「お前はまだグンマを知らない」第8話感想:海なし県ゆえの「(意味なく)海が好きっ!」

この4月よりスタートしたショートアニメ「お前はまだグンマを知らない」(おまグン)。
ウェブコミック配信サイト「くらげバンチ」にて連載中のコミックが原作だが、その内容は、ネット上でやたらとディスられることの多い「グンマー」(群馬県/県民)の「あるある」を、やたらとテンション高めの大げさなアクションでデフォルメするというコメディである。


あまりにもローカルネタすぎる本作だが、何と民放局では地元の群馬テレビ(群テレ)しか放送しないという、あまりのローカルっぷりが泣ける。ただ、アニマックスやGYAO!でも配信されているので、ぜひチェックいただきたい。そんな超ローカル作品のネタを、グンマー出身の筆者が、愛をもって、詳細に掘り下げ解説する。


最新話・第8話のサブタイトルは「海」。これまで散々グンマの珍名物ばかり取り上げてきた本作が、なぜ「海」などという、どこにでもありそうなサブタイトルを付けたのか。しかも、グンマ県には海がない。作品中でも触れられているように、全国47都道府県の中でわずか8県しかない「海なし県」のひとつであるグンマ県なのに、「海」とは一体どういうことか?

しかし、その狙いは、本編を見始めてすぐにピンと来た。いとこの小学生・実(みのる)の両親に代わって、運動会に行ってビデオを撮ってきてほしいと母親から頼まれる神月。運動会当日、小学校に出向きながら実の思い出を思い返す。実は生粋のグンマ人であるが、友人の轟などとは違って、いたってまともだと思っていた神月だが、かつて神月が暮らしていたチバ県の海に来たときの、尋常ならざるはしゃぎっぷりを思い出して、思い直すというストーリーだ。


そう、グンマ県人は、海なし県であるがゆえに、海に対する憧れが非常に強いのだ。もちろんデフォルメはされているが、筆者なども子ども時代、1年に一度の海水浴はかなり心躍った覚えがある。海辺で過ごした2泊3日が終わり、帰路に着くときには、思わず涙したものだ。高校生になってからも、海への憧憬は押さえがたく、春休みに男子高生数名で、電車を乗り継いで鎌倉の海へ行き、黄昏れたこともある(黒歴史だ……)。現在、JR高崎線(第1話感想を参照)とJR東海道線は「湘南新宿ライン」という相互乗り入れ線で結ばれているが、鎌倉方面に向かう湘南新宿ラインが、春先になるといつも混み合っているのは、おそらく、そんな想いを抱えたグンマ県人が大量に「いざ鎌倉!」と大量移動を始めるからではないかと、個人的には思っている。


そして、忘れてはならない。グンマの小学校には漏れなく(多分)「臨海学校」という夏のイベントが待っている。これは、おそらく「海なし県」であるグンマの子どもに海での体験をさせてあげたいという教育上の計らいによってできたものだと思われるが、市町村単位で契約している新潟県などの(なぜか関東近県ではなく新潟が多い!)海辺の研修施設に、2泊3日くらいのスケジュールで小学生達が出かけていくという体験型の修学旅行のようなもの。当然ながら、そこでは日中は海水浴を中心に楽しみ、夜はレクリエーションということでキャンプファイヤーなどをして楽しむのだが、筆者などは、そのあまりの楽しさに、テンションMAX!となってしまい、やたらハイテンションでフォークダンスを踊りまくったという記憶がある(黒歴史です……)。


というわけなので、本話に登場する実の常軌を逸したテンションの上がりっぷりも、かなり納得、というか、グンマ県人なら誰もが「まあ、そんなもんだよね」とうなずいてしまうくらいの一般的なリアクションだと思う。笑えるのは、その実が独白するセリフの中の以下の一説。


「海なし県はーっ!、刺身への憧れが強いーっ!(中略)刺身を与えりゃ喜ぶと思っているのでーっ!どんな山奥の旅館に泊まってもーっ!夕食に刺身が出ーてくるのだーっ!!」


言い得て妙。言い得て妙だよっ、実っ!


ていうか、実のCVって小倉唯さんなのね。そうとは思えないハイテンション演技でびっくりしました! あとグンマ出身だったとはっ!!


(編集部・鎌田)

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