デジタルアーティスト「AR performers」総合プロデューサー・内田明理トークライブで見た、3rdライブへの布石
AR(拡張現実)技術で作られたデジタルアーティスト「AR performers」の生みの親、内田明理プロデューサーのトークライブが、2017年12月1日にアニメイト横浜店で開催されました。このトークライブは、2017年12月20日にリリースされるミニアルバム「A'LIVE3」の発売を記念して企画されたスペシャルイベントで、参加資格を得たファンが集結。新曲にまつわる話を中心に約1時間繰り広げられたイベントの詳細を、1stライブから追っている筆者がレポートします!
なお、AR performersを知らないという方に大前提として知っておいてもらいたいのは、これが一般的な二次元キャラやアイドルコンテンツではないということ。AR技術で再生されているキャラクターではなく、歌や会話を担当する「Vキャスト」とダンスや動きを担当する「Aキャスト」、そして髪の毛や衣服の動きを制御する技術者が3人1チームとなって1キャラクターを作りあげ、リアルタイムで演じている“生きた”デジタルキャラなのです。
→「AR performers」について知りたい方は、こちらをチェック!(姉妹サイト「価格.comマガジン」へリンク)
“新たな方向性”を課題とした新曲をリリース
アニメイト横浜店の特設会場で開催された当トークライブは、AR performersのラジオ番組「Amazing Radio Performers on the WEB」(毎週土曜日22時~)のナビゲーターである星野卓也さんが、内田プロデューサー(以下、内P)のお相手を務めました。ファンにはおなじみの方なので、最初に登壇した星野さんが観客席にお決まり(?)のかけ声を投げかけると、観客席からは息のそろったレスポンスが! 一瞬にして一体となったいい雰囲気の会場に内Pが登場したのですが、その手に持たれていたポスターにみんなの視線は釘付け! これが初披露となるミニアルバム「A'LIVE3」と次回ライブ「3rd A'LIVE」の告知ポスターだったのです。「見えない!」と叫ぶファンたちのために、星野さんがラウンドガールばりにポスターを掲げ、会場をぐるりと1周してくれました。やさしいー!披露されたポスターに描かれていたのは、新衣装を着たパフォーマーたち。シンジの襟もとにヒラヒラがなくて、印象が大きく変わりましたね。ダイヤもウワサの“いい身体”を見せてくれています。これは……ライブでチラリ、あるんじゃないでしょうか!!!
最高潮のテンションで始まったイベントは、いよいよ本題、ミニアルバム「A'LIVE3」の話へ。「A'LIVE3」には5曲が収録されており、その内4曲は「3rd A'LIVE」に向けた新曲となっています。なお、一般的なアーティストであればライブ前に新曲のCDをリリースしますが、なぜかAR performersはこれまでライブ後に発売するというスタイル。筆者も少々不思議に思っていたのですが、映画やアニメであれば上映や放送が終わってからDVDが発売されるので、AR performersも当初はその流れに従っていたのかもしれません。しかし、今回は違います! 「ライブ前にリリースしたら、ファンのみんなも歌を覚えてライブに挑みやすいのでは?」と、内Pのひと声でライブの前にCDを発売することが決定。ただ、発売を決めたものの、スケジュールが大変なことになったと言います。ライブにあわせ半年に1回のペースでリリースしていたスケジュールが崩れてしまい、「A'LIVE3」はこれまでよりも短い制作期間となり、大変しんどいことになった……というより、現在進行形でしんどい、今、しんどいと、のっけから内Pのぶっちゃけがスゴイ!(笑)
「A'LIVE3」は2017年12月20日リリース。DVD付きのパッケージにはビルの屋上で収録した「Tender Blue」と、「FANTASISTA」の「OLE!ファンタジスタ」の“あのシーン”がしっかり寄りで見られるPerformance VIDEO(一般的にいうPV)が収録されています
ちょっとグチをこぼした内Pですが、ちゃんと新曲の話もしてくれました。AR performersはライブありきなので、 「A'LIVE3」もライブとして盛り上がれる曲であることがコンセプトとなっています。内PがAR performersを生み出した当初から“プロの音楽屋にも 評価されるクオリティ”を目指しているので、いわゆる、アニソン、キャラソンの枠を脱しているのは間違いないのですが、内Pの描く世界観を具現化するには、 作曲・編曲を担当する平田祥一郎さんの存在なくしては実現しなかったのではないかと思います。筆者は音楽にくわしくありませんが、平田さんの作る曲は独特でセンスが絶妙。 耳にすごく残るのですが、単純じゃないって感じで、実際に歌ってみるとかなり難しい! そんな難しい曲をサラリと歌いこなしてしまうAR performersもすごいやつらなのです。 そんなふうにすでに高レベルなパフォーマンスをしている彼らですが、今回はさらに新しい方向性にチャレンジしてもらっているのだそう。内Pや平田さんと意見を交わし、 納得いくまで曲作りに向き合う、彼らのレコーディングの様子を内Pが語ってくれました。
