「お前はまだグンマを知らない」第7話感想：グンマの冬の名物「からっ風」、その本当の恐ろしさとは？

この4月よりスタートしたショートアニメ「お前はまだグンマを知らない」。
ウェブコミック配信サイト「くらげバンチ」にて連載中のコミックが原作だが、その内容は、ネット上でやたらとディスられることの多い「グンマー」（群馬県/県民）の「あるある」を、やたらとテンション高めの大げさなアクションでデフォルメするというコメディである。


あまりにもローカルネタすぎる本作だが、何と民放局では地元の群馬テレビ（群テレ）しか放送しないという、あまりのローカルっぷりが泣ける。ただ、アニマックスやGYAO!でも配信されているので、ぜひチェックいただきたい。そんな超ローカル作品のネタを、グンマー出身の筆者が、愛をもって、詳細に掘り下げ解説する。


前回は4話の感想で、今回いきなり7話ということで、2話分が空いているが、まあ細かいことは気にしない（笑）。ざっくり5話、6話のあらすじを紹介しておくと、ようやくクラスメイトに仲間に入れてもらえた主人公・神月紀（CV：梶原岳人）であるが、紅一点の篠岡京（CV：内田彩）率いる「JKJ」（上毛かるたユーゲント）によって、上毛かるたのキーワードに反応できないことを詰められてしまう。これが5話のストーリー。そこで友人の轟二矢（CV：笠間淳）が、上毛かるたの起源について詳しく解説するというのが6話のストーリーだ。つまり、5話、6話とも「上毛かるた」をテーマにした回ということで、これについては第3話「つる舞う形のグンマ県」の感想を参考にしていただければと思う。


さて、1クールも後編に入った第7話では、6話までの一件はいったん解決しており、神月もすっかりグンマの高校生として認められた模様。すっかりグンマライフを満喫しているようでもある。しかし、そんな神月を悩ませていたものがある。それがグンマ名物の「からっ風」であった。自転車での登下校の際に、このからっ風が大きく立ちはだかるわけだが、神月の場合、行きが向かい風（つまり北へ向かう）、帰りは追い風（つまり南へ向かう）ということで、必ずしも悪いことばかりではないようだ。そんな「楽勝」な下校時、追い風に乗ってペダルを漕がずに自転車で進む神月だったが、強烈な風が吹く橋の上で、向かい風に向かって自転車を必死に漕ぐ少年と出会う。少年は、これ以上前に進むことができずに落涙するばかりであり、そんな姿に神月はグンマの自然の苛烈さ（人が住める場所ではない！）を改めて思い知らされるのであった。


そんな「からっ風」であるが、その苛烈さは、本作上でデフォルメ気味に語られてはいるものの、リアルなグンマーから見ても、これはほぼ事実である（笑）。冬場になると、毎日のように北西から吹き付ける乾燥した強風のことを、グンマでは「からっ風」と呼んでいるが、その風の強烈さは体験した者でないと、なかなか実感がわかないものかもしれない。作中で、少年が「これ以上前に漕げない」と言っていた通り、時には自転車を前に進めるのも困難になるほど、その風は強く、風上に向かって自転車を漕ぎ進めるには、ジグザグに風をよけながら進むという高度な運転テクを必要とする。であるから、グンマ出身の人間は自転車の扱いに長けている（と思う）。


また、作中に出てくる“グンマの真実”「冬場、停めておいた自転車は大抵倒れている。」というのも本当だ。風が強すぎて、風よけがない場所はもちろん、風よけがあったとしても、自転車は大抵倒されている。さらに言えば、女子の場合、制服のスカートは押さえても必ずまくれ上がってしまうものなので、グンマの女子中高生は、スカートの下に体操着のジャージを履いているのがデフォルトである。そんな彼女たちは、こんな強い風の中、頑張って自転車を漕がなくてはいけないという事情から、どうしても太ももを中心とした足が鍛えられて太くなる。グンマーの女子の足が太いと言われるのは、こうした事情によるものなのだ！ やさしい目で見てやって！（※あくまでも推測です）


ちなみに筆者の場合、最寄りの中学校まで4キロ近い距離があり、しかも自宅からほぼまっすぐ南へ向かうという地理的事情から、この「からっ風」の影響はモロに受けたという経緯がある。と言うのも、冬場、風が強くなるのは、たいてい夕方であり、朝のうちはまだ風もさほど吹いていないので、神月のような追い風の恩恵はほとんど受けることがない。しかし、部活で疲れ切った身体を引きずって自転車で帰る帰宅時には、100％アゲインストの強風が待ち構えており、遮るものもない吹きっさらしの田んぼのなかの道を、4キロ近く強風に逆らって自転車を漕ぐハメになるのだ。だから本作に登場した少年の気持ちは痛いほどよくわかる。涙なくては語れないゾッ！！


なお現在、5月14日より5月20日まで、本作「お前はまだグンマを知らない」の第1話～第6話までの振り返り配信が「GYAO!」にて行われている。まだ本作を見たことがないという人は、ぜひ今週「GYAO!」で本作をチェックしていただきたい！！


・GYAO!「お前はまだグンマを知らない」配信ページ
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（編集部・鎌田）

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