「人を殺したい」感情を理解するためにやったこととは!? ハードな世界観が魅力の「魔法少女サイト」メインキャスト座談会!
魔法少女たちによるハードなドラマが魅力の春アニメ「魔法少女サイト」の放送が、4月6日よりMBS/TBS/BS-TBS“アニメイズム”枠 他にてスタートする。これを記念して、メインキャスト5名の座談会を開催!
朝霧彩役の大野柚布子さん、奴村露乃役の茜屋日海夏さん、潮井梨ナ役の鈴木愛奈さん、穴沢虹海役の芹澤優さん、雫芽さりな役の山崎はるかさんら、さまざまな悩みや思いを抱えるキャラを演じるキャストたちが、作品の印象からアフレコ現場の裏話までを語ってくれた。
最初はダークな印象だった原作
――まずはじめに、みなさんが演じられるキャラについて教えてください。
大野柚布子(以下、大野) 朝霧彩役の大野柚布子です。彩ちゃんは学校でもいじめられて、家でもお兄ちゃんからサンドバッグにされたりといった、すごい不幸な女の子です。
一同 サンドバック……やばい(笑)。
大野 彼女はいじめられても仕返しをしようとは思わない、やさしいといえばやさしいんですけど……ちょっと弱い部分がある子なんです。
茜屋日海夏(以下、茜屋) 奴村露乃役の茜屋日海夏です。露乃ちゃんは昔、ある事件ですごく深い傷を負っていて、顔には出ないけど心の奥底でずっとその憎しみを抱き続けている子です。彩と接するのも、最初は自分のメリットになるからだったんですけど、だんだん彩のいいところが見えてきて心を開いていきます。多分、物語の中で一番成長するというか、変わっていく子なんじゃないかなって思います。
鈴木愛奈(以下、鈴木) 潮井梨ナ役の鈴木愛奈です。梨ナちゃんはもともとすごくコンプレックスを持っていて、前にガツガツ出る子ではありません。でも、魔法のステッキで外見を変えてから、気持ちや表情も明るくなってきて、天真爛漫な女の子になっています。ちょっと元気になり過ぎではあるんですけど(笑)。
芹澤優(以下、芹澤) 穴沢虹海役の芹澤優です。虹海ちゃんこと“にじみん”は「いぬあそび。」っていう国民的アイドルグループのメンバーで、すごく人懐っこくていつもニコニコしていて、本当にわんちゃんみたいな女の子なんです。最初は、親友を殺されたということで彩や露乃とからむようになってきます。にじみんにもダークな部分はあるんですけど、ほかのみんなのダークな部分が強い中で、基本的には不幸な部分を表に出さない明るく元気な女の子です!
山崎はるか(以下、山崎) 雫芽さりな役の山崎はるかです。さりなは彩をいじめていたんですが、彩のせいで自分の友達が死んでしまったのではないかと疑って、すごく怒ってるんです。もともとウジウジした奴が嫌いな性格なので、序盤だと彩に怒鳴ってばっかりですね(苦笑)。一応、芯の通った不良という感じです。
――最初に「魔法少女サイト」の原作を読んだ時はどういった印象を受けましたか?
