たぴみるインタビュー! 「ハイスクールD×D HERO」のエンディングテーマ「モテないくせに(`;ω;´)」で新境地に挑む!【新人さん、いらっしゃい!第6回】
日々多くのアニメソングが発表される今日この頃、アニメソングを歌う期待のニューカマーも続々登場している。そこで、アキバ総研的に気になる「新人さん」に突撃インタビューする連載! それが「新人さん、いらっしゃい!」。
今回登場するのは、2017年4月にメジャーデビューを果たし、デビュー1周年を目前に控える5月9日に2ndシングル「モテないくせに(`;ω;´)」をリリースした、たぴみるさん!
この曲は、春アニメ「ハイスクールD×D HERO」のエンディングテーマとしても、すでに放送中。過激な映像に負けない、元気満点のパンキッシュな1曲となっている。
そんなイケイケなニューシングルをリリースしたたぴみるさんに、楽曲の聴きどころや制作秘話から、デビューするまで、そしてデビューしてからのことをたっぷりとうかがった。気が付くとメジャーデビューしてました
──「アキバ総研」には初登場ということで、まずは自己紹介からお願いいたします。
たぴみる タピオカミルクティーが好きなので、たぴみるです。名前の印象でちょっとかわいらしいイメージがあると思うのですが、ちょっと毒のあるアーティスト……になりたいなと思っています。
──歌手になろうと思ったきっかけを教えてください。
たぴみる もう幼稚園の頃から、かなりメディア関係のお仕事に興味がありました。それがしっかりと形になったのは高校生くらい。軽音楽部に入って、バンドを組んでライブをやった時に「楽しい!」って思った瞬間、「もう大学は行かない!」って進路が決まりました(笑)。
当時はボーカロイドとかがはやってたので、ボカロ曲とかsupercellさんの曲をコピーしていました。
──歌うことの、どういったところが楽しかったんでしょうか?
たぴみる うーん。たとえば一番感情を込めたいところや自分が大切にしているフレーズで、スパーン!と決まると気持ちいいですね。それにカラオケでひとりで歌っているだけでも楽しいのに、ライブとかで歌うとそれを誰かと共有できるじゃないですか。その空間が最高に心地よくて、歌うことにとりつかれちゃった感じですね。その後、高校を卒業して、細々と個人的な活動をしてきて、デビューに至るという感じです。
──デビューするまではどんな活動をしていたんですか?
たぴみる 高校卒業後はニコ生配信とかしていました。その頃はオリジナル曲がなかったのでカバー曲を歌いまくるという配信をやったり、アルバイトもしていたのでアルバイトが終わった後の深夜に、仕事で疲れた方々が聴いても大丈夫そうなしっとりした歌を歌う「子守唄配信」をやったり。
あとゲームをするのも好きなので、その当時話題になっていた「スプラトゥーン」実況をやったりとか。
──そこからメジャーデビューに、どう繋がったのかが気になります(笑)。
たぴみる そうですよね(笑)。周りにも音楽で食べていくことを目指している同志とかがいたんですが、みんな気持ちが長続きしないというか、ある日ふと気が付いたらアーティスト用のアカウントが、普通の身内用アカウントに変わっていたり、というのを見てて「このままじゃ私もそうなりそう」「やばそう!」と思ったので、そこでやっと家で動画or生配信だけしててもだめだ、地上に出ようと思ったんです。オーディションに出よう、とりあえず家からに出ようと(笑)。歌い手とかやってると、ライブに出てみませんかと声をかけてもらったりもするんですけど、実際にお客さんを呼べるかわからないので、それまでは怖くて全部断っていたのを、「出ます!出ます!」って自分で自分のお尻をペチペチ叩くようになったんです。
──なるほど。
たぴみる そんな中で、あるオーディションの待ち時間の間に知り合った方から、後日「ゲーム実況を一緒にやらない?」って連絡が来たんです。それで「やりましょう、やりましょう」「じゃあちょっとお話しして何やるか決めましょう」ってフラットな関係でゲーム実況を始めることになったんです。
その子が、いろんな子をナンパするアクティブな女の子でして、「この子いい!」って思ったら、すぐに引っ張ってくるんですよ。私も「普通のただのきれいなお姉さんだな」と思ってたら、いつの間にかゲーム実況をすることになって、その方が連れてきたモデルやってる子とかいろんなジャンルの子と一緒に、わいわいとゲーム実況するようになったんですが、そのうち、このメンバーで事務所を作っちゃわない?って話になり、気づいたらグループが事務所になっており、気づいたらランティスさんからデビューが決まっており……みたいな感じです(笑)。
──すごいですね(笑)。勇気を出して一歩外に出てみたら、いつの間にかデビューしてた。
たぴみる そう。なのでライブ活動を始めて1年未満でデビューという感じです。だからもっと早く外に出ておくべきでしたね(笑)。
──それがちょうど1年くらい前の話ですよね。デビュー前後で世界や環境は変わりましたか?
