ここからが新たなスタート! 「劇場版 マジンガーZ / INFINITY」公開記念、志水淳児監督×なかの★陽 助監督×金丸裕プロデューサー鼎談インタビュー!

日本が世界に誇るロボットアニメの金字塔「マジンガーZ」の最新作、「劇場版 マジンガーZ / INFINITY」が、現在大ヒット上映中ということで、記念クロストーク企画が実現!


本作を手がけた志水淳児監督、なかの★陽 助監督、金丸裕プロデューサーに、本作の制作の裏側や「マジンガーZ」に対する熱い思いを思う存分語っていただいた。

これを読めば、まだ見ていない人はすぐに見たくなるし、もう見た人も2度、3度と見直したくなること間違いなし!

しかと刮目すべし!

また、現在、キャスト(森久保祥太郎・茅野愛衣・上坂すみれ・花江夏樹)&監督(志水淳一監督・なかの★陽 助監督)のサイン入りポスターが、抽選で3名様に当たるプレゼントキャンペーンも実施中。
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東映の長編アニメ映画の原点に立ち返った「マジンガーZ」


──まずは「劇場版 マジンガーZ / INFINITY」の企画の成り立ちを教えてください。

金丸 9年ほど前から「マジンガーZ」を映画でやりたいという企画はあって、ダイナミック企画さんといろいろなお話をされていたそうです。そのころは自分とは別の方が担当されていて、実写やフルCGなどさまざまなアイデアがあったそうです。その後、6年くらい前に私が企画に入りました。その際に永井豪先生とダイナミック企画さんからひとつオーダーがありまして、それが「マジンガーZと兜甲児を軸にした映画をアニメーションで新しくやりたい」というものでした。

なかの リメイクにするかリブートにするか、はたまた続編にするかはまだその時には決まってなかったんですか?

金丸 そうですね。そういう具体的なことは決まってなかったんですが、とにかく映画の企画ですので、その際は、マジンガーZと兜甲児で1本作りたい、と。そこで、グレートマジンガーを登場させたいとお話し、OKとなりました。そういう話を、私がダイナミック企画のプロデューサーさんとお話していく中で、TVシリーズを東映アニメーション(当時は東映動画)がしっかり作らせていただいたという実績・資産があることを踏まえて、「マジンガーZ」を次の世代にきちんと持っていけるように、続編を作らせていただきたい。それが新しいものになると思います、とお願いさせていただきました。この頃、チラッと志水監督にお話はさせていただいたかと思います。

──監督はどのタイミングで参加されたのでしょうか?

志水 3年半くらい前でしょうか。

金丸 シナリオの2稿目くらいのタイミングだったように思います。

──監督はマジンガーZという作品には思い入れは?

志水 子どもの頃から見ていた作品なので、もちろん思い入れはありましたね。監督のお話をいただいた時は、ありがたいし、すごく光栄だと思いました。

──監督世代だと、やはり東映アニメーション(当時は東映動画)というとマジンガーZですか?

志水 マジンガーに限らず、ロボットものというと東映という印象ですね。


──なかのさんはどのタイミングで参加されたのでしょうか?

なかの もっと後じゃないですかね。僕が入った時はシナリオの直しがいったん終わった段階で、確か準決定稿くらいだったと思います。プリキュアが終わって「なかのさん、そんなにロボットが好きならちょうどいい企画がありますよ」と声をかけていただいて。まだ社外秘だったので、来てみたら「マジンガーZって作品なんだけど」って(笑)。

金丸 そうですね。監督に入ってもらったことで脚本の方向がかたまって、あとは絵コンテに入りましょうという、このタイミングでスタッフルームができました。

なかの その頃には、マジンガーとグレートのデザインはもう大体できていたかな。志水監督よりも先にメカニックデザインの柳瀬敬之さんと、脚本の小沢高広さんが入って、先にメカ方面から固めていったんですよね。

金丸 そうですね。

なかの 本格的に企画が動き出したのが、約2年前、キャラクターデザインのオーディションが終わって飯島弘也さんに決まり、僕が参加してから1年半という感じでしたね。

──けっこう長丁場の制作期間ですか?

