牧野由依、最新ミニアルバム「WILL」は、「元気になったよ」というメッセージ

昨年2017年7月のライブで声帯を痛めた牧野由依。かすれた声でも気丈に歌い続ける、あの日の姿は、その場にいたすべての人々に強烈な印象を残した。それから半年、治療に専念していた彼女が、いよいよ復帰第1作をリリースする。それが7曲入りのミニアルバム「WILL」だ。
自身のアイデンティティである「声」をフィーチャーした作品で、1曲目はア・カペラという攻めた内容。タイトルの「WILL」には、「困難を乗り越える強さ、内面からあふれる静かなエネルギー、強い意志」という思いがこめられているという。
金髪になり、ルックスもイメージチェンジした牧野由依に話を聞いた。


「自分をさらけ出す」という思いをこめて、金髪になりました(笑)


──いきなりの金髪にびっくりしました。

牧野 遅れてきた反抗期みたいですよね(笑)。きっかけは、「意思の強さ」「自分をさらけ出す」という今回のミニアルバムのコンセプトでした。それに合わせて、ジャケット写真は顔のアップにして、あたかも裸で撮られているような、素の私が写っているものにしようという話になり、だったら、髪色を明るくしたほうがいいんじゃないかという意見が、スタッフさんから出たんです。ちょうど「バンビ」をテーマにした写真集の撮影も決まっていたので、じゃあ一気に金色にしてしまおうと。

──写真集「Bambi」も、ミニアルバム「WILL」のジャケット写真を撮ったフォトグラファー・四方あゆみさんの撮影なんですよね?

牧野 はい。写真集のほうでは、金髪にバンビの耳を付けたりもしています(笑)。金髪にしたことで、私の気持ちも明るくなった気がするんですよね。声優の現場ではどうしても浮いてしまって、共演者の方々から「どうしたの?」と言われたこともありましたが、「いい色だね」「似合う」という反応もたくさんいただけたので、ホッとしました。

──今の髪色は、ジャケット写真よりは落ち着いた色になっているような気がします。

牧野 撮影の時はベージュアッシュを入れていたんですけど、今はグレーとピンクが入っていて、世の中に溶け込むレベルになりました。さすがにあのままだと日常生活が送りづらいので、落ち着かせることにしたんです(笑)。

──「意思の強さ」「自分をさらけ出す」が今作のコンセプトだとおっしゃいましたが、牧野さんにとって、「WILL」はどんな1枚になりましたか?

牧野 それを語るうえで外せないのは、去年の夏のライブで喉を壊してしまったという出来事です。普段、人には見せたくない弱い部分、かっこ悪い部分を見せざるを得ない状況になってしまって、ズタボロになりながらなんとか完走したライブでした。

──喉を壊したというのは、去年の7月15日・16日におこなわれたライブ「Reset&Happiness」の2日目ですね。ちょうど、我々アキバ総研も会場にいましたが、ステージ上の牧野さんは苦しそうで、大変なことが起こっていると思っていました。

牧野 すみませんでした、せっかく見に来てくださったのに(笑)。

──いえいえ、逆にバンドやスタッフさんのサポートやファンのみなさんの声援を受けて、牧野さんが最後まで歌い抜いた時は感動しました。あの時の思いが、「WILL」の始まりだったんですね。

牧野 はい。ライブの後は、ものすごく落ち込みました。実は、ライブを終えたらアルバムの準備に入る予定だったんですが、それも白紙に戻さざるを得なくなって。喉の治療がある程度進んだときに、ファンのみなさんに「元気になったよ」とお伝えするためにも、何か作品を作りたかったんです。それが今回のミニアルバムで、また前に進んでいく意思を取り戻したことを知っていただきたいと思って、内面から出る強さをシンプルに表す「WILL」をタイトルに選びました。

──未来を見つめているというのが伝わってくるタイトルだと思います。

牧野 まずは喉を治さなければ、何も次のことを考えられないという状態で、自分が生きていくためにも、一時期は治療に専念していました。おかげさまで快方に向かって、気持ちも前に進ませられるようになりました。

──「WILL」は全7曲入りで、そのうちの3曲が新曲です。

牧野 既存曲4曲のうち3曲も、新しいバージョンでレコーディングしたりリミックスを加えて進化させたものになっています。喉のことがあった直後の作品なので、寄せ集めのようなアルバムにはしたくないと思って。唯一、「ウイークエンド・ランデヴー」だけはオリジナルのまま収録していますが、それは原曲のよさを生かしたいというポジティブな理由からなんです。

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