和氣あず未×高野麻里佳×前田玲奈×鬼頭明里×首藤志奈インタビュー! キャストが振り返る「ウマ娘 プリティーダービー」!

現在、好評放送中のTVアニメ「ウマ娘 プリティーダービー」。本作は史実のレースを想起させるような展開から競馬好きな人も、はたまた競馬を見たことがない人も楽しめるスポ根アニメとなっている。

終盤に向けて、また新たな展開を見せる本作について、今回はスペシャルウィーク役の和氣あず未さん、サイレンススズカ役の高野麻里佳さん、グラスワンダー役の前田玲奈さん、セイウンスカイ役の鬼頭明里さん、ハルウララ役の首藤志奈さんにたっぷり語ってもらった。


印象に残ったエピソードは第何話?

──自身が演じるキャラクターのチャームポイントや、演技するうえで心がけていることを教えてください。

和氣あず未(以下、和氣) 最初に演じたのはドラマCDだったんですけど、その時からスペちゃん(スペシャルウィーク)は表情がころころ変わる子でした。アニメのスペちゃんはかわいい顔からギャグ顔まで、本当に表情が豊か。ドラマCDでは伝え切れなかった表情が見られます。喜怒哀楽の中では怒るより、嬉しいといった表現が多いので、そこがスペちゃんのいいところです! あと不思議な三つ編みの部分が他のウマ娘にはない特徴で、そこがチャームポイントかなって思います。


高野麻里佳(以下、高野)
 サイレンススズカははかない印象があって、悲劇のヒロインっぽい設定を元に役作りさせていただきました。ドラマCD、ゲーム、アニメといろんなところで演じているんですけど、アニメではカッコよくて気高いスズカを演じさせてもらっています。スペちゃんは、サイレンススズカをひと目見て憧れるんですけど、そういう存在にならなければいけないので、普段はおとなしいのに勝負になるとキリッとカッコいい存在になるように、儚さの中の強さを意識して演じました。

前田玲奈(以下、前田) グラスワンダーはアメリカ出身で、だからこそ日本を愛する大和撫子。いつも穏やかにほほえんで皆にアドバイスしたり、やさしく接したりしているんです。演じるうえで気をつけていることは、しゃべりがゆっくりなので、尺からこぼれないように……ですかね(笑)。みんなとの会話のテンポを崩さないようにグラス(グラスワンダー)らしくしゃべることを心がけています。そんな彼女も、エルコンドルパサーとのかけ合いだと肘鉄を食らわせたり、勝負にこだわるところも出てくるので、そういうバランスを考えながらキャラクターを作っていきました。

鬼頭明里(以下、鬼頭) セイウンスカイは最初にオーディションで準備していた役ではなく、その場で「この役も(やってみて)」と渡された役だったんです。ふわふわしたマイペースな子なので、最初は「わからない」と思ったんですけど、演じていくうちに自分と似ているかもしれないと思うようになってきました。そこからは自分と重ねて、自分だったらどうなのか、自分はこう思うからセイウンスカイもそう思うんじゃないかって考えるようになりました。

──どのへんが似ているんですか?

鬼頭 マイペースなところ……でも、本気を出したらそこそこ行けるぞ!みたいなところですかね(笑)。私も、本気を出して負けちゃったらショックが大きいから、あまり本気は出したくないなぁって思っちゃうんです。そういうところは似ています。なかなかそういうキャラクターっていないので、巡り会えたのは運命なのかなと思います。

首藤志奈(以下、首藤) ハルウララちゃんの役をいただいたときに、実際に(モデルになった実在のハルウララに)会いに行ったんです。その時にお馬さんってカッコいいなと思ったんですけど、ハルウララちゃんは小さくて子供みたいで、かわいらしい印象でした。ウマ娘のウララちゃん(ハルウララ)も、まさに子供っていう印象があったので、今まで受けてきたオーディションの中で一番やりやすくて、すぐにつかめた感覚があったんです。

──それは自分も子供っぽいということですか(笑)?

首藤 家族には似ているところが多いねって言われるんですけど、自分ではちょっとよくわからないんです(笑)。チャームポイントはピンクの髪と目の色。桜というのが、ザ・ウララちゃんのイメージなので視聴者のみなさんにも覚えられやすい、インパクトのあるキャラクターだと思います。あと、みなさんとかけ合いをするとき、距離感とかは関係なく全部ぶち壊しに行くというか(笑)。空気を読まないことを演じるうえでは心がけました。

左より、ハルウララ役の首藤志奈さん、サイレンススズカ役の高野麻里佳さん、スペシャルウィーク役の和氣あず未さん、セイウンスカイ役の鬼頭明里さん、グラスワンダー役の前田玲奈さん。


──これまでで思い出に残っているエピソードはありますか?

