アニメーター・本村晃一 ロングインタビュー!(アニメ・ゲームの“中の人” 第22回)
アニメは1日にして成らず。アニメは、クリエイターたちの卓抜した技量と弛まぬ努力の結晶なのだ。「アニメ・ゲームの“中の人”」第22回は、Webメディアでは初のインタビューとなる、アニメーターの本村晃一さん。本村さんと言えば、「天元突破グレンラガン」、「とらドラ!」、「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」、「僕は友達が少ない」、「夏色キセキ」、「とある科学の超電磁砲S」、「鬼灯の冷徹」、「終わりのセラフ」、「ローリング☆ガールズ」、「ブレンド・S」といった名作アニメの作画監督として広く知られている。また、「よつのは」ではキャラクターデザイン、「はなまる幼稚園」では総作画監督を務め、ファンの間で話題となった。当記事では影響を受けた作品、仕事のこだわり、経歴、アニメーターに必要な資質能力、今後の挑戦などについて、本村さんにじっくりと語っていただいた。
自分の画が動く感動が忘れられない
─このたびは「アキバ総研」インタビューに応じてくださり、まことにありがとうございます。まずは、本村さんがアニメーターとしてやりがいを感じるのは、どういった時でしょうか?
本村晃一(以下、本村) 駆け出しのころに自分の画が動いているのを見て感動しまして、その時の気持ちが、今も忘れられないんです。
─影響を受けた作品は?
本村 ちゃんとアニメを見始めたのは大学生になってからなんですが、「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」(1996~98)の中嶋敦子さんの作監回(第31話)が、すごくきれいな作画だったんです。チャンバラのシーンとか。その辺りから、アニメをきちんと録画して観るようになりました。
あとは、大学の漫画研究会で先輩に観せてもらった「天地無用! 魎皇鬼」(1992~94)です。最初のOVAシリーズなんですが、その時は自分がアニメーターになるとは考えてなくて、純粋なファンとしてハマっていました。
ゲームだと、ちょうど格闘ブームだったので、「ストリートファイター」なんかをよくやっていました。筋肉の描き方とかは、「ストリートファイター」の影響が大きいですね。
─大学時代は漫研だったのですね。
本村 大学は美術系で、授業で油絵を描いていたんです。授業で油絵を描いているから美術部は避けたいなと思い、軽い気持ちで漫研に入ったら、「究極超人あ~る」のような濃いキャラの人たちがいっぱいいて(笑)。初めてコミケに連れていかれたりして、オタクの道に入っていきました。
それまでの自分の絵はイラストでも結構写実的な、リアル系の絵だったんですけど、漫研の先輩たちの影響で、漫画チックな絵も描くようになりました。それまで絵描き仲間もいなかったので、人から影響されるのも、初めての経験でした。
かわいい系や日常芝居が得意
─お得意な作画やジャンルは?
本村 絵柄的にはかわいい系が描いていて楽しいです。ジャンルはどちらかというと、日常芝居が得意です。「GAD GUARD」(2003)でお世話になった錦織博監督がある日、別作品の日常芝居のカットを、「日常芝居なら本村だろう」と回してきてくれたのは、うれしかったですね。
─かわいい系と言えば、「夏色キセキ」(2012)、「ローリング☆ガールズ」(2015)、「ブレンド・S」(2017)などで作画監督をされています。こういった作品は登場する女性キャラも多く、描き分けが大変なのでは?
本村 キャラを描き分けたうえで、それぞれの性格を考えてお芝居も考えないといけないので、頭がパンクします(笑)。アニメーターの自分が役者だとすると、1人何役もやらないといけないわけです。楽しいですけど、大変ですよ。一時期は舞台演劇の勉強もしていました。
─「NEW GAME!」(2016)では、オープニングに原画で参加されています。
本村 動画工房さんは作品もスタッフも好きなので、お呼びがかかったら、「すぐ行きます!」といった感じです(笑)。
─かわいい系以外の作品の場合、どういったカットを担当されるのでしょうか? たとえば、「鬼灯の冷徹」(2014)はいかがでしょうか?
本村 「鬼灯」4話のBパート、ウサギの芥子のパラパラ漫画なんかは、自分が作監をしました。
─「空の境界」(2007~10)ではどういった原画を?
本村 第6章だと、着物を着て日本刀を振り回すカットとかですね。着物を着ているから、振袖がゆれて大変だった記憶があります。実際、自分で模造刀を買って、振り回しながらやっていました。小さいころ剣道部にいたので、剣を使ったアクションは好きですね。
─お仕事で必ず守るルールみたいなものはありますか?
本村 原画でも作監でもそうなんですけど、前後のつながりは絶対大事にします。業界用語で「合わせ」と言うんですが、前のカットにあったものが次のカットになかったり、前のカットのキャラのお芝居が、次のカットだとつながってなかったり、そういう視聴者が観ていて不自然に思うところは、なくすようにしています。富野由悠季監督の「映像の原則」でも指摘されているので、アニメーターはこの本を読むべきだと思います。
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