「第2章の見どころはドラマです」 アニメーション映画「GODZILLA 決戦機動増殖都市」静野孔文監督、瀬下寛之監督インタビュー!

アニメーション映画「GODZILLA」シリーズの第二章「GODZILLA 決戦機動増殖都市」の公開が、5月18日に迫ってきた。


第一章では、辛くもゴジラを撃破したかに思われたハルオたち。しかし、それをはるかに上回る巨大な<ゴジラ・アース>が出現。さらなる危機がハルオたちに襲いかかるというところで終わった本作だが、第二章ではメカゴジラや2万年後の地球に生存する人間に似た種族・フツアが登場するなど、クライマックスに向けてますますドラマは盛り上がりを見せる。

そこで、今回は本作を手がける静野孔文監督、瀬下寛之監督の両名にインタビューを敢行。2大監督がいかにして本作を作っているのか、うかがった。

──まずはシリーズ第一作目「GODZILLA 怪獣惑星」の手ごたえなどを教えてください。

静野 先日、一夜だけの再上映をやったんですけど、若い女性も来てくれていたというのが自分としては印象的で、嬉しいポイントでしたね。最初の舞台挨拶だと、年配の方とか男性がけっこう多かったのですが、映画館での上映後のNetflix配信を経て、だいぶ女性も入ってきていただけているんだなというのを実感しました。

瀬下 もともとの東宝さんの戦略として、アニメ版「GODZILLA」は、これまでにゴジラを見たことのない、特に若い世代にゴジラを知ってほしいという狙いがあったので、静野さんがおっしゃったとおり、結果的に老若男女に受け入れていただけている手ごたえがあって嬉しいです。

──「ゴジラ」シリーズ初のアニメーション化ということで、緊張したりはしませんでしたか?

静野 正直、僕はあまりゴジラには詳しくない部分もあったんですが、スタッフが強力な方たちだったので、そこは皆さんに頼って、自分の得意分野をフィルムの中にどこまで入れられるかに集中して作品作りに臨みました。

瀬下 僕の場合は、東宝さんが実写版のゴジラの伝統は意識しなくていいです、と初期の段階で言ってくださったことと、「シン・ゴジラ」が、まさに東宝特撮としての王道を引き継いでくれたので、アニメ版は自由に伸び伸びとやろうと思いました。そのような確認をしてからこの仕事に入っていますが、やはりプレッシャーはちょっとあります(笑)。

──お2人は、「ゴジラ」というタイトルにどのような印象を持っていますか?

静野 ゴジラの名前は知ってるし、映画は観たことなくてもなんとなく「ゴジラってこういう形だろう」とわかっちゃうくらい有名なキャラクターという印象ですね。ただ有名すぎるので、急に自分が作品を学んでいろんな知識を蓄えたとしても、すぐに「にわか」と見破られてしまうと思ったので、今回は真のゴジラファンの方の意見を聞きながら作ればいいかなと思っていました。ちょうど瀬下さんがとても詳しかったので、いろんなことを教わりながら作ったんです。

瀬下 恐縮です。僕はいわゆる世の中のディープなゴジラファンの方に比べたらきわめてライトなファンです(笑)。ですから、この作品においては元々の「ゴジラ」の骨太な世界観や様式を継承するというより、アニメならではの利点を生かしやすい要素を引用させてもらう……くらいの意識で臨みました。

──継承ではなく、引用ですか。

瀬下 はい。家系図でたとえると、家督を継ぐのは間違いなく「シン・ゴジラ」だと思いますから。僕らはそうですね……いとこくらい?(笑) 本家と分家というか、戦国時代の武将で言ったら親族だけど苗字が違うみたいな。だから今回タイトルが英語なのもそんなノリかと。ちなみにアルファベットっていうのは、東宝さんからの指定です。

──海外展開も視野に入れて、そのようになったのでしょうか?

静野 いきなり海外、というよりは日本の市場をまずは大切にして、そこから次に海外というのはあるかもしれないです。まずは日本のファンを獲得してほしいという話でした。


第一章よりもゴジラファンに楽しんでもらえる要素を入れられたのでは


──第二章「GODZILLA 決戦機動増殖都市」の見どころは。

静野 冒頭から突然変な美少女が現れて(笑)、地下に入って得体の知れない生物と戦ったり、メカゴジラが出てきたり……。第一章はとにかくゴジラとの戦いにターゲットを絞って、そこを攻めていったんですけど、第二章は「怪獣惑星」を楽しんでもらえるような要素をどんどん展開していくというところです。そういう意味では第一章よりも、ゴジラファンには楽しんでもらえる要素を入れることができたのではないかなと思っています。

瀬下 あとは主人公ハルオの、さらなる苦悩と葛藤、そして闘争が、まさに怒涛の群像劇として描かれます。そのあたりの人間ドラマは最もご期待いただきたいところです。

──個人的には中盤の、人類、ビルサルド、エクシフの3種族の関係が危うくなるシーンが印象的でした。そういった緊迫感あふれる展開はシリーズ構成の虚淵さんから出たアイデアでしょうか。

静野 そうですね。やはり虚淵さんの原案が持つ、ある種の神話的な構造が素晴らしいと思います。人型種族それぞれの神や思想といったものがぶつかり合っていく。そこに、このお話の真の魅力があるんじゃないかなと思います。

瀬下 3年くらい前、この企画が動き始めた頃に静野監督が、アニメならではの、そして「我々ならではのゴジラ作品」という意味で、とにかく主人公にカメラがついていきたいとおっしゃっていました。僕も虚淵さんも大いに賛成して、「人間ドラマにしましょう」と盛り上がって。そのことが本作の柱になったと思います。


──今回登場するマイナ、ミアナという双子が、ハルオのことをどう思っているのか非常に気になるところですが。

静野 まだ第二章ではフツアという種族のミステリーなキャラなんですが、ハルオに対してどんな感情があるのかは、第三章を楽しみにお待ちいただきたいですね。

──第二章からは、ヴァルチャーというロボットが登場します。ロボットアニメ好きとしてはたまらないマシンです。

瀬下 そう言っていただけると嬉しいですね。

静野 第一章では無骨なロボットだったのが、第二章で突然スーパーロボットになるんです。

瀬下 第一章では、惑星開拓用の重機を改造して無理やり戦闘に駆り出しているという状況なので、きわめて無骨にしています。何でこんなにもっさりした動きなんだろうと感じた方もいらっしゃると思いますが、第二章との落差のための伏線でした。ちなみに第一章のパワードスーツをお好きな方も映画の前半に楽しめます。

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