「お前はまだグンマを知らない」第3話感想:ついに最強アイテム「上毛かるた」登場! つる舞う形のグンマ県

この4月よりスタートしたショートアニメ「お前はまだグンマを知らない」
ウェブコミック配信サイト「くらげバンチ」にて連載中のコミックが原作だが、その内容は、ネット上でやたらとディスられることの多い「グンマー」(群馬県/県民)の「あるある」を、やたらとテンション高めの大げさなアクションでデフォルメするというコメディである。


あまりにもローカルネタすぎる本作だが、何と民放局では地元の群馬テレビ(群テレ)しか放送しないという、あまりのローカルっぷりが泣ける。ただ、アニマックスやGyao!でも配信されているので、ぜひチェックいただきたい。そんな超ローカル作品のネタを、グンマー出身の筆者が、愛をもって、詳細に掘り下げ解説する。


第3話「つる舞う形のグンマ県」とは、グンマ文化を語るうえでもっとも重要と言っても過言ではない「上毛かるた」がテーマ。「上毛かるた」とは、戦後すぐの昭和22年に作られた、グンマ県の郷土に関連するさまざまな事柄をかるたに詠み込んだローカルアイテムである。ただ、これが単なるローカルアイテムに終わらないのは、上毛かるたを使ったかるた大会が毎年開催されており、全県の小学生がほぼ100%これに参加する(地区予選などを勝ち進む)という、グンマならではのならわしがあるからなのだ。

上毛かるたについて詳しくはこちらを参照いただきたい。
・群馬県公式サイト


グンマの小学生は、冬になると、各地区の子ども会などで、必ずこの上毛かるたの練習に励むことになる。各地区の子ども会の中で優秀な成績を収めた子どもが、さらに上の学校大会、地区大会、さらには県大会へと勝ち進んでいくというシステムで、この上毛かるたを使った大会は運営されており、グンマの子供にとっては冬の一大イベントとなっている。もちろん、子ども達は大会に向けて一生懸命かるたを取ろうとするので、かるたに書かれた札の内容はもちろん全て暗記が前提。いろはかるたのごとく、各読み札の最初の1音だけを聞けば、コンマ数秒でその内容をそらんじることができるように、徹底的に鍛えられている。


たとえば、いろはで言うと、こんな具合だ。

「い」・・・「伊香保温泉 日本の名湯」
「ろ」・・・「老農 船津伝次平」(←誰?)
「は」・・・「花山公園 つつじの名所」


グンマーにとって、これらの文言(歌)は、子どもの頃にしっかり頭に刻み込まれているため、歳を経てからも、大抵の文言はそらんじられる(はず)。このため、久々に会った同郷人と飲みに行ったときなどは、この上毛かるたのネタだけで盛り上がれるほどの、共通言語的な存在となっているのだ。一例をあげるなら、


A:あー、「上毛かるた」で「よ」って何だったけ?
B:お前、それは「世のちり洗う 四万温泉」だろ!
A:あーそうだ! あの絵札に裸が描いてあるやつな!
B:そうそう。あれ取るの恥ずかしかったわー!


といった具合だ。


と、思わず熱く語ってしまったが、今回のネタはこの「上毛かるた」である。グンマーを特殊なものとしている最大にして最強のアイテムと言っても過言ではないこの「上毛かるた」は、まさにグンマーなら誰でもそらんじられる共通言語。これを知らない人間は、間違いなくモグリ(他県民)である、というその感覚は、かなりリアルである。


ちなみに、タイトルにもなっている「つる舞う形のグンマ県」(正しくは「つる舞う形の群馬県」)とは、「つ」の文字に該当する読み札で、グンマ県の形状が、羽根を広げた鶴のようであることを詠ったもの。グンマ県そのものを指した読み札は、この「つる舞う形の群馬県」と、「ち」の「力あわせる 二百万」(※「二百万」の部分はその時の人口によって変化する。筆者の子ども時代は「百八十万」だった)くらいなので、ほかの札の内容は忘れても、この2つくらいはサッと言えないと、本当のグンマーとは言えない(と思う)。


というわけで、他県からのスパイ容疑をかけられ、クラスメイトにこの「上毛かるた」の文言を聞かれるという責めを受ける主人公の神月紀(CV:梶原岳人)。その最先鋒を務めるのが、本作随一のヒロインである篠岡京(CV:内田彩)だ(やっと出てきた・・・)。京に責められる神月。そこへ、ようやく友人の轟二矢(CV:笠間淳)が登場、というところで話は終わる。


何やら、次回のテーマは、グンマー必須の名物「焼きまんじゅう」のようだ。

(編集部・鎌田)

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