは多少なり感じ取れるとは思います。あくまでも、じっくり比較試聴すれば、ですが。それに対して、ONKYO「DP-S1」やソニー「A40」シリーズあたりのエントリー機となると、上級モデルほど音質の差が顕著に感じられない可能性が高い。ことDAPでのリスニングに絞っていえば、フルハイレゾのFLACやWAVと、その1/3くらいのファイルサイズで済むMQAとの間でそれほど音質差を感じない、ということは、MQAの有用性を裏付けすることになるのではないでしょうか。平たくいえば、DAP試聴メインだったらFLACを選ぶもMQAを選ぶも好み次第使い方次第、といったところでしょうか。

鎌田 なるほど。いっぽうで、パソコンと接続するタイプの「USB-DAC」製品ですが、まだ対応デバイスは少ないかと思います。こちらは、ややハードルが高そうですね。

野村 今、MQAに限らず、イレゾ音源を楽しむ環境は、パソコンからDAPあるいはスマートフォンにほぼ移ってきているので、基本的に、新規のデバイス開発はモバイルデバイスが中心になっています。最近じゃ、そもそもヘッドホンアンプ製品もなかなか新製品が出てきませんしね。MQAに対応するために、チップやソフトウェアをアップデートするのにもコストがかかるでしょうから、こちらの対応はもう少し時間がかかるかもしれません。据え置き型のハードでは、どちらかというと、ほぼ毎年新モデルが出ているネットワークプレーヤーとかブルーレイレコーダーなんかのほうが、意外に早くMQAに対応するかもしれません。

鎌田 ということは、やはりMQAを楽しむなら、やはりこうした小型の専用プレーヤーがメインということになりそうですね。

野村 そうですね。あとひとつ注目しているのは「MQA-CD」ですね。MQA-CDは、普通のCDプレーヤーで再生すると音楽CDとして聴けますが、CDプレーヤーなどからの光・同軸デジタル出力をMQA対応のDACなどに接続すれば、MQAのハイレゾサウンドを楽しめるようになります。本格的な普及はこれからですが、すでに発売されているMQA-CDは2種類です。ひとつはMQA方式でデコードされているCD規格のディスク。さらにMQA-CDとSACDとの2層ディスクも「2L」レーベルから発売されました。エンコードがMQAというだけで規格自体は、CDそのもので下位互換性が確保されてます。とてもシンプルで面白い提案だと思います。リッピングも可能でMQA対応USB DACでも再生ができます。

AVライター・野村ケンジ氏

鎌田 ちなみに、MQAのサウンドを楽しむには、どんなヘッドホンを買ったらいいとかありますか? やっぱり「ハイレゾ対応」製品ですか?

野村 そんなに気にしなくていいかも?(笑) もちろん、帯域特性のよろしくない安物のヘッドホンはダメですけど、そこそこしっかりしたヘッドホンであれば、ハイレゾも結構きれいに聴こえるんで、お好きなヘッドホンで聴けばいいと思いますよ。

鎌田 むしろ、よりいい音で楽しむなら、プレーヤー側を選んだほうがいいということですかね?

野村 そうですね。やはり、ONKYO「DP-X1A」とか、パイオニア「XDP-100R」「XDP-300R」くらいのクラスになってくると、(MP3やAACなどの圧縮音源に対して)MQAの音の良質さを明らかに感じるようになるでしょうね。とは言っても、その違いというのは、結構さりげないものだったりするわけで、いつもMQAのハイレゾ音源を聴いていて、たまに圧縮音源を聴いたりすると、「なんだ、これ?」って違和感を感じるっていうようなものです。結局、音の違いって、いい音で聴いたほうがやっぱり楽しいし、聴きやすいわけじゃないですか。そういう意味では、MQAも、中域については明らかにハイレゾの24bitのデータだな、っていう音をしてますから。中域って一番重要なところで、ボーカルとかバイオリンなんかの弦楽器の音が、16bitと24bitでははっきり違うのがわかりますから、そういう意味でも、MQAって結構いいと思いますよ。


「MQA」と「FLAC」とで、音の違いはどれだけあるのか? 実際に試聴

「アキバ総研」編集長・鎌田剛

鎌田 では実際に用意された機材(パソコン+USB DAC)で、MQAのサウンドを聴いてみることにします。音源は何がいいですかね?

