限界を超えていく流星のようなステージ！　「Luce Twinkle Wink☆ 1st LIVE TOUR -LLTW☆- ～t＊u＊n＊i＊n＊g～」神奈川公演レポート

アイドルとアニソンの架け橋を目指すアイドルユニット「Luce Twinkle Wink☆」（以下、ルーチェ）初のライブツアー“Luce Twinkle Wink☆ 1st LIVE TOUR -LLTW☆- ～t＊u＊n＊i＊n＊g～”神奈川公演が、2018年1月20日、川崎CLUB CITTA’で開催された。

超満員の観客が待ちわびる中、逆光に包まれる5人のシルエットがステージに登場。オープニングナンバーはTVアニメ「ゲーマーズ」ED曲の「Fight on!」だ。印象的なネコパンチの振り付けや、くっくっくっとメリハリの効いた動きがいつも以上に小気味いい。落ちサビで想いのこもったソロを響かせた宇佐美幸乃さんは、この日が20歳になって迎えた最初のライブだ。

続いて「大スキ、スキ、大スキ、スキ、、、、、」「go to Romance>>>>>」「Precious☆Summer」「Treasure」と挨拶代わりの5曲をノンストップで駆け抜けた5人。「Precious☆Summer」は「ぴょんぴょん」「ふにゅ～」などのかわいいかけ声や、わちゃわちゃした感じも魅力的だが、個性豊かなダンスソロを落ち着いてみるとおそろしい運動量。CLUB CITTA’の高いステージだと、足回りの動きの激しさとキレのよさがよくわかる。「Treasure」は元々動きで伝える表現力の印象が強かったが、この日はあまりにダンスのキレがよすぎて別の振り付けに見えたほどだ。

ノンストップで駆け抜ける全力ライブ!!

宇佐美さんが誕生日を迎えたことや、錦織めぐみさん、深沢紗希さんがご当地神奈川出身であることを紹介するMCもそこそこに次の楽曲へ。この運動量の楽曲を5曲続けて歌って踊るのは一度でもすごいことだと思うのだが、どうやら今回は5曲をワンブロックとしてフルライブを組み立てているようだ、と気づいた時は戦慄してしまった。しかも続くブロックはいきなり最強タオル曲の「You are a star!」からスタート。ステージ側の全力すぎるジャンプと、客席がサビで巻き起こすタオルの旋風はお互いの全力を要求しあっているようなテンションだ。「少女たちの微熱」では宇佐美さんに深沢さんと錦織さんが寄り添ってなまめかしい雰囲気を作り、板山紗織さんの「ねぇ、どうしよう…」は泣き出しそうに見えるほど情感豊かだ。色とりどりの表現を見せたブロックのラストは、PVで見せるキュートなルーチェらしさそのものの「1st Love Story」で締めくくられた。

そして今回のツアーならではだったのが、アニソンカバーコーナーだ。一般的にアニソンカバーといえばショートメドレーが定番だが、ルーチェはここでもフルサイズで歌って踊りきる。逆説的にルーチェらしさを感じたのが「ふ・れ・ん・ど・し・た・い」で、スタンダードでシンプルな振り付けだからこそ、動きのキレが際立って見える。原曲の出演声優による歌唱のイメージが強い楽曲で、オリジナルな色を違和感なく出しているのはルーチェ5人の声質という天性の武器があればこそだろう。この曲の振り付けは桧垣果穂さんの担当だったが、間奏で板山さんと桧垣さんが、ほかの3人が演じるゾンビを射殺（？）する「がっこうぐらし！」リスペクトの振り付けには笑ってしまった。

深沢さん、板山さん、宇佐美さんによる「GAMERS!」はダンスを前面に出して勝負する表現だったが、新鮮だったのが錦織さんと桧垣さんの「God knows…」で、こちらは一転ボーカル勝負！　錦織さんの低音やハモリが印象的で、向かい合ってお互いの歌声をぶつけあうような表現が新しかった。錦織さんは「ライブテーマがt＊u＊n＊i＊n＊gだから、ハモリのチューニングを奏でてみた」とちょっと自慢げに明かしていた。