金丸 東映アニメではTVシリーズの延長上にある映画作品も多いのですが、「マジンガーZ」はTVシリーズ続編のオリジナルストーリーですし、1本の映画として1年半くらいの制作期間をかけました。

なかの 濃縮された1年半でしたね。


理屈抜きで楽しめる戦闘シーン


──志水監督となかの助監督は、それぞれどのような仕事をされていたのでしょうか。

なかの 特撮映画的に例えると、本編監督が志水さん、特技監督がなかの、といった役割分担に近いですね。作品全体は志水さんに見ていただいて、僕はメカ・人間問わず戦闘を中心に演出を担当しています。そのほかにもいろいろやった結果、自分は最終的に助監督のクレジットに収めていただきました。

金丸 なかのさんの一番の強みって、「ここにエッジを効かせましょう」「ここを魅せましょう」というポイントがしっかりしていて、それがマジンガーとマッチするというところだと僕は考えています。そのいっぽうで監督とお話しするときは、兜甲児はこういう立たせ方をしたほうがいいんじゃないですかとか、リサはどういう風に扱いますかとか、キャラクターをうまく見てもらったりもしていたので、そういった意味では役割は明確でしたね。

なかの 人物パートと怪獣パートがひとつの作品を形作るという、自分のやってきた特撮の手法が、今回すごく役に立ちましたね。僕が「ゴジラ」シリーズなどでも助監督をやっていた経験も生かし、志水監督も自分も互いにやりやすい仕事の進め方を工夫しました。2人の仕事を合わせて5倍、10倍の力になるといいなと。僕のほうから「ここはこうしたいんですけど」って監督にも言うし、監督から「こうしたいんだけど」って話が来た時には僕のほうで対応する。そういう意味で縦割り制をなるべく廃したかったんです。

──なるほど。

なかの 映像面でもCG班と作画班という風に分かれていたんですが、たとえばCGの人に作画班にも意見を言ってください、逆に作画班にもCG班の映像に対し、総作画監督の飯島弘也さんも交えて演技への意見を交換するといったことをお願いしています。マジンガーチームとして皆が動きやすい環境を作りたいという思いのもと、その辺も助監督として自由にやらせていただきました。作品の実作業の運営は、もうひとりの助監督である川崎弘二さんに助けていただいて、非常にいいチームワークで制作させていただきました。チームワークがよすぎて、何時間もだべっちゃったりしてましたけど(笑)。

金丸 それは全然悪いことじゃないと思います。非常に濃縮された時間と環境の中で、必要な会話ってあるじゃないですか。僕はそこが重要だったと思います。

──本作は続編ものアニメとしても見られますが、まず1本の長編映画として非常に見応えのある内容になっていると感じました。本作を制作するうえで、監督が意識したことは?

志水 TVシリーズの放送から時間が経っているので、うろ覚えだったり、ほとんど忘れていらっしゃる人も多いと思います。初めて見られる方も多いでしょうし、そういうお客様でも楽しめるものをと考えました。

なかの リアルタイムを知らない人も当然見ると思うので、現代の作品として問いたいというのは当然あります。

金丸 実はスタッフの中では「この人たちに向けて」と、ターゲットを意識することはありませんでしたね。議論の中でも、「どうやったらこれが伝わるか」「どうやったら面白くなるか」、当時のTVシリーズの設定とか面白みとかうまみを、どのように濃縮できるかということをずっと話していました。

なかの 原典を知っている世代だけしか楽しめない寂しい映画にするつもりはなかったですね。いっぽうでお題が「マジンガーZ」である以上、まるっきり違うものにリメイクしても意味がないので、テレビシリーズのその後を描くという点で、テレビでの内容をできるだけ誠実に守るということを心がけました。最初のテレビシリーズから10年後という世界観を大事にしましょうというのは企画にもありました。東映版のテレビと映画を合わせて200本以上という芳醇な情報や設定があるから、それを活用すれば確実に面白い作品になるんですけどね。アニメに詳しい人も知らない人も、大人から小さなお子さんまで幅広く楽しんでいただくためにこそ、設定やキャラも変えずに今回の「マジンガーZ」を創っています。

──確かに、機械獣軍団が大勢せめて来るシーンなんて理屈抜きで息を呑みました。あのシーンは怖いですよね。

なかの わかりやすかったでしょ? 機械獣を説明するのに設定とかテキストはいらないんです。映画ってやっぱり視覚メディアだから、ひと目で見て「こいつらは悪い奴だからマジンガーでぶちのめさなきゃ」ってテンションに持っていかないといけない。たとえ、どんなにひねった展開や伏線の工夫しようが、最後はマジンガーZが悪い奴をやっつけるという話の大枠は決まっています。そこから逆算して、「マジンガーZ」本来の、誰が見てもわかるシンプルなお話をそのまま映画にしました。

たくさん武器を持ってて、強くてかっこいいっていうのは最初の「マジンガーZ」にすでに含まれていたことで、今回僕らはそれを素直に映画にしてみました。知らない人にマジンガーZの再放送を無理やり見せるんじゃなくて、見やすい形で1本の映画にまとめて、知らない人でも素直に楽しめる。さらにTVシリーズを知っていると100倍楽しめる、みたいなレベルで作ろうというのは、戦闘担当として意識して演出しています。

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