レオン「Turn Up Baby !」
まずは、1stライブで彗星のごとく現れた、レオンの新曲「Turn Up Baby !」から。ラジオでレオンが話していたように「たんたん(レオンたんのファンのこと/レオン命名)と踊れる曲」に仕上がった「Turn Up Baby !」ですが、初期の段階ではもっとブラックミュージック色が強い難しい曲だったそう。しかし、このままではレオンは踊れてもたんたんは踊れないんじゃない? となり、多少わかりやすく修正したといいます。ライブが開催されるのは真冬の1月ですが、歌のイメージは西海岸。キラキラした太陽のようなレオンに、ピッタリです。曲を聴いているだけで、楽しそうに軽やかに踊ってるレオンの姿が見えるよう! ダンスにはジェイムス・ブラウンのステップなどを取り入れ、レオン風にアレンジしているということなので、ライブで見るのが楽しみですね。
なお、このレコーディングは4時間以上かかったそうです。何か決断しなければいけない事態が発生した時のために内Pは全レコーディングに同席しているのですが、平田さんがどんどんハードルを上げてダメ出しする→レオンもやり返すの繰り返しで、最後のほうは意地の張り合いとなり、とにかく終わらなかった……とのこと。その間、内Pはスタジオにあるお菓子を食べていたそうで、置いてあるお菓子がなくなっちゃったと話されていましたが、自慢(?)の腹筋は大丈夫なのか!? と、取材をしながら心配になりました(笑)。
また、内Pは、いつかレオンにバラードを歌わせたいとのこと。レオンじゃないと歌えないというか、あのレオンがセクシーに見える曲を歌わせたいということでした(すでに、「FANTASISTA」でもエロかったですけどね!)。
シンジ「Dahlia」
AR performersのリーダーでもあるシンジは、両親が著名な音楽家で生まれながらのエリート。学校でも主席の優等生で、見た目も立ち振る舞いも王子様そのもの。ライブ中も観客を「プリンセス」と呼ぶほど、お行儀がよくておだやかでやさしいというのがシンジなのですが……2ndライブで「REBEL CROSS」とユニットを組んで「TENDER BLUE」を歌ってから、彼の殻が破られたようです。「TENDER BLUE」の時のようなボーカルスタイルを3rdライブでもやってみたいと内Pや平田さんにオーダーがあり、その意見を生かした新曲「Dahlia」が誕生。「Dahlia」はこれまでのシンジの楽曲とはまったく違う感じで、王子様ではなく等身大の男の子がコンセプトとなっているそうです。いつも「僕」というシンジが「オレ」と言っていたり、本来であれば「お手をどうぞ」というスタイルなのに、本曲では「奪う」みたいなことを言ったり、腹の底から絞りだすような声を出したりと、とにかく、男っぽい仕上がりになっていて、内Pは収録中、聴いていてキュンキュンしてしまったとのこと(笑)。実は、「Dahlia」の曲が最初にあがった時、90年代の日本の歌謡ロックの雰囲気があると内Pは感じたそうで、あえてそのあたりの音を意識して縦に刻んだギターを前面に出すなど、サウンド作りしてもらったといいます。それと同時に、「ちょっと古く聞こえちゃうのでは?」とも思ったそうなのですが、高校生のシンジにとっては90年代テイストはオリジナルというか、新鮮に聞こえたとのこと。
「Dahlia」は湧き上がる気持ちを表現するラブソングなので、ライブでの聴き応え、すごそうです。どれほどシンジが感情移入してくるか、聞き逃せません!
REBEL CROSS「rrRrride On !!」
AR performers唯一のデュオ「REBEL CROSS」の新曲「rrRrride On !!」は、まず曲名が言いにくい!(笑) 「rrRr」が付いている分、「ララララライドン」と言わなければなりません。この曲名になったのは、ダイヤのせいでした。というのも、もともとは普通に「ride On !!」だったのだそう。でも、正直記憶に残らないな……と思っていた内Pと平田さん。そんな時、レコーディング中のダイヤが「らぁ」って感じで歌っているのを聴いて、「ら」をいっぱい付ければいいんじゃないかな? となったといいます。ダイヤの歌いまわしから生まれたタイトルですが、さも、当初からそうだったよというふうに「もっと巻き舌でやってみようよ」と、ダイヤやレイジにリクエストしていたそうです(笑)。これまでにない方向性が、「rrRrride On !!」にも含まれています。これまでREBEL CROSSの楽曲は「見てくれ!見せる!見てみろ、おまえら!」という感じでしたが、ステージ上の自分たちが観客席のパフォーマーにのせられる曲がやってみたいということから、パーティーチューンな楽曲になったそう。つまり、「rrRrride On !!」の方向性が成功するか否かは、ファンのみんながどれだけ盛り上がれるかにかかっているのです!