大野 私はオーディションに向けて原作を読んだので、最初から彩の目線で読んだんです。彩がいじめられるシーンから始まるから、もうすごく悲しくて……。
一同 悲しいよねぇ。
大野 それでも話が進んでいくごとに、だんだんと彩が強くなっていって、応援したくなる感じがあるんです。だから、止まることなく最後まで読み進めていった覚えがあります。話の展開はダークな部分もあるんですけど、その奥にある友情とかが素敵だなって思いました。
山崎 私、最初は彩と露乃でオーディションを受けて、後日「さりな役のオーディションも受けてください」って言っていただいたんです。だから、原作は彩と露乃の目線で読んでいたので、「さりなはひどい奴だなぁ」って思ってました。なので、さりなのオーディションは難しかったですね。
鈴木 私も最初は彩ちゃんと露乃ちゃん、にじみんの3キャラを受けさせていただいたんですけど、オーディションのときに急きょ「梨ナちゃんをやってみてください」って言っていただいたんですよ。
梨ナはハジけていたり豹変してダークになったりと、二重人格的なところがあって、お芝居のプラン的にも感情的な部分でも表現がすごく難しかったです。見ているみなさんに恐怖を感じていただけるにはどうやって演じたらいいか、ということはいろいろ悩んで考えました。
――「魔法少女サイト」はぶっ飛んだキャラクターも多いので、お芝居は難しそうですよね。にじみんも初登場時はすごいインパクトで……。
芹澤 「殺したい……殺したい……」って、登場しますからね(笑)。でも、私の中で、にじみんの病んだ状態、本人いわく“毒リンゴな状態”を演じるのは、意外と難しくは感じなかったんです。アイドルをやってる時にまったくダークな部分を出さない分、憎しみとかが爆発した時にすごいことになる、っていうのは「わかるな〜」って思って。あ、「わかる」って言っても、別に私が憎しみを溜めてるとかじゃないですよ(笑)。
私は原作を読んで、にじみんは作品の中のひとつの華、かなって思いました。……だって、彩は“暗い”、梨ナは“性格がひどい”、露乃は“怖い”、さりなは“すごい怖い”って感じなので(笑)。にじみんは作品をふわっと明るくできたらいいなって、思いながら演じています。
山崎 わかる。ほかはみんな、トーン低めにしゃべってるもんね(笑)。
茜屋 私の場合は普段思い切り感情を出す役が多くて、露乃のように感情を抑えるタイプの役は珍しいんです。実際に演技プランを立ててみたら、演技としてはそんなに難しいこともなかったんですけど、2話で露乃がずっと世界観の説明をするシーンがあって。ただ淡々と話していても聞いている人の耳に入ってこなかったりするので、そこは演出的にも難しかったです。大野さんが時々アドリブを入れてくれて、ちょっとアクセントを効かせたりしながら演じてました。
ほかにも、中盤で彩に自分の過去の話を打ち明けるシーンがあるんですけど、そこに至るまで、どれくらいの間合いで彩との距離を詰めていくか、というのはすごく考えてやってました。
「人を殺したい」感情を理解をするために……
――「魔法少女サイト」では、不幸な少女が魔法少女サイトと出会うという設定です。みなさんがこれまでに経験した中で、「魔法少女サイト」に出会えそうな不幸なことはありますか?
一同 え〜?
茜屋 原作を読んだ後だと、「自分の辛さなんてたいしたことない」って思っちゃうよね。
芹澤 でも、中学時代とかは孤独な時期ってありますよね。
鈴木 ありますね〜。
芹澤 教室でひとり……とかはありますけど、彩ちゃんみたいにトレイにバーンって叩きつけられるとかはない(笑)。本当にそこまで不幸だったら、迷わず魔法のステッキを使っちゃうかもしれないけど……。そんなに誰かをやっつけたい、みたいな気持ちはなったことがないですよね。
――そういった意味で、キャラクターの気持ちを理解して演じるのは難しかったのでは?
