「ひそねとまそたん」第6話感想:DパイとOTFの絆に感動! そして深まる謎!

「君の名前を叫ぶから」

このタイトルを見たときに、星野絵瑠のことだとピンと来た。なかなかエモいタイトルで、感動は約束されているようなもの。ただ、実際にそのハードルを超えるのは、絵、音楽、演出、すべての水準が高くなければいけないから難しいのだけど、この作品は安心できる。


すっかり仲良くなってサバイバル生活にも慣れてきた、ひそねと莉々子と真弓の3人。ただ、星野絵瑠だけはイカダ作りを諦めず、黙々と作業をしていた。ただ、このあとに真弓も「星野さんのこともかわいそうに見える」と言っていたが、彼女の頑なさ、追い詰められ方が尋常ではないというか、極端だったので、彼女にも何かがあったんだなと見ている人の誰もが感じていただろう。そういうドラマの持っていき方は流石だなと思う。


その後、OTFと星野絵瑠の出会いのシーンが挟まれるが、超カッコいいけど怖いよ!と。あれに食われたら、トラウマになってもおかしくないレベル(笑)。ほかのかわいいOTFとは違う「F-2」。で、このシーンのあとに聴こえた水の音は、海水で冷却していた音なのかな? そういう細かい演出が素敵。

そして空を見上げてみんなを心配する名緒(どれだけ良い奴なんだ)。そして、さり気なく声をかけるジョアおばさん。「キウイは皮のほうが甘いんですって」って、何だろう、この意味がありそうでなさそうな言葉は……。もはやジョアおばさんは何を言っても気になるセリフになりそうだ。そして、飯干さんにも変わらない対応の名緒が、どんどんナイスキャラになっていく……。


ずっとフォックストロット(戦闘機モード)を維持し続けるF-2が放熱できずに熱くなってないか心配する3人。そして得意のひそねの舐め回しで、あることに気づく。単なる変態かと思っていたけど、彼女の舌は海水かそうじゃないかを判断するという、物語上大切な役割があったわけだが、本当によくこんな発想を思いつくなぁと感動すらする。

その舐め回しの演技は久野さんのアドリブも入っていたそうだけど、そのあとさり気なく2人をTACネーム呼びして、それを指摘されると「はっ!バレた」と言うひそね。その演技と、TACネームではなくあだ名呼びにするというやり取りで「ひそねで!」と元気よく言うところのかわいらしさ。こういう伸び伸びとした芝居はプレスコでやっているからこそなのかもしれない。そのあとイカダで脱出しようとして失敗してしまうところの絵瑠の追い詰められた芝居もよかった。このアニメは絵と芝居が本当にピッタリ合っている。


大雨で流されてしまった名緒(の人形の顔)に涙するひそねの顔がとてもかわいかったが、そのあと、F-2が伝えてくれたことで、木の下敷きになりピンチになっていた絵瑠を助けることができたひそねたち。ここで絵瑠の過去と零戦と、「キ46-〇〇式」司令部偵察機に擬態したOTFの映像が挟まる。しかも全員が同じ夢を見ていたという不思議な共鳴。この4人で今後何かが起こりそうな予感が漂う。

そして打ち明けられる絵瑠の想い。F-2パイロットに憧れて自衛隊に入り努力してきたものの、OTFに選ばれてしまったからF-2のパイロットになれなかった。そんなところからくる苛立ちが彼女をあんな風にさせていたとわかる。前日アフターバーナーをフカせて絵瑠のピンチを知らせた無理がたたり、我慢の限界に達したF-2がついに悲鳴を上げる。それでも絵瑠は頑なだったが、ひそねが、なぜOTFがフォックストロットを維持し続けるのかという答えにたどり着く。つまり絵瑠の願いをかなえたかったから。

「キミは飛行機じゃない、ドラゴンだ。私なんかのためにそんな格好しなくていい。もう無理しなくていい、キミの本当の姿を見せていいんだ、だから死ぬな、ノーマ!」という絵瑠の言葉とともにノーマが解放されてひとつになる。ノーマの体内で絵瑠が自分の過ちを認めるというところも感動的だった。


そして基地に帰ってきたDパイの4人。逆光の中歩いてくる姿がカッコよかったが、しっかりひとりだけヌルヌルしていたひそねも面白かった。そして「あいつら腹立つ顔してんなぁ」と、青春くさいセリフを吐いて走り出す名緒はどこまでも憎めないキャラだ。

ずっとOTFをF-2だと言っていたのに、実はしっかりノーマという名前をつけていたという超ツンデレキャラだった星野絵瑠。そしてジョアおばさんとDパイの関係は? あの島に祀られていたものは?などなど、前話に引き続き謎がたっぷりだった第6話も、面白かった。

(文/塚越淳一)

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