なお、今回はダイヤの素のラップが聴けるのもポイント。「THE KISS」の時は内Pのオーダーで、聞き取りやすいソフトなラップにしてもらっていたのですが、2曲目の「D.O.A」でダイヤの素の部分が出てきていて、ファンにも自然に受け入れられていたので、3曲目の「rrRrride On !!」ではもっといっちゃおう! とやってみたら、かなりいい感じに仕上がったといいます。
と、ここまでレイジの話がない! とレイジファンはやきもきしているかもしれませんが、「rrRrride On !!」はダイヤのラップが主軸なので……レイジのことは、レコーディングはダイヤとは別に行われ、パートで録るタイプではなく、通しで歌う派ということのみでした(レイジは優秀で、そつなくこなしてしまうから、こんなにコメントが少なかったのだろうと筆者は思っています!)。でも、最後に内Pが、レイジは音楽の知識も豊富で作曲も好きなので、いつかレイジ作曲の歌を聴きたいな、と話されていました。星野さんも「言いましたね!?」と念を押していたので、期待して待ちましょう。レイジはギターも弾けるから、弾き語りとかもよさそうです!
かなり革命的な、新ユニット「SUPER RARE」の「威信傳心」
そして、2ndライブのバトルソングの勝者、シンジとレイジで結成されるユニットのユニット名が発表されました。すでにラジオや公式サイトでも発表されていますが、このトークイベントに来場したファンたちは、ラジオで聞くよりも少し早くユニット名とユニット曲を知ることができたのです。TwitterなどSNSへの投稿は禁止されていましたが、みんなきちんと約束を守って、本当にえらい。シンジなら「いい子ですね」って絶対言ってくれるーと、筆者はひとりで妄想しておりました(笑)。と、話が脱線してしまいましたが、ユニット名はシンジの「S」とレイジの「R」で「SUPER RARE(スーパーレア)」。最初、「ウケるー!」と内Pたちも笑っていたそうなのですが、だんだん「SUPER RARE」いいよねとなったのだそう。バトルソングで勝った2人が奇跡的にユニットを組むということも“スーパーレア”ですからね。そんな「SUPER RARE」が歌うのは、「威信傳心(いしんでんしん)」。
実は、9月30日放送のラジオで、平田さんが歌を吹き込んだ「威信傳心」の仮歌が披露されていました。仮歌でもすごくかっこよかったのですが(平田さんはめちゃくちゃ歌がうまい!)、シンジとレイジの歌う「威信傳心」を聴いたら鳥肌もの! ふたりの声の相性がバツグンです。平田さんがトラップをやりたいということから、この曲が生まれたそうなのですが、正直、内Pは最初、レイジはまだしも、シンジがトラップって……と思っていたそう。しかし、実際に収録された曲を聴いてみると、かっこいい仕上がりになっていたといいます。新曲「Dahlia」でも男気を出しているシンジだけれど、「SUPER RARE」ではまた違うかっこよさが出ているとのこと。
また、この「威信傳心」ですが、デモ曲の段階ではサビに歌がないという、攻め過ぎで難しい曲だったのだそう。作っている内に、平田さんも「ちょっと難しいかも」とやさしくしてくれたのですが、コンセプトは当初のとおり。実は、「威信傳心」は今までのAR performersの曲とは違う感じで、社会性やメッセージ性の強いものとなっています。しかし、あえてテーマは語らないとのこと。それぞれの受け取り方で感じてもらいたいということでした。この曲も「A'LIVE3」に収録されています。
そして、「SUPER RARE」のダンスパフォーマンスにも注目だそうです! 「クランプ」という感情を体で表現するダンスが採用されており、殴るなどの攻撃的な動作を行うのだとか。一時は空中分解するんじゃないかというぐらいもめたこともあったふたりですが、リハーサルを見るとすごくシンクロしていて、「威信傳心」を見ていたスタッフ陣(おじさんたち)みんなが「SUPER RARE、かっこいいね」と見惚れてしまうほどの完成度なのだそうですよ!
ポスター争奪戦で会場は大盛り上がり!
新曲にまつわる話を終えた後に、このイベントに来場した方にサプライズが! 「REWIND2」のサイン入りポスターを、じゃんけんに勝った1名にプレゼントする企画が実施されました。ファンのみなさん、自分が負けてもポスターをゲットした方に拍手を送るという……、ライブで繰り広げられるバトルソング同様に、お互いを称えあう姿は、さすが「ARS(Artists Republic Supporters)」です!この記事を読んで、AR performersのことが気になった方は、一度ライブの様子を映像で見てみてはいかがでしょうか? 2017年12月6日から「1st A’LIVE」、2017年12月13日から「2nd A’LIVE」を初めて映像化した「1st A’LIVE Greatest Moments」と「2nd A’LIVE Greatest Moments」が「dTV」で配信されるので、パフォーマンスの雰囲気を知ることができます。なお、2018年1月6、7日に開催される「3rd A’LIVE」のチケットも、今ならまだ間に合う! チケットについては、こちらをチェックしてください。
ライター:f-jyoko
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