たぴみる 今までひたすらに歌手になりたい、アニメのタイアップを歌いたい、という気持ちはあったものの、そういえば自分がどう見られているかっていうことを、ちゃんと考えてなかったなとデビュー時に初めて気づきましたね。
自分はどういうアーティストになりたいか、ファンやお客さんにどういう風に見られたいか、どういう人に響かせたいかとか、そこまで考えてなかったんですよ。なるようになるものだと全部思っていたんです。
高校生の頃のすっからかんな頭ではそこまで考えていなかったので、そこでも「やばい!」と思ったんです。そこで初めて、自分が今までなりたいと思っていたものとやっていたことがしっちゃかめっちゃかで、何の人なのかゴチャゴチャだなと気づきました。今もまだ、自分探しの最中なんですが、自分の強みとかを考えるようにはなりました。
今までマネージャーなんていなかったので全部自分でやってたんですけど、(マネージャーから)「それってそう見えるよ」って言われて、「え、そうなの?」と初めて気づくこともあったりして、心身ともに忙しかったですね。この1年は自分との戦いというか、自己分析をずっとやっていた1年で、本当に気が滅入りそうでした。これが音楽で食べるってことかと。
──成長できた感じ?
たぴみる そうですね。考え方についてはデビュー前からだいぶ変わったと思いますね。少しは客観的に見られるようにはなったと思うけど、まだもうちょっと足りないですね。人間ってないものねだりしがちで、だいたい自分にないものを求めるじゃないですか。自分もそのパターンなんです。あと、アーティスト名も「“ぴ”が入ってるとポップに見えるよ」っていうのも言われるまで気づかなかったから、デビュー前にもっと考えておけばよかったと思います(笑)。
「おっぱい!」なテンションで、初のアニソン作詞に挑戦!
──そんな中で今回のシングル「モテないくせに(`;ω;´)」が作られたわけですが、前作以上にテンポが速いパンキッシュな曲ですね。
たぴみる そうですね。歌詞の文字数もキュッと縮まりましたね。
──どんな感じで制作がスタートしたんでしょうか。
たぴみる 最初に「ハイスクールD×D」のタイアップが決まったよって言われたので、まずはアニメ第1期から第3期まで一気見して、主題歌とかアニメの温度感とかを全部把握しようと思いました。そして、今回は作詞してもいいとも言われていたので、楽曲を先にいただいて、アニメを一気見したテンションのままガーッと書きました。「おっぱい!」というテンションでしたね(笑)。
──アニソンとしては初の作詞ですよね。
たぴみる はい、初挑戦です。今回はアニメのタイアップなので、アニメファンの方々がテンションを上げられるように、内容に沿ったものにしようって意識しました。そういう書き方をしたことがなかったので、難しかったですね。
今までのED曲ってだいぶかわいらしかったんですけど、私自身の歌って考えるとかわいさに振り切ることに抵抗があってどうしたものかと思ったんです。でももっとアニメに寄ったほうがいいのかなと思って、最初はもうちょっとやさしくてかわいらしい歌詞だったんですが、ランティスさんが「そこまで寄らなくてもいいですよ、ちょっとは自分を出してもいいよ」と言ってくださったので、ちょっと口が悪い感じの歌詞が混じったものになりました。最初はどこまで作品に寄ってどこまで私らしさを出すか、どこまでメーターを振り切るのかが難しかったです。
──どういうイメージで作詞されたのでしょうか。
たぴみる 自分をアニメキャラにたとえて書きました。「ハイスクールD×D」っていっぱい女の子が出てくるじゃないですか。その中にもし私というキャラが新しい悪魔として召還されたとしたら、どうせ主人公のことが好きになるんだろうなって。なびくのは鉄板なので、自分がそういう立場になったらどうなるだろうって考えて書いた歌詞です。絶対に素直じゃないなとは思うので、ちょっととげとげしい歌詞にしました。
──ちなみに、たぴみるさんの実際の恋愛スタイルも、この歌詞のような感じですか?
たぴみる だいぶ面倒くさい性格だっていうのは自分でも承知しています(笑)。意地っ張りというか素直じゃないというか、よくも悪くも頑固というか。はい。
──自分の作詞した歌が、アニメの絵とともにテレビで流れる気分はいかがでしたか?
