80人以上がステージに! 「Linked Horizon Live Tour『進撃の軌跡』」の真なる最終形「総員集結 凱旋公演」開催!!

2018年1月13日、14日に横浜アリーナで「進撃の軌跡」ツアーのフィナーレとなる「総員集結 凱旋公演」が開催された。ツアー34公演に参加したメンバー総員が招集され、2012年にLinked Horizon (以下、LH)が開催した「Revo Linked BRAVELY DEFAULT Concert」に出演したボーカルもゲストとして登場、LHが放つ祭典としての様相をも見せていた。そんなファイナルのファイナルにあたる2日目を振り返りたい。


LHのライブであると同時に「進撃の巨人」という作品の魅力を伝える場であった「進撃の軌跡」ツアー。登場人物を軸としたアニメの再編集映像に、Revoさんの「進撃」愛に満ちた生の音楽をまとわせ、新たな気持ちで「進撃」のキャラクターを見つめさせてもらえた。この夜も、「進撃」の世界観に没入できるように、ステージ上だけではなく、横浜アリーナはその名を「Linked Horizon ARENA」に変えられ、トイレの男性・女性マークまでもが心臓を捧げていた。

いっぽう、アリーナ内部ではそびえたつ「第一壁」の前で人々が待ち構えていた。観客=鎖地平団団員を率いる「団長」が姿を現す瞬間を。

ついにそのときは訪れ、壁は開き、左右に広がる5人の歌姫の中央にはRevoさんの姿が。「二ヶ月後の君へ」を歌いながら彼は階段をのぼり、夕焼けの海を背に両手を広げた。

写真:佐藤祐介


東京を沸かせたホルンが、相模原を高揚させたブラスが、名古屋を躍らせたパーカッションが、福岡を魅了したハープが、仙台を震わせた木管アンサンブルが、そして川崎で人々を酔いしれさせたクワイヤが重なり、すさまじい圧力で観客に襲いかかる。ステージの後ろに映し出されたアニメ映像に加え、間奏明けにはヴィジュアルポイを手にしたダンサーが飛び入り、随所でフレイムが立ち、目の前では壮大な光景が繰り広げられていく。

歌が最後に差しかかり、歌姫と花道の先端に進み、楽曲をフィニッシュさせた団長は、そしてこう言い放つ。

「よぉ……、5年ぶりだな」

壁の上で超大型巨人と対峙したエレンのポーズと言葉を借りたのはこの日が、LHにとっても2012年11月25日以来となるコンサートのファイナルだからだ。だが、彼が本公演を「凱旋」と名づけた思いを探ると深い。

ツアー本編がライブならば今回の公演はパレード。金管が抜けた「14文字の伝言」、Gt.×2+Ba.+Dr.+Key.というレギュラーメンバーが放つロックなソロが聴者の心を燃やす「自由の翼」など、各曲に合わせてオーケストラ要素を多分に、または控えめに盛るという差はあれども、楽曲を"聴かせ"に来ていた。

写真:江隈麗志

各地で特別な精鋭を招き入れながら進撃を続け、Revoさんにとっても初の経験となった長い旅路で見事な成果を果たしたものの、その成功は西山毅さんや弦一徹さんといった全ツアーに出陣した本隊、各地で招集された精鋭に加えて、軌跡についてきた団員たちすべての力があってこそ。最後の舞台で本隊と精鋭は渾身の歌声や演奏、演舞を見せたが、そこには全ての者への労いと謝辞も感じとれた。ステージの上下を問わず、互いに功績を讃える、まさに「凱旋」であった。

写真:江隈麗志


だが、それで終わらないのがRevoさんだ。今回のコンサートは二部構成。第一壁(第一部)を突破した観客に用意されていた第二壁(第二部)で展開したのは、「軌跡」で片鱗に触れた人々をさらなるLHの世界、そしてSound Horizon(以下、SH)の深部へと誘う時間。それは、LHやSHの曲をまるで「Horizonよくばりセット」と言わんばかりに進める時間で、かつ演奏後には原曲からの変化についての丹念な説明が施された。

たとえば、「進撃の軌跡」ツアーでは「風の行方」をMANAMIさんがカバーしたが、凱旋公演では原曲を歌ったCeuiさんが担当。MANAMIさんは逆にSH楽曲の「美しきもの」を歌い、ハーモニカも聴かせ、Horizon楽曲の「バトンタッチ」を演出していた。

