「ゆるキャン△」京極義昭監督インタビュー──ロケハンを重ねてキャンプの空気感、料理、温泉まで魅力をすべて詰め込みました!
2018年1月4日(木)よりAT-X、TOKYO MX、サンテレビ、KBS京都、BS11にて放送スタートしたTVアニメ「ゆるキャン△」(原作:あfろ/芳文社・まんがタイムきららフォワード)。山梨県を舞台に女子高校生たちがキャンプをしたり日常生活を送る様子をゆるやかに描く本作は、キャラクターが織りなす雰囲気や詳細なキャンプ描写、美麗な風景といった魅力にあふれている。それがアニメでどのように表現されているかも楽しみなところだ。
今回は、本作が初監督作品となる京極義昭監督にインタビューを実施。本作の魅力やアニメ化するにあたりこだわったポイントなど、たっぷりお話をうかがった。
原作と同じ季節、同じ場所をロケハン
――京極監督がこれまで関わられてきた作品について教えて下さい。
京極 もともとはアニメーターとしてProduction I.Gでキャリアをスタートしました。途中から演出に興味が出ていろいろな作品をやらせていただき、一番多く手がけたのが「黒子のバスケ」ですね。その後フリーとなり、「終わりのセラフ」や本作と同じC-Stationの「スタミュ」などもやらせていただきました。
――そして、本作で初監督となります。どのような経緯で監督を務めることになったのでしょうか?
京極 「黒子のバスケ」や「スタミュ」の監督である多田俊介さんが、C-Stationで「スタミュ」の演出をされていた時、社長の丸さんが本作のプロデューサーに紹介してくださったんです。「ゆるキャン△」は僕と相性がいいと思ったみたいです。C-Stationはすごくいい会社なので、そこで監督をやらせていただけるのは嬉しかったですね。本来であれば原作を読んでからお返事すべきなのですが、二つ返事で「やります!」と言っちゃって(笑)。今思えばずいぶん軽率な行動だったなと思います。
――原作を読んだ感想はいかがでしたか?
京極 いや~、よかったですね。とにかく面白くて、初監督がこの作品で本当によかったと思いました。大きなドラマが起きるわけではないですけど、登場人物がみんな魅力的でかわいい。あfろ先生が描くキャラクターはとてもナチュラルで作られた感じがしないんです。(各務原)なでしこと(志摩)リンの関係性が象徴しているように、近すぎず遠すぎずの適度な距離感がとても自然でリアルに感じられました。
……あまり女子高生と普段触れ合う機会がないので、本当にリアルなのかはわからないですけど(笑)。
――2人が出会って同じ部に入るのかと思いきや、意外とそれぞれのキャンプが描かれますよね。
京極 よくある作品であれば「ひとりぼっちでキャンプしているリンがなでしこに出会い、メンバーが集まって最後にみんなでキャンプしてゴール」となるのですが、そうじゃないんですよ。時々グループでキャンプもやるし、ソロでもキャンプする。どっちもあっていいんだよ、というのがすごくいいなと。それらがなでしこを通じてゆるやかに繋がっているのも新しいなと思いました。
――そんな魅力のある作品をアニメ化するにあたり注力した点をお聞かせください。
京極 この作品のもうひとつの魅力として、やはりキャンプがありますよね。原作を読んでキャンプをしたくなったし、なでしこたちが食べているキャンプ飯を食べたくなりました。その感じをアニメでも出すには実際にやってみないと描けないと思ったので、まずはロケハンに行きましょうと。僕とメインスタッフで、モデルになっているキャンプ場を全部回りました。
――空気をしっかり感じてから制作にとりかかったのですね。
京極 あfろ先生は実際に行った場所をそのまま描いているので、行けば必ずその景色があるんです。だから、原作を見ながら「あのシーンはここだ」などと言いながら、結局10回ぐらい泊まりこみでロケハンしました。季節感も合わせたかったので、去年の秋冬をメインにロケハンしたんですが、とにかく寒くて大変でした。「ゆるキャン△」なのに全然ゆるくなかったです(笑)。
でも、そこがまたこの作品の面白いところで、リンは静かなキャンプが好きだからあえて秋冬にやるんです。キャンプは夏のイメージがあってグループでワイワイやるものだと思っていたから、静かで誰もいないキャンプ場は新鮮でした。この感じは行かないとわかりませんでしたね。
――キャンプ飯も実際に作ったのですか?
京極 全部作りました。あfろ先生のチョイスがすごくて、本当に何を作ってもおいしいんですよ。外で食べることでおいしさが倍増しますし。
――その中でも一番おいしかったのは?
京極 やっぱり担々餃子鍋ですね。寒い中で食べる汁物のうまさは格別です。
――アニメでも食べ物の描写は期待されるところです。
京極 がんばっています。でも、アニメで食事を描くのはとにかく鬼門なんですよ(笑)。僕もアニメーター時代に描きましたが、なかなかうまく描けなくて……。おいしそうに伝わればいいなと思っています。
――あfろ先生から事前にリクエストなどはありましたか?
京極 ほとんどありませんでした。本読み(脚本会議)に毎週来ていただいていましたが、「こうしないでくれ」というようなことは全くありませんでしたね。むしろ、本読みの参加者はみんな原作ファンだったので、先生を囲んでファンの集いをしている感じでした(笑)。まだ描かれていないところを僕らが妄想して、それを採用していただいたこともあります。先生はすごく協力的でありがたかったです。
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