たぴみる 初回はなんかEDの絵がすごすぎて、全然曲が入ってこなかった(笑)。みんなちゃんと歌も聴いてくれてるかな。エゴサーチしてても、やっぱりお尻とおっぱいのツイートが多めなので、「みんな曲もちゃんと聴くんだ! けっこう私は思いを込めてるんだ!」って(笑)。
普通は楽曲ができてから絵を作られるんですけど、今回は歌の前にすでに絵のイメージができていたんです。その詳細はマネージャーが聞いていたんですけど、私がそれを聞いたら作詞に影響があると思って伝えられなかったんですよ。いやあ、まさか水着で洗車しているとは思いませんでした(笑)。知ってたら歌詞に「ごしごし」とか入っちゃってたかも。
──わははは(笑)。確かに過激な絵で、けっこう話題になりましたよね。
たぴみる ED映像を初めて見たときは、私も絵に食らいついていましたね(笑)。自分も「モテないくせに(`;ω;´)」っていうタイトルだし、絵と曲が合うかなって気になっていたんですが、そんな心配をする暇もなく衝撃が走りました。主人公が裸で走ってる!って(笑)。
──楽曲の周りの反応はいかがでしたか?
たぴみる ひとつあったのは、「タイトルがパンチのあるものなのであまりいい印象はなかったけど、歌詞を見たらただの強がりがゆえにこのセリフだ、というのがわかって、逆にいい!」と言ってくれる方がいて、「そうなんですよ! わかってくれた!」って嬉しかったです。
──アニメは普段から見るんですか?
たぴみる アニメ自体はけっこう見ます。タイムループ系、魔法系も好きですし、最近はシリアス系だったり感動系を見ることが多いかな。あとはギャグとか。いろいろ見ますね。今回みたいな「おっぱいアニメ」は初めて見たんですが、ひとり暮らしでよかったと思いました(笑)。特に第1期が衝撃的でしたね。敵もおっぱいをさらけ出してて、「何だこれ!」って。女なので、私はどういう顔をしてみればいいかわからなくて。おっぱいがすばらしいものだとは重々承知しているんですけど、これはどういう顔をしてみればいいんだろうと。
おっぱいがすごすぎて、ストーリーが頭に入ってこなかったので、何度かリピートしながら見てましたけど、もう慣れたので大丈夫です(笑)。だいぶ鍛えられましたね。デビューして1年、いろんな意味で鍛えられました。
──MVもコミカルな内容になっていますね。
たぴみる そうですね。けっこうポップでアニメ要素も入っています。「ハイスクールD×D」がシリアスかと思ったらけっこうおっぱい要素があって、ムードぶち壊しな感じなんですけど、その要素も入りつつ。付き合っているわけじゃない男の子と女の子のところに、妖精というか天使みたいな私がやってきて魔法をかけて恋が始まりそうになるけど、そこにおっぱいの大きなかわいい先生がやってきて、男の子が目を奪われるっていう感じです。かわいくなりすぎず、面白く、というバランスのいい感じになったかなと思います。
ジェットコースターなカップリング曲たち
──カップリング曲「好きなもの、好きなこと」は、ポップでキュートな1曲ですね。
たぴみる そうですね。今回のシングルは誰が言ったかは忘れたんですが、ジェットコースターシングルって呼んでいて、1曲目からだんだんゆるやかになっていく構成になっているんです。この曲はスッと入ってくる感じの1曲で、歌い方にだいぶ悩んだ曲でもあります。
この曲は私がちょっとだけ歌詞を修正した感じで、あとは皆さんの思う「たぴみる」を込めていただいた曲になっています。ふわーっとしてるようで、それでいてちょっとスキップしているような、心地いい感じのリズムがいいなと思ってます。
──歌い方に悩まれたとのことですが、具体的にどう悩まれたのでしょうか。
たぴみる 曲に合うような爽やかに歌いつつ、でも自分らしさを出すってことに苦戦しましたね。元々デビュー前はバラード系ばかり歌っていたので、絶対にこの曲には合わないってわかっていたんですけど、Aimerさんとか、歌い上げる系のアーティストさんを意識して「こういう歌い方もします」と見せたろうと思って最初はかっこよく歌ったんです。そしたら「そうじゃなくって~」って、案の定言われちゃうっていう(笑)。
──そういう意味では3曲目「ロンリーコール」は、たぴみるさんの歌いたい方向性の楽曲だったのでは?