そしてアニソンカバー後半は、Wake Up, Girls!の「16歳のアガペー」、ミルキィホームズの「正解はひとつ!じゃない!!」と、人気声優ユニットの楽曲をカバー！　個人的に、どちらも何度となくオリジナルのステージを見た楽曲だけに、ルーチェのダンスという唯一無二の武器で違う表現に仕上がるのはとても興味深い。自分たちで曲を選び、振り付けもする。「つくルーチェ」ならではのカバーコーナーだった。

ウィンカーとともに作り上げたライブ！

「ラブ×タイムソルジャー～未来と君を行き交う戦士～」と「Password」は、世界観を共有する楽曲だ。メッセージ性のある振り付けと、エモーショナルな歌声の両方を駆使して強烈な感情を描き出していく。錦織さんのラップや硬質な表現が印象的な「Let me cry」といい、やはりメンバー作詞曲はパフォーマンスから伝わってくる想いの情報量がとても大きい。

満を持しての新曲「Twinkle "5" stars!!」のテーマは“夢へのもがき”。錦織さんの“絶唱”と表現したくなる、うねるようなソロから、5人の歌声が有機的にからみ合っていく感じがとても印象的。歌い終えた錦織さんの「ルーチェと一緒に強くなりたい」、最高の笑顔の深沢さんの「笑顔のこうかんこをしましょう」、板山さんの「ルーチェをとったら（自分には）なんにもなくなっちゃうと思ってたけど、今はルーチェがあれば十分です」といった言葉のひとつひとつからも、新曲とこのライブに込めた想いが伝わってきた。

ユニットとして伝えたいことや想いがしっかりあるからか、続く「ヒカリ」で夢に向かって立ち上がるような宇佐美さんの姿からも、「Twinkle "5" stars!!」に通じるものを感じる。キレの中にやわらかさとしなやかさがある強くやさしいダンスだった。

今回不思議なぐらい印象に残ったのが、「meteor bell」での、自分の左腕の上を、（右腕の）人差し指と中指で作った指人形が歩いていくようなちょっと面白い振り付け。2本の足でしっかりと歩んでいくと、最後グンっと勢いを増して流星になって突き抜ける。その姿が、これからまさに重ねてきた努力を実らせようとしているルーチェの5人そのものであるように思えたのだった。

続いて「ポラリス」。「そっと息を吸い込み瞳を開けばそこには無数のSTAR SHINY STAR」という歌詞は、深沢さんと桧垣さんが「Animelo Summer Live2017」で見た景色からインスピレーションを得て作ったものだが、会場にはその言葉につむがれたイメージ通りの世界が広がる。パフォーマンスでは深沢さんの刹那的なまでの、全力以上の全力さが強く印象に残った。メンバーと肩を組んで歌い上げる宇佐美さんの瞳に涙のかけらが光っていた。

そして本編ラスト、メジャーデビュー曲である「恋色♡思考回路」まで5人は全力で駆け抜けるのだった。

全部出しつくした！始まりの曲で初ツアーはフィニッシュ!!

そしてアンコールは「Luce Luce Twinkle Wink☆」と「刹那ハレーション」。ルーチェの原点とも言える楽曲だからこそ、成長した今のルーチェの現在地をしっかりと感じることができた。

特に「Luce Luce Twinkle Wink☆」では、客席がメンバーカラーの5色の光に染まるというサプライズが。ウィンカー（ルーチェファン）たちによる心憎いサプライズにメンバーも感激しており、ウィンカーも一緒に作るルーチェライブならではの光景だった。

ここで驚いたのは、MCで深沢さんが冗談交じりに「もう踊りたくない」と笑っていたことや、桧垣さんが足がつったと明かしていたこと。超人的なパフォーマンスを当たり前のようにやりきって見せるライブも、実は限界ぎりぎりの全力以上のラインを駆け抜けているからこそ成立していることが伝わってくる。日ごろ涼しい顔で限界を超えてみせる彼女たちがふと見せた、当たり前の人間味が印象的だった。