「リズと青い鳥」、監督・山田尚子&原作者・武田綾乃登壇の特別トークイベントレポートが到着!

いよいよ来週末4月21日(土)公開のアニメ映画「リズと青い鳥」より、監督の山田尚子さんと原作者の武田綾乃さんが登壇するトークイベント付き特別試写会のオフィシャルレポートが到着した。

「リズと青い鳥」は、高校生の青春を描いた武田綾乃さんの小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」のアニメーション映画化作品。映画「聲の形」で「第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション賞」、「東京アニメアワードフェスティバル2017アニメオブザイヤー作品賞劇場映画部門グランプリ」などを受賞した京都アニメーションが、みぞれと希美、ふたりの少女の儚く美しい一瞬が描かれる。
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今回、4月11日にスペースFS汐留(東京・港区)にて開催された「リズと青い鳥」特別トークイベントのオフィシャルレポート&ゲストコメントが到着したので、ご紹介しよう。

<「リズと青い鳥」特別トークイベント オフィシャルレポート>

4月4日(水)に舞台挨拶付き完成披露上映会を実施し、多くのファンに向けてお披露目された本作ですが、この度、4月11日(水)に、監督の山田尚子と原作者の武田綾乃が登壇するトークイベント付き特別試写会を実施いたしました。アニメ監督と小説家、ふたりの女性クリエイターが、本作で描かれるような女子の心の機微について、ガールズトークを繰り広げました!

本作を鑑賞した感想を尋ねられた武田先生は、「作品自体がすごく青春のいろんな要素をぎゅっと詰め込まれていて、見終わった余韻と空気感に浸って、何度でも見たくなる作品でした」と本作の青春の余韻に感動をしたことを語ると、その感想を受けた山田監督は「武田先生が書かれる文章がすごく透明感があって、何とか映像に落とし込めるように頑張った」と照れくさそうに本作の制作への思いを語りました。

また、女性クリエイターふたりの対談ということで、クリエイターを目指す女性に向けて、夢を実現するためのアドバイスを求められると、クリエイターとして最前線をひた走るふたりは「やりたいことはあきらめることなく、掴みにいってほしいと思います(山田監督)」、「自分の努力を認めてくれた瞬間に何か感情が生まれて、その時の感情や衝動を大事にしていくことが何よりも大事なのではないかなと思います(武田先生)」と語りました。

<ゲストコメント>

Q:原作小説からみぞれと希美に焦点をあてることにしたきっかけは?

山田監督:
武田先生が書かれた新作のプロットを読ませていただいた時に、「響け!ユーフォニアム」本編の主人公のお話と並行して、みぞれと希美のふたりの話もあって、それを見た時に女の子の秘密を覗き見したような気分になりました。
なかなか口には出すことのなさそうなうらやましい思い、好きな思い、嫉妬などの感情を包み隠さず、綺麗ごとにせずにぶつけて書いてらっしゃるのに興味を持ち、こういった切り口で描くことはないのではと思い、このふたりに焦点を当てた物語を作りたいと思いました。

Q:本作で描かれる「好き」という感情の形の違いの描写について

武田先生:
みぞれと希美の関係性に向き合おうと物語を見返した時、お互いに対する「好き」の感情の中に内包されているものが別々であることに気がつきました。「好き」という言葉ひとつで作っているふたりの感情ですが、見た目は似ていても中身は別物で、ふたりのの感情の差を伝えられたらなと思いました。

Q:なぜ少女にフューチャーしたのでしょうか?

山田監督:
思春期独特の悩みや、こうありたいという願いや想いをとても美しく感じ、少女が綺麗だと思ったからです。
学生の方々にどう思っていただけるのか楽しみですし、一応物語の舞台は共学のお話なのですが、女子校っぽく見えたら最高だなと思います。

武田先生:
普段から文章を書く時にも、美しいと思うものを書きたいという欲求があって、過ぎ去るすべてのものが美しいはずが、実際にその中にいるとその美しさが見えなくなってしまいます。その見えなくなっている美しさを物語の中に詰め込みたいと思っていたのですが、私が書きたかったものや再現したかったものを、緻密に再現してくださって感動しました。

Q:みぞれ視点と希美視点で観ることで見えてくる違いについて

山田監督:
この作品を見た人が、みぞれと希美の関係性を通じて、自分自身は友達に対してどうしているのか、大切な友達と信頼関係が取れているか、ということをどう考えるのかがとても気になります。誰の心にもあるものを描いていて、綺麗なだけじゃないふたりの関係性を、自分はどちらなのかを気にしながら観ていただきたいです。

