「桃井はるこワンマンライブ 2017 ~実りの秋祭り!〜」新旧の代表曲を歌いまくった30代ラストワンマンレポ

2017年11月11日(土)、声優としても活躍するシンガーソングライター・桃井はるこさんが、ワンマンライブ「桃井はるこワンマンライブ 2017 ~実りの秋祭り!~」を、渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて開催した。



今回のライブは、11月8日にリリースされたtokyo toricoレーベル移籍後第2弾シングル「星空ダンシング」リリース記念であるとともに、桃井さんにとって30代ラストを飾るメモリアルなワンマンライブである。

そのセットリストもまた、初期の代表曲から最新シングル曲までを網羅した、まさしくオールタイムベストな内容となっており、全モモイスト(桃井さんのファンのこと)感涙のステージが繰り広げられた。

終始、笑顔とパワーに満ち溢れたライブの模様をレポートしよう!

MCする時間すら惜しい! (ほぼ)ノンストップでライブは進行!!


木枯らしが吹きすさぶライブ当日だったが、会場となった渋谷duo MUSIC EXCHANGE内は開演前から熱気ムンムン! 若い人から中高年まで、男女入り乱れたフロアには、思い思いのスタイルでライブを楽しもうとしている観客で満員だった。

そんな中、満を持してバンドメンバーとともに、ピンク色のオーバーオール姿の桃井さんがステージに登場! そして、会場を埋め尽くす桃色のサイリュームの輝きに照らされながら初期の代表曲「WONDER MOMO-I -world tour ver.-」でライブはスタートした。ポップスからハードロックへと激しく展開するサウンドにあわせて、キュートな歌声とパワフル歌声を自在に使い分ける桃井さんに、いきなり会場のボルテージも急上昇。熱いコールも観客から沸き起こる。


続く「さいごのろっく」も、また桃井さんのソロワークスでは初期に発表された人気曲だ。ここでは桃井さんのライブでは欠かせないショルキーも登場。歌とともに鮮やかな演奏も披露し、まさに出し惜しみなし! といった熱いステージがオープニングから展開する。

「待ちに待ったワンマンライブですよ」

満面の笑顔で最初のMCをスタートする桃井さんだが、すでにライブが楽しくて仕方がない様子。「どんどん次にいっていいでしょうか? 今日私、絶好調なんで!」ということで、挨拶もそこそこに、今度は「しょうわ」「カイト」と2010年代に発表された楽曲が披露される。この2曲は、ファン人気も高い楽曲であると同時に、桃井さんのルーツを歌ったり、転換点となったりといった重要な作品だ。そこに桃井さんの、今回のライブに寄せる意気込みを感じるファンも少なくはないはず。


そんな桃井さんは、今回のライブ前日の夜、なかなか寝付くことができなかったそうだ。しかし、明け方に「ワンマンライブはうまくやらないと、と思うと緊張する。でも、来てくれるのはファンのみんななので、もっと安心してやってもいいのかも」と思い至ったとのこと。いわば「ワンマンライブはホーム」ということで、今回は楽しくやりたい! と思いを新たにして、ライブは再開。

渋谷の街は未来を感じさせる、ということで「21世紀」「2001年のゲーム・キッス」「もっと、夢、見よう!」を立て続けに熱唱。桃井はるこ流の「未来」「夢」「希望」を描く楽曲が会場を再び大きく盛り上げた。

今後はオーバーオールキャラに!? 明かされる衣装の秘密

早くもライブは中盤戦に突入。ここで本日の衣装・オーバーオールの理由が明かされた。「世界中、どこの国に行っても子どもは『スーパーマリオ』をやっている。だからってワケじゃないんですけど」と前置きしつつ、「オーバーオールを着ている人って最近あんまりいないから、オーバーオールキャラになろうと思って」と語る桃井さん。そんな衣装についてのこだわりも、実に彼女らしい。


ここで披露されたのは、ちょうど前日に、日本VSブラジルのサッカー国際親善試合が開催されたということで、どうしてもセットリストに入れちゃうほど好きな曲だという「勝利の女ネ申☆」。そしてPCゲーム「Corona Blossom」主題歌「Happy! Corona Blossom」。

ポジティブかつ元気いっぱいのポップチューンが会場を明るく盛り上げる。

先ほどのMCの続きとして、衣装のオーバーオールは、桃井さん自身でピンク色に染めたDIYアイテムということが明かされる。一度手を加えてしまったら、もう元には戻せない。そんなアナログな要素に、人生を重ねつつ桃井さんは新曲「D・I・Y ~キミ色に染めて~」。そしてアニメ制作現場を舞台としたアニメ作品「SHIROBAKO」に提供した「プラチナジェット」のセルフカバーを歌う(ちなみにアニメの有名なセリフ「万策尽きたー!」でイントロに入り、会場は大盛り上がり!)。そこかしこに桃井さんからの「クリエイティブ」に対する強いメッセージを、ひしひしと感じずにはいられない。

