中国からハイセンスな造形物を発信する“末那models(マナズ・モデルス)”って何だ!? 日本支社代表・神田修さんに聞いてみた!【ホビー業界インサイド第35回】

「末那models(マナズ・モデルス)」という名前を聞いたことがあるだろうか? 筆者はたまたま中国の造形作品を画像検索して見つけたのだが、ファンタジックなクリーチャーやモンスター、コミカルなキャラクターが濃密な情報量と質感で造形されており、しかもそれらは個人作品ではなく販売もされている。そして、原型師として塚田貴士、松岡ミチヒロ、高木アキノリ、岡田恵太、植田明志、そして竹谷隆之と、日本の造形作家の名前があちこちに記載されているではないか。いったい、中国で何が起きているのだろう?
マナズ・モデルスの本社が中国にあることは間違いないのだが、日本の造形作家たちに声をかけているのは日本支社のマネージャーである神田修さん。3か月ごとに中国と日本を行ったり来たりしているという神田さんに、インタビューする機会を得られた。マナズ・モデルスとは果たして、どこで何をやっている会社なのだろうか?


中国の造形作家たちは、今でも「S.M.H」に憧れている


──マナズ・モデルスは会社として運営されているそうですが、何年ぐらい前に設立されたのでしょうか?

神田 8年前です。最初は原型師2人とペインターが1人、営業が1人、計4人の小さな会社としてスタートしました。最初に作ったガレージキットが評判になり、中国の映画監督から「映画のコンセプトアートを手伝ってくれないか」と声をかけられました。「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」の小道具制作にも関わり、それからは半分が映画の仕事、もう半分はゲームのフィギュアを作っていました。だけど、それだけでは面白くない。本社の社長は竹谷隆之さん(日本の造形作家)にあこがれてフィギュア業界に入ったので、「将来、竹谷さんと一緒に仕事ができたら最高だよね」とよく言っていました。そこで、日本の造形作家たちとコラボして新しくアート・シリーズを発売しよう、という話になり、2016年の10月頃に、私が日本に支社をつくりました。

──すると、本社は中国にあるんですね?

神田 はい、マナズ・モデルスは中国のフィギュア業界では一番といってもいいぐらい有名な会社で、本社は3千平米ぐらいの3階建てのビルです。もちろん、最初にスタートした頃は、6畳ぐらいの小さな部屋でしたけど……(笑)。

──ガレージキットを販売しているのですか?

神田 かつてはキットも販売していましたが、映画に関わるようになってからは完成品のみです。かつて、「S.M.H」という本(1990年代末~2000年代初頭にかけてホビージャパンから刊行されていた造形専門ムック)がありましたよね。中国の第一線で本格的に活躍している造形作家たちは「S.M.H」に載っていた作品に強烈な影響を受けて、今でもあの時代にあこがれて仕事をしています。やっぱり、竹谷さんの影響が一番大きいですね。

──すると、作家性を前面に出した造形が中国では多いわけですね?

神田 日本の大きな企業は、作家のオリジナル造形作品には興味を示しませんよね。だったら、僕たちが日本のすぐれた造形作家たちをサポートして、僕たちも作家たちからよいフィードバックを貰える関係をつくれないだろうか、と考えました。だけど、作家本位の完成品フィギュアを日本だけで売ろうとしたら、それは成り立たない。中国市場だから、うまく行っているんだと思います。
なぜなら、中国はアニメや二次元のキャラクターたちがメインではないからです。家に萌え系のフィギュアがあると、親からは怒られるし、彼女に見られると恥ずかしい。だけど、アーティストとコラボしたカッコいいフィギュアが置いてあれば自慢できるわけです 。

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