西沢幸奏×ラーメン!? 「LOVE MEN HOLIC」の歌詞に隠された女の子の心情とは?

TVアニメ「ラーメン大好き小泉さん」のエンディングテーマ「LOVE MEN HOLIC」を歌っている西沢幸奏(しえな)。彼女自身が作詞を担当した軽快なポップロックで、本人にとっても大好きな曲調だという。作品にちなんで、歌詞にはいろいろなラーメン・ワードが盛りこまれているのだが、この曲の別の一面は恋愛ソング。しかも、「恋愛中毒」がテーマになっている。自分とは違う女の子になりきって、歌詞を書いたという西沢。その内容を詳しく語ってもらった!


「LOVE MEN HOLIC」は、肉食系の女の子の歌です


──「ラーメン大好き小泉さん」とのタイアップは、どのように決まったのでしょうか?

西沢 監督や音楽プロデューサーさんなど、スタッフさんで話し合いを進める中で有難いことにお声掛け頂きました。セトウケンジ監督はTVアニメ「学戦都市アスタリスク」でオープニングテーマを歌わせていただいたご縁もありましたので、とてもうれしかったです。西沢幸奏とラーメンって意外な組み合わせで、どんな曲ができあがっていくんだろうと、ワクワクしました。

──楽曲制作にあたって、セトウ監督から何か要望はありましたか?

西沢 「ラブソングになると、いいと思うんです」とおっしゃっていました。私の1stアルバム「Break Your Fate」も聴いてくださっていて、4曲目の「Goodbye Graffiti」みたいな曲をイメージしていると伺いました。

──「Goodbye Graffiti」はアルバムの中でも爽やかなナンバーでしたが、「LOVE MEN HOLIC」も軽快な楽曲になりましたね。

西沢 作曲は、私の曲をいくつも書いてくださっているWEST GROUNDさんですが、今までに歌ったことがないタイプの曲調で、最初に聴いた時、「この曲を私が歌っていいんだ」とうれしくなりました。私の曲の中で、一番明るくてポップな曲になったと思います。

──作詞は、西沢さんご自身です。どんなコンセプトで書いていきましたか?

西沢 ディレクターさんや周りのスタッフさんたちと話し合って、思いっきりラーメンの歌にしてみようということになって、その中に、セトウ監督のおっしゃっていたラブソングの要素を混ぜていきました。「LOVE MEN HOLIC」というタイトルにもそれが現れているんですけど、MENを「麺」と「メンズ」の両方にかけているんです。歌詞も、ラーメンのことを歌っているようでいて、恋愛のことにも聞こえるようなダブルミーニングを意識しました。

──ラーメン用語は、わかりやすくどっさり入っていますよね。

西沢 どっさりです(笑)。「ラーメン大好き小泉さん」の原作漫画を読んで、中に出てくる言葉を書き出していきました。そのまま使っても面白くないので、「醤油」を「Show You」に、「麺」を「面」に変えたりして遊びを入れていきました。

──「塩対応」という言葉も入っていて、ラーメン用語を巧みに恋愛的なワードに転換しているなあと思いました。

西沢 「塩対応」みたいな今ドキの言葉って、今まで自分で作詞する時は使わないようにしていたんです。「やっぱり10代の若い子が書いた歌詞だな」って簡単に思われたくなかったので。でも、最近はかっこいい歌詞を書かなければという気負いがなくなってきて、今回、思い切って使ってみることにしました。

──経験を重ねてきての、心境の変化ということですか?

西沢 そうだと思います。特に2017年は濃かったので。アルバムもリリースできましたし、初めての全国ツアーもやらせていただいて。でも、個人的には20歳になったというのが、一番大きかったのかなと思うんです。大人として、もっと自分に責任を持ってやらなきゃと思うと、逆に自由度が高くなったような気がして。アルバム制作やツアーを乗り越えたことが自信になって、気持ちが楽になりました。

──作詞する機会も多かったので、言葉を綴ることにも慣れてきたのではないですか?

西沢 慣れてきたかどうかはわかりませんが、思ったことを文字にすることに抵抗がなくなりました。今回の歌詞は、深く考え過ぎずに、瞬発的に面白いと思ったことをそのまま書いたんです。ラーメン要素が入っていながら、西沢幸奏らしいロックの歌詞になったと思います。

──ラブソングでもある、ということが効いているんだと思います。サビに入ると、さらにラブソングらしくなっていきますよね。

西沢 そう感じていただけたのなら、うれしいです。私がずっと気にしながら書いていたのは、「HOLIC」をどう表現するか、ということでした。恋愛中毒の歌でもあるのだから、ひとりの男の子が好きというより、恋愛することそのものに夢中になっている女の子を主人公にしたいなと。恋愛したい気持ちが止められない子をイメージして、書いていきました。

──つまり肉食系の女子ですね。

西沢 肉食系ですね(笑)。2番の歌詞に「I‘m crazy about you & I‘m addicted to him」という英語の部分があるんですけど、「私はあなたに夢中、そして彼にも夢中なの」という意味なんです。1番の歌詞の「十人十色100通りよりどりみどりさ」も、いろいろな男の子に目移りしている感じを表現しています。

──となると、「替え玉もまた一興」も、意味深ですね。

西沢 そうなんです。ラーメンの替え玉にかけて、「一人の男の子にフラれたとしても、別の子がいるからいいの」と。

──ラーメン的な歌詞が、どんどん恋愛にひっくり返っていく感じがします。「スパイス効いたスープに溺れていたいだけ」というのは?

西沢 恋愛の刺激に浸っていたい、ということですね。この女の子が求めているのは、彼と結ばれることでなく、スパイスの効いた日常なんです。明るい曲調で、実はすごいことを歌っています(笑)。架空の誰かになりきって、歌詞を書いていくのは楽しかったですね。

──西沢さん自身でも、小泉さんでもない、この曲の主人公ですね。

西沢 はい。でも、何かに貪欲であるということに関しては、小泉さんと共通していると思います。それから、悠に対して塩対応のところとか(笑)。

──たしかに、いつも塩対応ですよね(笑)。

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