ここまでアッパーかつ元気な楽曲が続けて披露されてきたこの日のライブだが、そればかりがモモーイではない! ということで、コミカルな歌詞とポジティブなメッセージが心に響く応援ソング「tora:uma」、しっとりと人生について歌う「ライトワンス」、フォーキーなサウンドに乗せて歌われる何気ない日常風景がなぜか泣かせる「どばと」といった、感情を揺さぶる楽曲が、観客の耳を癒した。


かと思えば、桃井さんをリスペクトしていることを公言する後継者でもあり、また同じく独自の道を開拓し続ける同志とも言うべき声優・上坂すみれさんに提供した「げんし、女子は、たいようだった。」のセルフカバー。そして自身の秋葉原愛を高らかに歌う「セカイじゅうのAKIHABARAで」を歌い、桃井さんは心のふるさと・秋葉原や後輩たちへのエールを送る。

いっぽう、会場に全身をLEDで包み込み暗闇で発光するファンと、ケミカルライトで全身が発光しているファンの姿を見つけて思わずツッコミを入れてしまう桃井さん。すわLED派VSケミカル派の対決が始まるかと思いきや、「無理すんな(笑)」と冷静にコメント、この塩対応に会場は笑いに包まれる。このファンとの適度な距離感もまた彼女の魅力なのだ。

圧巻! 怒涛の終盤戦! 君は生き残れるか!?

ライブ終盤はロックなモモーイ全開の激アツステージが繰り広げられた。

自分で作った曲の中で一番好きなメロディという「Phantasista」を筆頭に、「へんじがない、ただのしつれんのようだ。」、「TOUGH BOY」、「純愛マリオネット」、「東京サバイバル」と、ゴリゴリのバンドサウンドともにハードな歌声を聴かせる桃井さん。右に左に、大きくステージを使ってフロアをあおることももちろん忘れない。


お待ちかねの最新シングル「星空ダンシング」では、ストレートなロックサウンドにあわせて会場からも力強いコールと拳があがる。「萌え」とも「燃え」ともひと味違う、とにかく「カッコいい」モモーイ流の王道ロックサウンドが会場を激しく縦に揺らす。

そして本編ラストを飾ったのは、桃井さんのライブではもはや定番のアンセムソング「LOVE.EXE」。サビで「エ・グ・ゼ!」と叫びつつ両手をクロスする振り付けの一体感、オタ芸やMIXが乱舞しながらも他の観客への気配りを感じさせるモモイストたちの統率力、そして熱のこもったバンド演奏と桃井さんのパフォーマンス……語り始めたらキリはないが、ともあれこの曲の盛り上がりは、この日のライブの中どころか、近年まれに見る熱狂ぶりだったのではないだろうか。桃井さんも、思わず「楽しいー!」と喚起の声をあげるほどの一体感が会場を包み込んだ。


一度はステージを去った桃井さんだが、一向に冷めない会場の熱気に呼ばれ、

「今日の『LOVE.EXE』は、本当に最高でした」

そんな言葉とともにステージに再登場。アンコールでは、そんな「今の気持ち」を込めてスラッシュメタルばりの高速ナンバー「ANCHOR~アンカー~」、そして改めて「星空ダンシング」が会場を盛り上げた。


最初から最後まで、まさに全力投球。セットリストも、新旧織り交ぜた「オールタイムベスト」と言うべき今回のライブは、「実りの秋」というライブタイトルにふさわしい、充実の内容であった。

「30代最後のワンマン」と本人も語っていたが、終始、年齢なんて意識させないパフォーマンスで会場を盛り上げ続けたその姿には、「さすがモモーイ!」としか言いようがない。

MCで「ファンの皆さんがいるから、20代よりも元気なんです」と語っていたが、きっとこれからもファンとともに彼女にしか表現できないステージを、満面の笑顔とパワフルなパフォーマンスで作り上げ続けていくのだろう。

最後の「これからも、ずっとよろしく!」という挨拶を聞きながら、そんなことを思わずにはいられなかった。

なお11月25日(土)、秋葉原ラジオ会館にて開催されるイベント「アキバ総研15周年大感謝祭」に、桃井さんの出演が決定している。当日はトークステージのみならず、アコースティックライブも予定されているので、ぜひともご来場いただき、その魅力を味わっていただきたい。

■「桃井はるこワンマンライブ 2017 ~実りの秋祭り!〜」セットリスト

1.WONDER MOMO-I -world tour ver.-

2.さいごのろっく

3.しょうわ

4.カイト

5.21世紀

6.2001年のゲーム・キッス

7.もっと、夢、見よう!

8.勝利の女ネ申☆

9.Happy! Corona Blossom

10.D・I・Y ~キミ色に染めて~

11.プラチナジェット

12.tora:uma

13.ライトワンス

14.どばと

15.げんし、女子、たいようだった。

16.Phantasista

17.へんじがない、ただのしつれんのようだ。

18.TOUGH BOY

19.純愛マリオネット

20.東京サバイバル

21.星空ダンシング

22.LOVE.EXE

EN1. ANCHOR~アンカー~

EN2.星空ダンシング

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