芹澤 私は「人を殺したい」っていう感情がよくわからなくて。
山崎 それはそうだよね(笑)。
芹澤 だから、女の子が女の子を殺害した事例を、海外のニュースとかでめっちゃ調べました。本人の体験談とかも。
茜屋 私も同じことしてた! 「家族がひどい目にあった時、どんな気持ちになるんだろう」って思って、調べてみたり。
鈴木 梨ナちゃんは外見を変えてコンプレックスを克服した子で、私自身含めて、やっぱりみんなどこかひとつくらいはコンプレックスを持っていると思うので、そういった部分でも共感はできました。
大野 私も彩ちゃんほどではないですけど、小学校の頃にはどこの学校でもあるようないじめがあって……。だから、原作の1巻を読んだ時も「なんかわかるな」って思った部分はあります。だから、そういった昔の自分の記憶を思い出して、ナチュラルに彩ちゃんの気持ちがわかるので、すごく自然に演じられました。
芹澤 そういえば、さっき楽屋でおかきの匂いがしたから「誰か、おかき食べた〜?」って軽いノリで聞いたら、大野ちゃんが「私です! ごめんなさい!」って素で謝られちゃって。いやいや、そんな全然怒ってるとかじゃないよ!って(笑)。
大野 私も彩ちゃんみたいに、ネガティブに考えちゃう部分があるんですよ。つい反射的に「ごめんなさい」って謝っちゃって。だから、私は彩ちゃんの気持ちがわかるのかもしれないです。
鈴木 かわいいし、健気……。大野ちゃんは彩ちゃんにピッタリだよね。
茜屋 心やさしい……。本当に守ってあげたい〜。
山崎 でも、彩ちゃんみたいな子はクラスにいましたよね。私はなんでも面倒くさいって思っちゃうんで、多分彩ちゃんともさりなとも関わりたくないって思っちゃうかな……。クラスの少女Aみたいに「え〜、ダル〜い」とか言ってるようなタイプ(笑)。
――マンガとして誇張はされながらも、「魔法少女サイト」にはある種のリアリティを感じたり?
芹澤 一番最初に出てくる不幸の例が“いじめ”ですけど、今の時代、誰でも経験があったり、共感する部分はあるんじゃないかなぁ。
山崎 いじめる側もいじめられる側も、どっちもどこかで一度は見たことありそう。それを見ているだけのクラスのAさんかもしれないし……。
アフレコ現場は、逆に和気あいあい!!
――それでは、アニメで「ここを見てもらいたい」といった見どころを教えてください。
芹澤 私がすっごい好きなシーンは、彩ちゃんが初めてさりなに泣きながら叫んで言い返すシーンです。めっちゃよかった!!
茜屋 よかったよねぇ〜。私、大野ちゃんに「あそこの彩ちゃん、めっちゃ好き」って言ったもん。
大野 嬉しかったです! 原作を読んでいても「言い返せ! 彩!!」みたいに思っていたので、私もすごい好きなシーンです。
あと、私的には彩が露乃と出会って、そうやって言い返すようになる過程というか、徐々に変わっていく姿を見ていただけたらいいな、って思います。
山崎 それと、梨ナの「死んでもらいま〜す」がいい! オーディションの資料を見た時に、「このセリフは難しいだろうな」って漠然と思ってたんですよね。私は梨ナ役を受けてないんですけど、そのセリフが印象に残っていて。だから、実際に聞いた時には「すごい!」って思いました。
鈴木 おっぱいをボインボイン揺らしながら登場して、いきなり「死んでもらいま〜す」って言うんです(笑)。
茜屋 その時の梨ナの顔、ヤバいよね(笑)。
山崎 作品の中でも、初めて人を殺す気で登場したキャラなので、すごい印象が強いんですよ。
――アクの強いキャラが多いですよね。
茜屋 私は彩のお兄ちゃん(朝霧要)を見てほしいです! スゴすぎて、お兄ちゃん担当の次回予告も、私ずっと収録ブースで聞いてますもん(笑)。
大野 怖すぎて、現場では1周回って「お兄ちゃんは癒やし」ってなってます(笑)。あの怖さを待ってる自分がいて……。
――現場の雰囲気はいかがですか?
芹澤 めっちゃ面白いですよ! 内容が暗いので、音響監督さんが「今日も楽しくいきましょー!」って言ってくれたりします。私、1話の収録は見学させて頂いていたんですけど、ガンガンにイジメられちゃってて(笑)。
鈴木 えっ!(驚愕)
芹澤 あ、作品の中での彩ちゃんが、だよ? 「もう1回、録り直し!」とかってイジメられてるわけじゃないよ!!