Q:映像と音でこだわったところについて

山田監督:
女の子同士の秘密を、大々的に胸を張って言えないような内に秘めた思いを、隠し撮りした映画です。
カメラを持って近づくと彼女たちは逃げてしまいそうなので、遠くからそっと見ているような、ガラス越しに見ているような感覚の作品です。ふたりの世界を作る音も、実際にある学校から音をサンプリングして作っていて、ふたりを邪魔しないように周りの空気になりきって5.1chサウンドでふたりの音を体験してほしいと思います。

Q:ふたりの感情を表すのにふさわしい言葉とは!?

山田監督:
自分の絵コンテを描き終えてふと思ったのが、この描いている感情にうまい名前がつけられないということでした。
この映画を観ていただいたみなさんに、よい言葉があれば教えてほしい なと思います。

武田先生:
私がこの作品を拝見して感じた印象は「割れる直前のシャボン玉を写真で撮ったような感じ」でした。
刹那の瞬間が永遠になるというか、ふたりの高校生活の、一定方向に流れる時間から零れ落ちる刹那のかけらを、綺麗に撮って大事にしたいと思っている写真のような感覚でした。

Q:夢を追う人々へのアドバイス

山田監督:
私は、自分は夢が叶っていると思います。映画が好きで、映像を作りたくて、アニメーションの技術に感動して、今こうしてアニメの監督をさせていただいています。そんななかで思うのが「なんとなくこうじゃないとダメだ」と決めてしまうのはもったいないと思います。自分が何かを生み出した時点で、作品はもうでき上がっていて、明るい作品でも暗い作品でも表現したいという思いがポジティブなら作品になるんです。やりたいことはあきらめることなく、掴みにいってほしいと思います。

武田先生:
まだまだ駆け出しの新人作家ですが、私の最初の創作の意欲の原点は「友人が自分の本を読んでくれたこと」で、誰かが読んでくれて「いいね!」と言ってくれて、自分の努力を認めてくれた瞬間に何か感情が生まれて、その時の感情や衝動を大事にしていくことが何よりも大事なのではないかなと思います。

Q:締めの一言挨拶

武田先生:
本日はありがとうございます。この「リズと青い鳥」という作品は、私の原作小説「響け!ユーフォニアム」シリーズの中から、美しいエッセンスを抽出して独立させた作品です。この映画を観たあとの余韻を誰かと共有したいと思っていただける映画になっています。本作を観て「いいな、素晴らしいな」と思っていただけたら、ぜひ映画館に友人やご家族と足を運んで空気感を分け合っていただきたいと思います。

山田監督:
女の子たちの成長痛というか思春期の心のブレや、表に出せない思いをフォーカスしてる作品です。みなさんの心にもあるものじゃないかなと思うので、ぜひ楽しんでいただければうれしいです。本日はどうもありがとうございました。

【作品情報】(※敬称略)
■リズと青い鳥
・公開日:2018年4月21日(土)
・劇場情報:#
・配給:松竹


<あらすじ>
あの子は青い鳥。
広い空を自由に飛びまわることがあの子にとっての幸せ。
だけど、私はひとり置いていかれるのが怖くて、あの子を鳥籠に閉じ込め、何も気づいていないふりをした。
北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美。
高校三年生、ふたりの最後のコンクール。
その自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロがあった。
「なんだかこの曲、わたしたちみたい」
屈託もなくそう言ってソロをうれしそうに吹く希美と、希美と過ごす日々に幸せを感じつつも終わりが近づくことを恐れるみぞれ。
「親友」のはずのふたり。
しかし、オーボエとフルートのソロはうまくかみ合わず、距離を感じさせるものだった。

<スタッフ>
原作:武田綾乃(宝島社文庫『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』)
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン:西屋太志
美術監督:篠原睦雄
色彩設計:石田奈央美
楽器設定:髙橋博行
撮影監督:髙尾一也
3D監督:梅津哲郎
音響監督:鶴岡陽太
音楽:牛尾憲輔
音楽制作:ランティス
音楽制作協力:洗足学園音楽大学
吹奏楽監修:大和田雅洋
アニメーション制作:京都アニメーション
製作:『響け!』製作委員会
配給:松竹


©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

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