和氣 スペシャルウィークだと5話の日本ダービーです。史実とは違って、エルコンドルパサーが参加しているので、どうなるんだ!っていう期待もあったと思うんです。実際の日本ダービーとは違うストーリーが印象的でした。それにエンディングで「ありがとう、神様」が流れるのも好きなんです。“ありがとう、神様”って、スペシャルウィークだからこそ言えた言葉だなと思いました。あとは、日本ダービーは運を持っている子が勝つよと周りから言われていたので、そこにも“ありがとう、神様”って言いたい気持ちです。<スピカ>のみんなが四つ葉のクローバーを探してくれて、これで運も味方だよって言ってくれたのが、スペちゃんとしては嬉しかったと思うんです。それにスズカさんに「ゴールに人参があると思って走れば」と言われてゴールしたあと、「私にとっての人参は<スピカ>の皆さんでした」って言えたところは、いいチームに巡り会えたんだなぁと感じました。

高野 8話でトレーナーさんが<スピカ>のメンバーにそれぞれ、「お前はこうだ」って伝えるところが好きです。7話でスズカが怪我を負うという衝撃的なことがあったんですけど、それはこれまでの流れからも予想できたと思います。

でもそのあとに、どうやってスズカが立ち直っていくのか、未来の想像ができないからこそ大事になるのが8~9話でした。そして、そこでトレーナーさんがスズカに言った「去年、俺はお前に夢を見せてもらった。でもな、まだ足りない。もっとお前で夢が見たい。リハビリ、がんばれよ」って言葉がすごく好きなんです! それは実際にサイレンススズカが大好きだった皆さんが思っているセリフと一緒なんじゃないかなって思ったんですよね。トレーナーさんって、<スピカ>のメンバーにとってはお父さんのような指導者だけど、それぞれの実際の競争馬を応援していた皆さんと同じ気持ちでいてくれるんだって。それがすごくうれしかったんです。8~9話は、サイレンススズカの夢がこれからも続くのかなっていう期待感を持たせてくれる話数なので大好きです。


前田
 8話でグラスワンダーとスペちゃんが直接対決をするんです。グラスは怪我をしてずっとレースに出れていなくて、彼女なりの焦りや不安の気持ちもあった中、6話でレース(毎日王冠)に出て、そこでスズカさんに完膚なきまでにやられてしまい……。それがあったうえでの8話で、スペちゃんと走れることになったのに、直前にスズカさんが怪我をしてしまったことで、スペちゃんがそちらに付きっきりになってしまった。

その気持ちはわかるんですけど、グラスとしてはスペちゃんをライバルと認めて、一緒に走りたいのに、スペちゃんはスズカさんばかり見ていたので、あんなに悲しいことはありませんでした(笑)! 何度台本を読んでも悲しくて。全然こっちを見てくれないんですよね。

そのあとグラスがオーラをまとったところでダークサイドに落ちてしまったのかな?と思ったので、一度そういう方向で演技を持っていったら、「グラスは悲しみに暮れているとかではなく、勝ちにこだわった、勝利に対する素直さかそういう気持ちでオーラをまとっているんです。冷静と情熱の間なんです!」というディレクションをいただきました。実際に演じてみたら、確かにそうでしたね。

でも、私はまだちょっとだけスペちゃんに怒ってますけど(笑)。

またいつか一緒に戦えたらいいな、そこでスペちゃんが何かに気づいて、さらに強くなってくれたらいいなと思った回でした。

鬼頭 私も5話が印象に残ってます。3話で負けた時って、セイウンスカイってそれほど悔しそうではなかったんです。でも5話の日本ダービーは、彼女なりに努力してがんばったからこそ、あんなに悔しい思いをしたんだなって。負けちゃったんだけど本気だったんだなというのが伝わってきました。がんばったのに結局負けちゃうっていうのはすごく悔しいと思います。だからこそ、それを経験すれば強くなれると思うので、ここでセイウンスカイは成長するんだろう、というのが見えて、自分的には楽しかったです。

首藤 4話でウララちゃんが高知競馬でデビューして学園に帰ってくるんですけど、そこで「日本の夜明けは近いぜよ!」ってアドリブを入れたんです。ウララちゃんはレースに勝ったことがないウマ娘なんですけど、「次は勝てるよ!」と思っているから、落ち込んだりはしないんです。ほかのキャラクターみたいに、「勝たなきゃ!」という強い思いとか(誰かに対する)嫉妬とかもなくて、勝てたらいいなっていう前向きでシンプルな感情だけがあるんです。そういうウララちゃんの「負けても負けてもがんばろう!」っていう気持ちを、このセリフに込めました。でも、私だったらそんなに負けたら落ち込んで学園をやめたくなると思うんですけどね(笑)。そんなウララちゃんに私自身も励まされています。



「ウマ娘」を通じてお父さんと仲よくなりました!

