「ひそねとまそたん」第4話感想:一気に登場した新Dパイたちが呼ぶ、新たな波乱と伏線の数々

あっという間に30分が過ぎてしまった「ひそねとまそたん」第4話。ここまでひそねの強烈なキャラを存分見せつけてきたところで、残りのDパイ3人が一気に登場。いつものごとく軍隊の男社会的な描写が多いのだが、やたらとDパイを目の敵にする前澤真吾あたりは、何か過去がありそうな感じがする。また、柿保飛行班長もいろいろと知ってそうな、含みのあるセリフや表情が多くて、結構目で語っている印象。


トイレで女性誌「GomGom」を読んで共感力を上げようとするひそね。そこの共感テクニック実践編に書いてある「なるほどなるほど」「ありあり」「確かに確かに」「そうそう」を、ことあるごとに実践しようとするひそねが面白いし、それをうまいこと挟み込んでくる脚本が素晴らしかった。それにしても、ひそねと“セクシージャガー”こと貝崎のやり取り(コント)は回を重ねるごとに面白くなってきている。

さて合同訓練ということで岐阜基地に集合したOTFたち。F-2A、E-2C、C-1の飛行シーン、そこからドラゴンの形態になるまでの流れは映像・音楽ともに見応えたっぷりだった。


登場したパイロットたちは個性的で、公式サイトにあるプロフィールをおさらいするとこんな感じ。星野絵瑠は、エースパイロットを意識した振る舞いを好むがOTFに対する理解力が低い。絹番莉々子は冷静な頭脳派で、場や空気はすぐ読めるため状況判断能力が高い。あとは視線恐怖症。日登美真弓は、もともと動物園勤務で猛獣に好かれてるところをスカウトされてDパイになったドラゴンの言葉が理解できるパイロット。つまり、登場回でおおよその設定は回収しているのだが、思った以上に最初から飛ばしまくっていたのが絵瑠だった。TACネームはペンギンで、本人はそれをいいように解釈していたけど、飛べない鳥というようなところでしっくりくるなぁとか思いつつ、どう考えてもドラゴンに乗ってるのに、それを戦闘機と思い込もうとしているところで、彼女の論理は破綻しているんだけど、それを押し通すあたり、すでにかなり追い詰められていたと言えるのかもしれない。

で、さっそくの訓練で絵瑠は単独行動に命令無視……しかもドラゴンがフォックストロット(戦闘機モード)を勝手に解いてしまうという最悪の結果になってしまう。ちなみにここでも映像と音楽が完全なるシンクロを見せていて、シリアスな空戦が繰り広げられているので注目してほしい。まるで映画だ。


彼女の問題を知っていてわざと危険な訓練をさせた柿保の狙いは一体何なのか。で、更衣室でも逆ギレしている絵瑠に、日登美真弓がキレたりしつつ、ダメ押しで「F-2Aをポンコツと呼ぶなら、星野さん自身もポンコツということで」と、マジレッサーひそねが残酷な正論をぶちまける。極めつけはレレレ走りで走り去っていく絹番莉々子と、シリアスなシーンに笑いを挟み込む見事な演出だった。で、最後はオープニングでも出てきている謎の偉い人(飯干)が登場して、思わせぶりなことを言って「つづく」。

途中で「選ばれた少女たちのたったひとつの共通点」をOTFは確実に嗅ぎ分けると曽々田司令が(飯干も)言っていたが、その共通点とは何なのか!? このあたりの考察をしたくなるような伏線をたくさん用意してあるところが、樋口総監督のフィルムと言ったところだろうか。第5話は、ひそねがこのまま我が道を行くのか、自分の「本音言っちゃう問題」に立ち向かうのかになりそう。個人的には何の問題もないので前者で行ってほしいのだが……。そんな1週間待ちきれなくなるような4話。今回も面白かった!

(文/塚越淳一)

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