鈴木 「本当に!?」ってビックリしちゃった(笑)。
山崎 ヤバい、ヤバい(笑)。
大野 全然そんなことなかったです(笑)。
山崎 休憩中はみんな明るいっていうか、楽しくやってるよね。
(サイト管理人・漆役の)中尾隆聖さんが、「ステッキはほかにもあるの?」とか「サイト管理人は僕以外にもいるのかなぁ?」って、いろいろお話をしてくださったり。
芹澤 「僕は漆(7)だから、1じゃないんだ〜」ってね。
大野 「1がよかったなぁ〜」って言ってましたよね(笑)。
鈴木 なので、現場はすごい楽しいです!
茜屋 ガヤとかも肯定的なことを言わないんですよ。1話の猫が死ぬシーンでも「かわいそう」とか言っちゃダメ、とか。その分、休憩時間はめっちゃ明るくなります。
山崎 1話は彩の味方を作りたくない、って感じでモブがみんなヒドかった。「こんな人たちばっかりの街、ヤバくない?」って。
茜屋 もうこの街、ヤバいってなるよね(笑)。
大野 あんな世界だったら、彩も死にたくなっちゃうな……って思います。
――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
山崎 「魔法少女サイト」では、多分予想以上のことが起こっていると思います。彩はとことんいじめられてるし、露乃はとことん冷たいけど徐々に温かくなっていって、にじみんはとことんかわいくて……。声がついて動くと、こんなに迫力があるんだ! と思ってもらえるはずです。ぜひ、アニメを楽しみに見てください!
あと、さりなについては、序盤で嫌いにならないでください(笑)。
芹澤 彩ちゃんがいじめられている状況からこの作品はスタートするんですが、それって触れたくはないけど絶対誰しも経験したことがあるような、意外と身近な題材のような気がするんです。そんな冷たい世界から、彩が成長していく中でみんなの心の温度も上がっていく。そんな世界観をみなさんに感じていただけたらな、と。彩の成長を見て、「自分の毎日がつまんねえな」って思ってる人も「がんばろう」って勇気が湧く作品になっていくと思います。
それと、にじみんとしては、パッと花を咲かせるような存在でいたいです。だから、みんなに好きになってもらえたら嬉しいですね。
あ、あと、にじみん的にはガチファンの直戸圭介くんも見どころです! 安里勇哉さんのお芝居がすごく生の人間っぽくて、いい味出てるんですよ。そちらにも注目してください!
鈴木 アニメの「魔法少女サイト」は原作にすごく忠実な部分も多いですし、オリジナリティあふれる部分もたくさんあるので、原作から読まれてた方も、アニメから知るっていう方も、どちらも楽しめると思います。
梨ナちゃんは見た目がかわいくなっても口の悪い部分があるんですけど、いい子はいい子なんで! そういった見た目と怖さとのギャップも楽しんでいただきたいです。まずは、「死んでもらいま〜す」でみなさんにおびえていただけたらうれしいですね(笑)。
茜屋 昨今、魔法少女ものって結構あると思うんです。その中でも、「魔法少女サイト」はより人間味あふれるというか、共感できるところもすごい多いと思います。作品の芯の部分は友情とか人間的な部分だと思うので、ぜひそこに注目してもらいたいです。
露乃としては、周りのキャラクターがみんな振り切ってる中で、序盤は一番感情を抑えている子です。だから、露乃が心を開いていく成長過程を見てもらいたいと思います。
大野 「魔法少女サイト」は、冒頭から目を背けたくなるようなシーンが結構続くと思うんです。でも、その先には彩と露乃の友情など温かいものが描かれているので、最初で見るのをやめようとは思わないでほしいです! 回を重ねるごとに彩も成長していくので、それを見て「自分も頑張ろう」って思ってもらえたらいいな、って。
皆さんに楽しんでもらえるようがんばるので、応援よろしくお願いします!
(取材・文/須賀原みち)
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