あるいは「キミが生まれてくる世界」では、原曲ではジャンベがリズムを担当したが、ライブで演奏するにあたってバンド形式に変更、しかしこの夜はジャンベが復帰しドラムと共存していた。そんなアレンジの妙が隠されていることも説明してくれたが、これはLH、SHの扉を開けてもらうためのやさしさだろう。

また、RevoさんはSHファン(=ローラン)の存在をショーに落とし込む。「凱旋の【Linked Horizon ARENA】」でステージ上手(かみて)と下手(しもて)で団旗が振られたのは、振っている間は観客が歌うターンであることを示すためだが、新米団員の多くは気づかなかっただろう。だが、統率され、なんの説明もなく左右が歌で侵略し合う先輩団員を見て衝撃を受けたと同時に、第一壁の「神の御業」で集団行動を仕込まれた身にはきっとSH世界の楽しみ方を感じられたのではないか。

写真:阿部薫


第二壁の終わり、全メンバーはステージ前方に集まり、客席に首を垂れ、そして団長による「心臓を捧げよ!」の言葉で会場全体と一緒に「イェーガー」と応えてみせる。その後、団長のみが残って総括を述べ始めたが、その言葉からは集まった人との再会、次なる祭りの開催を彼自身も願っていると感じさせるものがあった。

Revoさんは率直に「寂しいな」と話す。初めての長丁場ということでいたらぬこともあったが振り返れば楽しい日々であったからだ。ゆえに「笑顔の裏に寂しさがある」と。だがRevoさんは、「イヴェール君(2006年発売SHのアルバム「Roman」の登場人物)が(「朝と夜の物語」で)歌っていることを思い出すね」「その寂しさは僕達の《宝石》なんだよ」と続けた。ここですべてが終わるわけではなく、出会いと別れを繰り返して自分達は進んでいって、それがひとつの軌跡になれば嬉しい、さらに、この寂しさを共有している全員がそれを大事に胸に抱えたまま、共に未来に歩いていけたら、ということを伝えた。

そしてRevoさん自身も「寂しさを抱えて次に進んでいこうと思います」と決意を述べる。

「寂しさが楽しさに変わる次の何かが待っています、未来に」

「それまで皆さんにはぜひ元気でいてほしい。辛いこと、くじけそうなこともあると思う。がんばろう、自分の足で立とうという時に音楽は何かになると思うので、僕の音楽を感じて帰ってほしい」

「その先の未来に僕がいます」

写真:江隈麗志


アニメのSeason 3が発表され、今も原作連載が続く「進撃の巨人」。であるならば、Revoさんがさらなる団員讃歌(ザックレー総統に焦点を当てた楽曲とか)を創作し、我々が再び進撃の旅に馳せ参じられることもあるかもしれない。

「心臓を捧げよ!」を横浜アリーナを埋めた団員と斉唱しながらそんなことを考えていたら、ステージ上で閉じた壁には「第三壁」、続いて「Look forward to our next attack!」の文字が。その頃には寂しさも宝石へと変わるのだろう。

(取材・文/清水耕司

■「Linked Horizon Live Tour『進撃の軌跡』総員集結 凱旋公演」2018年1月14日(日)@横浜アリーナセットリスト

【第一壁】

1.二ヶ月後の君へ

(MC)

2.もしこの壁の中が一軒の家だとしたら

3.紅蓮の弓矢(TVアニメ『進撃の巨人』Season1 前期オープニング主題歌)

4.14文字の伝言

5.紅蓮の座標(劇場版『進撃の巨人』前編~紅蓮の弓矢~主題歌)

6.最期の戦果

(MC)

7.神の御業

(MC)

8.自由の翼(TVアニメ『進撃の巨人』Season1 後期オープニング主題歌)

9.双翼のヒカリ

10.自由の代償(劇場版『進撃の巨人』後編~自由の翼~主題歌)

11.彼女は冷たい棺の中で

(MC)

12.心臓を捧げよ!(TVアニメ『進撃の巨人』Season2 オープニング主題歌)

【第ニ壁】

13.Theme of the Linked Horizon

(MC)

14.風の行方[Vocalized Version]

15.美しきもの

(MC)

16.花が散る世界[Vocalized Version]

17.キミが生まれてくる世界

(MC)

18.虚ろな月の下で[Vocalized Version]

19.戦いの果てに[Long Version]

(MC)

20.エルの肖像

21.凱旋の【Linked Horizon ARENA】

(MC)

22.青春は花火のように(TVアニメ『進撃!巨人中学校』オープニング主題歌)

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