週末はこれで決まり!! 河森正治監督監修による「劇場版 マクロスΔ 激情のワルキューレ」MX4D版レポート&インタビュー!

本日2018年5月11日(金)より、全国の映画館でMX4D版の「劇場版 マクロスΔ 激情のワルキューレ」が公開されている。

MX4D(“MediaMation MX4D”)とは 米国のメーカーMediaMation社が開発した、3D映画を超える最新の「体感型」4Dシアターシステム。映画のシーンに合わせて、客席のシートが前後、左右、上下に動くとともに、風、ミスト、香り、ストロボ、煙や振動など五感を刺激する特殊効果が11種あり、これらが連動することによって、通常のシアターでは決して味わえない「アトラクション型の映画鑑賞スタイル」を実現している。

今回、その「劇場版 マクロスΔ 激情のワルキューレ」MX4D版を実際に体験したうえで、そのシステムについて、MX4Dプロジェクトリーダーの條々 淳さんとモーションプログラマーの野中友恵さんに解説してもらった。

今回のMX4D版の大きな特徴は、河森正治監督が監修をしているという点だ。もともとマクロスシリーズは臨場感や体感を大切にして作っている作品でもあるので、監督みずからがMX4Dのプログラムにも積極的に参加、かなり細かく要望を出していたようだ。

「監督が監修してくれたことで、見逃してしまっていた演出なども拾うことができたので助かりました。空戦シーンでは、プログラマーとして、こういう視点を忘れてはいけないと思ったこと指摘もありました。ハヤテ・インメルマンが後ろからの攻撃を受けて前につんのめるシーンがあったんですけど、プログラマーはどうしても映像と音に効果をつけてしまので、つんのめる瞬間に一番激しい動きをつけてしまうんです。でも監督は後ろから攻撃されている効果を大きくして、その慣性で倒れるようにしてほしいとおっしゃっていたんです。そういうパイロットの感覚になるというのは大事だと思いました」(野中)

「今回は河森監督がプログラムをしている横について見てくれていたんです(※プログラムしている作業は写真を参照)。やはり(映画を)作っているときに思い描いていたコンセプトを(MX4Dにも)落としこみたいので、他作品でもなるべく監督には実際に来てもらって、率直な意見を言ってもらうようにしています」(條々)


「河森監督は、たとえばニュアンスで、全体的にこうしてくださいという感じではなく、ピンポイントで、ここをこうしてくださいと具体的な指示をしてくださるので、やりやすかったです」(野中)

 

実際、バトルシーンではアトラクションのような感覚を味わうことができたが、マクロスの魅力といえば、やはり“ドッグファイト”と“歌”。歌に対しても、シートがリズムに合わせて振動したり、こだわって効果が付けられていた。

「戦闘シーンと同じくらいライブシーンがあるので、そこで没入感と迫力を感じられるようにプログラムしました。『チェンジ!!!!!』のライブシーンでは、客席やステージ上を滑空するカメラの目線に合わせて動きをつけたので、ワルキューレの間をすり抜けていくような感覚を味わっていただけると思います。あとは5人の色に合わせてストロボを点滅させていたりします。監督からの要望としては、音のキメに合わせて動きもキメてほしいということでした。ふんわりしながらもキュッと止まる感じというのはMX4Dでは表現が難しかったのですが、今まで使ってこなかったような数値を記入して、かなりイレギュラーなプログラムの仕方をして仕上げました」(野中)


そのほか、MX4Dでは香りなども楽しめる。たとえば前半の入浴シーンや、マキナ中島のセクシーショットなどでは、甘い香りが漂ってきて面白かった。

「香りに関しての要望も監督からはあって、技術的にそのすべてに答えることはできなかったのですが、限られた条件の中で監督には香りも選んでいただきました」(條々)

このように、細部まで河森監督のこだわりが詰まったMX4D版の「劇場版 マクロスΔ 激情のワルキューレ」。ぜひ体感してほしい。

「バルキリーの変形や駆動に対してもリアリティある振動が感じられるようにしていますし、ライブシーンでは、一度見ただけではもしかしたら気づかないような微細な演出まで織り込んでます。ドッグファイトはかなり激しく動くので、体力を蓄えて見に来てください! 音楽と風を感じられると思いますよ」(野中)


「4Dを動く椅子ととらえるのではなく、監督の演出の一部だと思っていただきたいです。監督が意図した演出をサポートしているということで、もうひとつのバージョンとして見に来ていただきたいと思います」(條々)

河森正治監督よりメッセージ


「マクロス」シリーズは、最初の劇場版『超時空要塞マクロス~愛・おぼえていますか~』を作った頃から臨場感、体感を意識しています。「映画を見る」というより「空間の中に入り込んで」自分がパイロットになったり、ライブ会場で歌姫のLIVEを体験しているような、「肌で感じる」「魂を揺さぶる」作品を目指してきました。そしてついに『劇場版 マクロスΔ 激情のワルキューレ』では、実際にMX4Dの専用シートで振動や風を感じると「ああ、目指しているところに、また一歩近づけたな」と実感しました。

ぜひより深く「マクロス・ワールド」に踏み込んで、ワルキューレの一員、デルタ小隊の一員として、さらなる「激情」を味わってください。


(取材・文/塚越淳一)

おすすめ記事