たぴみる そうですね。「ロンリーコール」はけっこう素で歌った感じですね。この曲は、初めての共作ってことで、ヒロキさんと一緒に作らせていただきました。楽曲のストーリーはこんな感じがいいです、っていうのをヒロキさんに2~3パターンほど送って、そこから「こんな感じで」と素敵な曲を2曲作っていただき、最終的にこの曲になりました。歌詞はある程度ヒロキさんに作っていただいて、そこから私が好き勝手に変えさせていただいたという感じです。
今回、初めてヒロキさんとお会いしたんですが、最初はどういう人柄かもわからない状態だったんです。私自身がけっこう頑固だということもあり、自分がいいと思ったものを変えられるのっていい気がしない人もいるじゃないですか。だから、何パターンか修正案を作って持っていったら、「全部いいよ」と言ってもらえて、その言葉に甘えてけっこう好きに修正させていただいた感がありますね。
──いきなり「僕の方はダメだった 今日も自分を愛せないままで」とか、けっこう心に刺さる歌詞ですよね。
たぴみる 前回のシングルも今回の「モテないくせに(`;ω;´)」も恋愛の歌詞なので、今回は恋愛じゃない歌詞がいいなと。曲もバラード系を作ってもいいよ、とランティスさんに言っていただいたので、人生に詰んでいる感じの曲が歌いたかったんです。昔はもっと人生に希望とか抱いててキラキラしてたのに、今はどうなんだろうなと思うことがけっこうあるんですよ。私、メンヘラだから。別にいやなこととかあったわけじゃないのに、ふとした時に「生きるのに疲れた」とか思うことがあって(笑)。それを歌詞にできたらいいなと思って。だからこの曲は暗めで、わりと私の心の奥深いところを出せたかなという気があります。
──こういう曲が歌えると、アーティストとしても表現の幅が広がるというか。
たぴみる そうですね。アゲアゲの曲が多かったので、こういう曲があるとレパートリーが増えて嬉しいです。
──歌詞カードのデザインにもこだわりがあるとか。
たぴみる はい。歌詞カードはぜひ見ていただきたいですね。表紙はアニメ絵でかわいい感じ。「モテないくせに(`;ω;´)」のページは、アニメに登場するキャラクターである私がいる、みたいな感じで見たいただけたら。
で、そこから先のページはアーティスト的な感じですね。特に「ロンリーコール」は1回、ひとりでじっくり聴いて、いろいろ自分と重ね合わせてから、歌詞カードを見て答え合わせをしてほしいです。
──今回のシングルは、それぞれ違う個性を持った曲が集まった1枚になりましたね。
たぴみる うん。それぞれに楽しめるんじゃないかな。その中から自分の好きな曲を見つけてもらいたいですね。
──ライブでもすでに全曲披露されているそうですが、反響はいかがですか?
たぴみる 「モテないくせに(`;ω;´)」はいかにもなアニソン感があって、アニソンファンの人は「今回の曲、めちゃいいね」って言ってくれてます。デビュー前から知ってくれている方とか子守唄配信を知ってくださってる方は、「ロンリーコール」をけっこう喜んでくれている感じでした。それぞれの層が喜んでくれてよかったです。
今回のシングルは陰と陽のある、人間らしい1枚になったかな。こっちではツンツンしてて、あっちでは爽やか前向き、好きなことして生きるぞ。かと思ったら、ちょっと生きるのに疲れたっていう。キラキラすぎないのがいいなって思います。
──ちなみに、たぴみるさん自身は深く考え込むタイプですか?
たぴみる はい。けっこう考えるタイプで、寝る前とかに謎の路頭に迷いますね。
──そういう時はどうやって復活しますか?
たぴみる 復活しないですね(笑)。心の中に、今、何のために生きてるんだろうという疑問があっても、その答えって絶対に出ないんですよ。ふわっとその問題が出てきて、ふわっと悩んで、ふわっといなくなって、またふわっと出てきてみたいな感じですね。そういうのを繰り返しているので、常に情緒不安定です。
──なるほど(笑)。そんなたぴみるさんならではの持ち味は、どんなところだと考えていますか?
たぴみる それをずっと自己分析しているんですよね。でもなんか、「キラキラしすぎない」をテーマにできたらいいなって思います。アーティストって、常にキラキラしているようなイメージがあるんですが、自分はちょうどいい温度感を出せたらいいなって。うまく言えないんですけど、等身大みたいな。こういう時もあればこういう時もあるよ、という人間らしさ、ありのまま感が出せたらいいなと思います。
──今後はどういう活動していきたいですか?
たぴみる 今、月1でワンマンライブやっているんですけど、4月から会場を広くしたんです。そこをまたいっぱいにできるように活動していきたいなって言うのと、アーティストらしいところを見せられたら言いなって思います。かわいいものを期待されているとは思うんですが、少し成長したかっこいいところも出せたらいいなと思います。
──最後に読者の皆さんへのコメントをお願いします。
たぴみる CD、買ってください!(笑)
──ありがとうございました!(笑)
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