──先ほどから、史実という言葉が出てきていますが、実際のレースともリンクしているのが本アニメの特徴だと思います。そういうところで、競馬に興味を持ったり、この作品に出演したことによる影響などがあったら教えてください。

高野 私、お父さんと仲よくなりました! 私が担当するサイレンススズカは逃げ馬なので、私が逃げ馬好きをアピールしたら、「追い込み馬のほうがカッコいいんだ!」ってお父さんに熱く語られて(笑)! もちろん人それぞれで好みはあると思うんですけど、お父さんには好きな馬がいて、そのムービーを見させられたりしました。この作品を通じて競馬を知ったおかげで、お父さんと話すキッカケが増えたので、それはすごくいい影響だなと思いました。楽しい時間をもらいました。

和氣 私はもともと競馬をまったく知らず、オーディションをいただいたとき、いわゆる擬人化系だなと思ったんです。でも役をいただいて作品に接するうちに、スタッフさんの本気度を感じて、「こんなに本気のスポ根ものなんだ!」って気づいたんです。ウマ娘ちゃんたち同様、実際のレースでお馬さんが本気で走っている姿を見てカッコいいと思ったし、こんなに速いとも思っていなかったんです! 

それにお馬さんにどのくらい感情があるのかも今まではわからなかったんですけど、今は「犬や猫みたいに耳とかしっぽでお馬さんも気持ちを表現するんだ!」って、お馬さんがよりかわいく思えるようになりました。


──実際に馬やレースも見に行きましたか?

和氣 企画(2018年7月18日発売のBlu-ray BOX第1巻「ウマ箱」第1コーナーに、特典映像として収録!)で、Machicoちゃん、高野ちゃんと一緒に佐賀競馬場に行きました。北海道でスペシャルウィークにも会いましたよ。牧場ではお母さん馬と子馬がいて、ずっと子馬が寄り添って走っていたりするのを見ると、かわいいなぁ、私、動物好きだなぁ!って思います(笑)。

前田 台本を見ていて、たとえばスズカさんが部屋をぐるぐる回ったり、不思議なことをしてるなって思っていたんです。あとは(スペシャルウィークが)レース前にちょっと太ってしまったとかも本当にあったことなんだ!とか。レースも史実に沿っていたり、レースだけではなくビジュアルも元のお馬さんや騎手の方の衣装に忠実だったり。そういうところは、視聴者やスタッフのみなさんのつぶやきに教えていただくことがすごく多いんですよ。

あと、実在のグラスワンダーは額に「流星」っていう白い部分があるんです。それはわかっていたんですけど、その中に茶色でぽつんと栗毛の地毛があって、ウマ娘のキャラクターデザインにも反映されているんです。ここまで表現してくれてるなんて本当にすごいな!と思いました。そういう細かいところまでスタッフさんは考えているし、それに気づく視聴者のみなさんもすごい!って感動しちゃいました。私がいち早く気づかなきゃいけないのにー!って。次は絶対見つけたいと思ってます。

鬼頭 アニメの放送が始まってから他の現場で、「ウマ娘、見てるよ」って言われるんです。違うアニメの原作の先生が競馬ファンだったりして。今まで、競馬のことは全然わからなかったんですけど、この作品に関わるようになってから皆さんの話している内容もわかるようになってきました。

競馬って、最初はただ競争をしているだけだと思っていたんです。でも馬の性格とか、レーススタイルみたいなのがあるんだと、作品をきっかけに知ることができました。競馬を知っている方はもちろん、知らない人、競馬ファンじゃない人が見ても面白いアニメだし、自然とレースについて勉強できるので、本当にいいアニメだなって改めて思います。

首藤 私も前田さんがおっしゃってたビジュアルに目が行くようになりました。犬ってダックス、コーギー、柴犬って犬種があるじゃないですか。でも馬については「全部ダックスで、時々白いダックスがいるくらいで全部一緒」という認識だったんです。でも、よく見てみたら、大きさとか毛の色が全然違うんだなと思って。これからはパッとお馬さんを見ただけで、これは何々でしょ!って言えるようになりたいなって思いました。まだ全然なれてないんですけど。

キャラクターを作る方って本当に細かい部分を見て、こだわってくださっているんです。私もテレビとかでお馬さんを見たら、「この子がもしウマ娘になったらどんな感じなんだろう」って考えるようになりました。

──では最後に、これからの見どころをお願いします。

和氣 スペちゃんはスズカさんのことを、追いつきたい、一緒に走りたいという憧れの対象として見ていたんですけど、後半はスズカさんを越えてみたいという気持ちが出てくるんです。そんなスペちゃんの意思がどんどん強くなる物語になってくるので、その感情の変化をみなさんにも見てもらえればと思います。

高野 みなさんが気になっているスズカのこれからの夢が見られるんじゃないかなと思っています。私自身、とっても気になっているので、大切に演じさせていただきたいと思います。

前田 グラスは普段穏やかでも怒らせたら怖いぞっていうのは見せられたと思います(笑)。でもそれ以降は、穏やかでみんなのことをよく見ているグラスに戻ると思うので、みんなの成長を見守っていきたい気持ちです。

鬼頭 途中までは史実に沿っていた場面もあったので、次はこうなるんじゃないかって予測はできたと思うんですけど、後半からはオリジナルの展開が増えると思うので、そういうところを楽しみにしていただければと思います!

首藤 いち視聴者として気になっているのは、スペちゃんとスズカさんが一緒に走るのか、スズカさんの夢はかなうのかというところです。私も注目しています!


(取材・文・撮影/塚越淳一)

おすすめ記事