野村 では、TVアニメ「ID-0」のオープニングテーマ、佐咲紗花さんの「ID-0」あたりで聴き比べてみましょうか。FLACとMQAの2つのバージョンを用意したので、聴き比べてその違いを感じてもらえればと思います。フルハイレゾのFLACとMQAとで、音の違いが少なければ、それだけMQAのサウンドがフルハイレゾと遜色ない音ということになりますから。

鎌田 (ヘッドホンでしばらく聴き比べて)うん、うん、なるほど。

野村 どうですか? 違い、わかりました?

鎌田 そうですね。やっぱり多少は違いますけど、どちらも十分にハイレゾですね。音の広がりも解像感も十分に高くて、迫力があります。ただ、FLACに比べると、MQAのほうがよりボーカルが明瞭というか、ボーカルの下の音のほうが広がっている印象を感じました。

野村 そうなんです。MQAは中域にギュッと凝縮するような感じがあるので、そのように感じられるんだと思います。FLACなどのフルハイレゾのほうが、全体域のデータ量が多いわけですが、相対的にMQAのほうが、ボーカルやメイン楽器などが一歩前に出てきたかのような、クリアな聴こえ方をしているように感じると思います。

鎌田 どちらもいい音なんだけど、MQAのほうが歌のインパクトは強いかも、ですね。

野村 説明するのが難しいですが、「ハイレゾをさらにクリアーにするフィルターをかけました」というような音になる感じじゃないかと。

鎌田 でも、単なるドンシャリとかではない。深みがあるというか、奥行きがあるというか。やっぱりハイレゾだぞという。

野村 MQAはユニークな音の折り紙という手法でちゃんと24bitの情報量を確保していますし、中高域だけでなく低域も明瞭なため、しっかりハイレゾしてますよね。音の立ち上がりを曖昧にしてしまうエコーノイズをカットしているので、人によっては、むしろクリアに感じられるかもしれない。こういう特徴があるので、MQAは屋外なんかで聴くと、むしろ聴きやすい音に感じられます。声や楽器の音にフォーカスが合って、パッとわかりやすくて聴きやすい音なので、たとえば電車の中で音楽を聴いたりする場合も、ボリュームを下げても聴きやすいと思います。MQAには、実はそういうメリットもあるんですよ。

鎌田 なるほど。確かに、MQAはわかりやすくて、音がいいという感じ、よくわかりました。これでファイルサイズが小さいんですから、特にハイレゾのエントリーユーザーにはメリットが大きそうですね。

野村 そうだと思います。非常にいいところを突いているコーデックなんですよね。MQAって。

対談風景


※次回、第3回の対談では、ゲストにアニソンアーティストの佐咲紗花さんをお招きし、MQAサウンドについて野村ケンジさんと語っていただきます。ご期待ください!




~高音質なのにファイルサイズが小さい「MQA」~

「MQA」は英国のMERIDIAN AUDIO社によって開発された、革新的なハイレゾ音声符号化技術です。

スタジオマスターと同じクオリティを再現しながら、CD並の転送レートにファイルサイズを小さくできるのが特長。ダウンロードも短時間で行えるなど利便性と高音質化を両立させたハイレゾ技術として世界の音楽業界で注目を集めています。

日本国内では、オンキヨー&パイオニアイノベーションズ株式会社が運営する音楽配信サイト「e-onkyo music」にて、2016年4月よりMQAによる音源配信がスタートしており、今後も、配信タイトルは増加する予定となっています。

「MQA」について詳しくはこちらをチェック!

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